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第4章(3)アカリside
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しおりを挟むヒナタとヒカル、私とヴァロンの可愛い子供。
もし私が約束を破れば、あの子達の未来もどうなるか分からない。
引き離されて、取り上げられて……。
シャルマ様に都合の良い道具のように扱われる可能性もある。
いや最悪。邪魔な存在だと判断されたら、きっと簡単に命を奪われてしまう。
この三年間、私を支えてくれた子供達。
ヴァロンと同じくらい大切な私の宝物。
ヴァロンも子供達も、どちらも天秤になんて掛けられないくらい私には大切な存在だ。
……でも。
どちらかを選ぶ道しかないのなら、今の私には選択肢は一つしかない。
そう思いながらも、心揺れていると……。
「まま~!
あい、これあげゆ~」
「も~ヒカル!おくちのまわり、ふいて!」
私の好きなウサギの形をしたリンゴを持ったヒカルが駆けてきて、その後から追って来たヒナタが世話を焼く。
その可愛い微笑ましい姿を目の前にして、私は思わずベンチから降りて子供達を抱き締めた。
自分は酷い母親だと思った。
選択肢は一つしかない。
この子達を守る事が当たり前の筈なのに……。
ヴァロンにもう会えないのだと思ったら、一瞬心が揺れた。
子供達を手放せる筈なんてないと思いながらも、私の中の”女”の部分が愛しい人を求めて揺れる。
そんな自分を恥じて、腕の中で「ママ?」と私を呼ぶヒナタとヒカルの顔が見れない。
暫く抱き締めたままでいると、背後のベンチからミネアさんも立ち上がる気配を感じた。
「可愛いお子さんね。わたくしも早く欲しいわ、マオ様との子供。
……では、ご機嫌よう」
弾んだ綺麗な声と、軽やかに歩き去って行くヒールの音が私の胸にズキズキと刻むように突き刺さる。
……。
やっと再び巡り逢えた、愛おしい人。
けれど。
その人はもう、私の”夫”ではなかった。
待ちに待った再会は、残酷な現実と一緒に私達に訪れたのでした。
……
…………。
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