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第5章(2)アカリside
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【港街】
雨は、なかなか止みそうにない。
パン屋さんに駆け込んできた彼は、雨に濡れていた。
傘を持って、いなかったのだろうか?
さっきよりも強くなっている雨。
あんな小さなハンカチでは、もう拭いきれないはずだ。
風邪をひいたり、しないだろうか?
……。
何も考えたくない。
もう、気にしたくなんてないのに……考えてしまう。
ゆっくりと帰路を進む私の頭の中には、ヴァロンの事ばかりが浮かぶ。
きっとまだ、この街の何処かに居るであろう彼。
「っ……あの人は、もうヴァロンじゃないの」
小さく呟いて、言葉にして自分に言いきかせた。
ヴァロンはあんなにオドオドした人じゃない。
飲み物はほとんどお水しか飲まなくて、ホットミルクなんてお店で注文する人じゃなかった。
それから……。
それからっ……。
必死に”マオ”の存在を否定しようと、以前の彼とは違うところを思い浮かべた。
……でも。
嫌いになれるはずなんて、ない。
幼い頃に出逢った彼。
召し使いとして、再会した彼。
夢の配達人としての彼。
恋人、夫としての彼に幾度となく惹かれたように……。
私は、また彼に恋をしてしまうの。
……。
曲がり角に差し掛かった私の瞳に映るのは、少し離れた軒下の片隅で屈んでいる男性。
男性は背を向けているのに、私には分かってしまうの。
どうして、見付けてしまうんだろう?
そう思うと同時に、”見付けた”と胸が暖かい鼓動をトクンッと鳴らした。
これ以上、距離も心も近付いてはいけないと思うのに……。
私の足は、自然と彼の方に向かって歩み出していた。
傘の持ち手を握る手に、力が入る。
彼の背から瞳を逸らす事が出来ず、一歩一歩その距離を縮めて行くと彼の声が聞こえた。
雨は、なかなか止みそうにない。
パン屋さんに駆け込んできた彼は、雨に濡れていた。
傘を持って、いなかったのだろうか?
さっきよりも強くなっている雨。
あんな小さなハンカチでは、もう拭いきれないはずだ。
風邪をひいたり、しないだろうか?
……。
何も考えたくない。
もう、気にしたくなんてないのに……考えてしまう。
ゆっくりと帰路を進む私の頭の中には、ヴァロンの事ばかりが浮かぶ。
きっとまだ、この街の何処かに居るであろう彼。
「っ……あの人は、もうヴァロンじゃないの」
小さく呟いて、言葉にして自分に言いきかせた。
ヴァロンはあんなにオドオドした人じゃない。
飲み物はほとんどお水しか飲まなくて、ホットミルクなんてお店で注文する人じゃなかった。
それから……。
それからっ……。
必死に”マオ”の存在を否定しようと、以前の彼とは違うところを思い浮かべた。
……でも。
嫌いになれるはずなんて、ない。
幼い頃に出逢った彼。
召し使いとして、再会した彼。
夢の配達人としての彼。
恋人、夫としての彼に幾度となく惹かれたように……。
私は、また彼に恋をしてしまうの。
……。
曲がり角に差し掛かった私の瞳に映るのは、少し離れた軒下の片隅で屈んでいる男性。
男性は背を向けているのに、私には分かってしまうの。
どうして、見付けてしまうんだろう?
そう思うと同時に、”見付けた”と胸が暖かい鼓動をトクンッと鳴らした。
これ以上、距離も心も近付いてはいけないと思うのに……。
私の足は、自然と彼の方に向かって歩み出していた。
傘の持ち手を握る手に、力が入る。
彼の背から瞳を逸らす事が出来ず、一歩一歩その距離を縮めて行くと彼の声が聞こえた。
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