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第4章(4)マオside
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〈回想〉
【三年前/病室】
目に映るのは、知らない天井。
上手く動かせない身体。
目線だけ泳がせて見ると、ほとんどが白色の知らない空間だった。
そこは病院の個室。
医師や看護師の説明で、僕は脳の病気で手術をしたんだと告げられた。
でも、僕には何も思い出せなかった。
病気の事だけじゃない。
自分の名前や、家族の事、これまで生きてきた事も……全部。
人が話す言葉はゆっくりと時間をかければ理解出来たけど、文字は書けないし、読む事も出来ない。
身体を動かす事にもリハビリが必要で、自分一人では思うように何も出来ない生活。
そんな中。
見舞いに来てくれた祖父と名乗る人物は、僕を見て失望していた。
呆れた表情で、溜め息を吐いて、冷たい視線で僕に言った。
”役立たず”って……。
身内と言われてもピンとこなかったけど、面と向かって言われたその一言はやっぱりショックだった。
初めのうちは祖父と一緒に顔を見せてくれた弟も、ある日を境に病院には来なくなった。
この二人が、僕の家族。
でも、後に分かった。
弟とは腹違いで、僕は父親が愛人との間に作った子供なんだという事。
一族の家系にはない、突然変異で色素の薄い僕の白金色の髪と瞳を祖父が嫌っている事。
唯一。手術前までは優秀だった僕の仕事ぶりだけは、祖父が気に入ってくれていたらしい。
ーーつまり。
それだけが僕の取り柄で、家族である絆だったんだと思う。
……。
けど、僕は忘れてしまった。
仕事どころか、普通の生活でさえ自分一人では満足に出来ない。
手術費用、入院費、リハビリ……。
お金ばかりかかる僕は、”役立たず”と言われても仕方ない存在だった。
【三年前/病室】
目に映るのは、知らない天井。
上手く動かせない身体。
目線だけ泳がせて見ると、ほとんどが白色の知らない空間だった。
そこは病院の個室。
医師や看護師の説明で、僕は脳の病気で手術をしたんだと告げられた。
でも、僕には何も思い出せなかった。
病気の事だけじゃない。
自分の名前や、家族の事、これまで生きてきた事も……全部。
人が話す言葉はゆっくりと時間をかければ理解出来たけど、文字は書けないし、読む事も出来ない。
身体を動かす事にもリハビリが必要で、自分一人では思うように何も出来ない生活。
そんな中。
見舞いに来てくれた祖父と名乗る人物は、僕を見て失望していた。
呆れた表情で、溜め息を吐いて、冷たい視線で僕に言った。
”役立たず”って……。
身内と言われてもピンとこなかったけど、面と向かって言われたその一言はやっぱりショックだった。
初めのうちは祖父と一緒に顔を見せてくれた弟も、ある日を境に病院には来なくなった。
この二人が、僕の家族。
でも、後に分かった。
弟とは腹違いで、僕は父親が愛人との間に作った子供なんだという事。
一族の家系にはない、突然変異で色素の薄い僕の白金色の髪と瞳を祖父が嫌っている事。
唯一。手術前までは優秀だった僕の仕事ぶりだけは、祖父が気に入ってくれていたらしい。
ーーつまり。
それだけが僕の取り柄で、家族である絆だったんだと思う。
……。
けど、僕は忘れてしまった。
仕事どころか、普通の生活でさえ自分一人では満足に出来ない。
手術費用、入院費、リハビリ……。
お金ばかりかかる僕は、”役立たず”と言われても仕方ない存在だった。
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