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第8章(3)マオside
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しおりを挟む幸せって、なんだろう?
目覚めてからずっと探していた答えが、やっと今日分かった気がした。
大空の下で元気いっぱい、汗をかく程遊んで……。
美味しいご飯で、お腹いっぱいに満たされて……。
天気のいい午後の公園で、大好きな絵本を読んでもらう事ーー。
「……『こうして、海賊ジャスパーはたくさんの財宝を手に入れたのでした。
しかし、ジャスパーの物語はまだまだ終わりません。また新たなお宝を求めて、大海原へ旅立つのでした!』……おしまい」
物語を読む声が止まると同時に、思わず拍手をしていた。
そんな僕を見て、子供達の為に朗読していたアカリさんがこちらを見てクスッと笑う。
「拍手なんて……。マオさん、大袈裟です。
私、そんなに読むの上手くないですよ?」
「!……何言ってるんですか!すごく、すごく上手でした。
なんて言うか、そのっ……聞いてて、ワクワクして。それからっ……」
物語が終わっても興奮の止まない僕は、拙い言葉で必死に彼女の凄さを伝えようとした。
すごく、綺麗な声。
一言で言えば、つまりは伝えたい気持ちはそこだ。
……でも。
そんな単純な言葉を言っても、きっと喜んでもらえない。
何を言えば、いい?
一体どうしたら、喜んでくれる?
どうしたら、もっと絵本を読んでくれるの?
綺麗な君の声で、”もっともっと絵本を読んでもらいたい”って、思った。
けど……。
そんな我が儘を言って、目の前の笑顔が消えてしまうのが怖かった。
「ママ~えほんはもういい。あっちであそんでくる~」
「はいはい。
気を付けて遊ぶのよ?」
「は~い!ヒカル、いこ~!」
気持ちを上手く表現出来ず言葉を詰まらせていると、ヒナタちゃんの一言で朗読は終了。
すごく残念だけど、確かに公園という場所に来てまで絵本を読んでもらうなんて、子供でも退屈な事なのかもしれない。
それなのに僕は……。
見た目は大人なのに、中身は子供以下。
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