夢の言葉と約束の翼(上)【続編⑤】

☆リサーナ☆

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第7章(1)アランside

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アルバート様の孫娘。
その身分以外、正直何も持っていない小娘だと思っていた。

そんなアカリ様が、自分よりも美貌も教養も権力も……。
側から見れば全てに勝るミネア嬢に立ち向かっている。


「もう、嘘はつかない。
仕方ないって、諦めたりしない。
……勿論、子供達の事も手放したりしない。
私は、全力で自分の力で足掻いてみせます!」

こんな決意を見せられて、震え上らない人間なんていないだろう。
しかも、人の上に立つ者ならばそれは尚更の志。

ふと横目で見ると、いつの間にかアカリ様を見つめるミネア嬢の表情が変わっていた。

ーー相手を”対等の敵”と認めた人物と、出逢った時の瞳に。


「……面白いわね、アカリさん。
いいわ、貴女にチャンスをあげる」

組んでいた脚を組み替えて、ミネア嬢は微笑った。
まだまだ余裕の笑み。

それもそうだろう。
アカリ様が決意を表したところで、現婚約者の彼女の立場は変わらない。


それにミネア嬢が本気になれば、アカリ様など簡単に排除する事も出来るのだから……。


アカリ様が本気で立ち向かうのならば、それには”ヴァロンの力”が必要になる。
兄の記憶が戻りさえすれば、形勢は一気に傾く事になるだろう。

……しかし。
その手を使う事は、アカリ様にとって”負け”になる。


「マオ様に話せばいいわ」

「!……え?」

「彼の過去を、話せばいいって言ってるのよ。
話したところで、わたくしとマオ様の関係は決して崩れないもの」

自信に満ちた口調と立ち振る舞いで、ミネア嬢が言った。

普通の人間ならば、喜んで飛び付くチャンス。
それをあえて許可する事で、ミネア嬢はアカリ様を試していた。

彼女が普通の人間なのか。
それとも、本当に”自分と争える相手”なのかをーー。
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