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第6章(2)アカリside
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しおりを挟むその言葉がもう一度聞きたいなんて、そんなワガママは言ったりしない。
ただ、一緒に私の作ったご飯を食べてほしいだけだった。
彼を見上げる笑顔が引き攣る。
自分で自分の手を握るのに力がこもって、汗ばんで震える。
ずいぶんと長くて重たく感じる、本心を隠して精一杯の笑顔で返答を待つ時間。
「……はい。ご馳走に、なります」
相変わらずの困ったような笑顔で彼は答えた。
それでも。
ちゃんと瞳を合わせて答えてくれた事が私は何よりも嬉しくて、胸が弾んだ。
まるで、恋をしたての少女時代みたい。
彼の言動に嬉しくなったり、悲しくなったり、ドキドキしたり……。
ああ、私はやっぱり何度でも貴方に恋をするんだ。
ーーそして、私達は向かい合って食事を始めた。
……
…………。
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