夢の言葉と約束の翼(上)【続編⑤】

☆リサーナ☆

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第4章(3)アカリside

3-3

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私は知ってる。
ヴァロンがどんな風に愛してくれるかを……。

優しく大切に包み込んでくれるようなのに、時に熱く激しいその愛の伝え方を。
身も心も彼に夢中になって惹かれてしまう程の、愛の溢れたヴァロンのあの行為を……。

手で、唇で、身体で、愛し合う。


ヴァロンは私にしてくれたように、今ミネアさんを愛しているんだ。
甘く囁いて、優しく触れて、激しく求めて、愛し合ってるんだ。


っ……や、だッ。
そんなの、っ……やだよ……ッ。

目の奥から込み上げる熱いものが堪え切れず、ギュッと膝の上で握り締めていた拳にポタポタと落ちた。

信じたくない。
ヴァロンが自分以外の誰かと愛し合ってる事なんて想像もしたくないのに、次々と湧き上がる嫉妬の気持ちが止まらず私を掻き立てる。


「貴女に泣く権利なんてあるのかしら?
先に彼の手を放したのは、貴女でしょう?」

隣から聴こえた、ミネアさんの少し冷たい声。
その声と、顔を向けた私を真っ直ぐ見つめる彼女の眼差しに……。
今度は頭の中に三年前の事がよみがえる。


ヴァロンに生きてほしい。
そう思って、私は三年前に彼と別れる道を選んだ。

けれど。
あの時にヴァロンがどう思っていたかなんて、知らない。
彼はもしかしたら、残り少ない余生でも私と共に生きたいと思っていてくれたのかも知れなかった。


私が、自分の考えや想いを押し付けてしまっていた?
だからヴァロンは私に捨てられたと思って、記憶や想い出を棄ててしまったの?

あの時。
理由はどうであれ、自らが手を放してしまったのは紛れも無い事実だった。


「彼を捨てた貴女に、今更出来る事なんて何もないわ。そうでしょう?」

「っ……」

ミネアさんのもっともすぎる言葉。
胸が締め付けられて、何も言えない。


「貴女は今の生活を大切にしなさいな。
”今後、彼とは一切干渉しない”、それを破ったらどうなるか……。分かるわよね?」

”分かるわよね?”と語尾を強調したミネアさんの視線が、お弁当を無邪気に頬張る子供達に向けられていた。
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