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第5章(4)アルバートside
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しおりを挟む”大手企業の社長令嬢ミネア様、御婚約!”
雑誌に書かれているこの記事。
アカリはすでに知っているのだろうか?
この相手の男が、誰なのかーー。
それを考えると胸が痛む。
あの子はきっと我慢して我慢して、私には何も言ったりしない。
三年前も、今も……。
一人で泣いているのではないかと、心配だ。
「……けれど、アルバート様。
今後の事を考えますと、アカリ様にもお覚悟を決めて頂く必要があるのではありませんか?」
「……ローザ、その話はよせ」
ローザの、彼女の言いたい事が私には分かっていた。
けど……。
私は今、仕事での立場よりもアカリ自身の心配をしたかった。
昔、見失ってしまった宝物をもう失くしたくない。
”自分の孫娘の為に、こんなに使える金があるなら……。
何で孫娘が本当に幸せになる為に、その力と金を使ってやらねぇんだよ。”
あの日。
私に家族を取り戻してくれた彼の為にも……。
「さしでがましいと、思われても申し上げます。
貴方様の為にも、御社の為にも、アカリ様には一刻も早く大手の殿方に嫁いで頂くのが1番かと」
「やめろ……」
「幸い、一度離縁している身でもアカリ様はお子が成せる身体だと立証済み。
嫁に欲しいというお声も上がっているとの事で……」
「やめろと言っているだろうッ!!」
言葉を遮り、ローザを鎮めると私は鋭い視線を彼女に向けた。
ローザが本心からそれを望み、私に進言している訳ではない事くらい分かっている。
思っていても口に出来ない者の為に、あえて自らが代表してくれているのだ。
以前から定まらない私の後継者争いを、ハッキリさせる為に……。
本来は孫娘であるアカリに婿をとらせ、その間に産まれた子供を正式な跡取りとして迎える予定だった。
勿論、現段階ではアカリの長男ヒカルが跡取りの第一継承権を持っている。
そこは問題ない。
問題は、ヒカルが成人するまでの後見人。
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