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第8章(3)マオside
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しおりを挟む彼女なら、受け止めてくれる。
そんな気が、したから。
……そしたら。
「っ……はい!喜んで!」
ほら。
輝く太陽みたいな、夏の向日葵みたいな元気な笑顔で、アカリさんは応えてくれた。
ーー不思議だ。
血の繋がった家族よりも、この三年間一緒に居た誰よりも、彼女は安心をくれる。
会って数回で、一緒に居て、こんなにも心地いい人がいるなんて思わなかった。
それから……。
「ママ~!マオさ~ん!
ふたりもあそぼうよ~!むこうで、いっしょにあそぼうよ~!」
ヒナタちゃんはそう叫びながら戻ってきて、アカリさんの手を引っ張る。
その後ろから、ちょこちょこ付いてくるヒカル君。
二人を見ていると、僕が今まで”子供”に抱いていたイメージが変わった。
どう接していいのか、苦手で……。
「どうしたらいいのか?」って事ばかり考えて、それ以外今まで感じなかった筈なのに……。
僕は今日、子供を初めて”可愛い”って思ったんだ。
見た目じゃない。
上手く言葉に出来ないけど、アカリさんが「もうっ」て軽く怒るヒナタちゃん達の行動や、「もっとあそぼ!」って我が儘を言われる事も、可愛くて……。
そう。
嬉しくて、可愛くて……。
ーーいや、違う。
これは、もっと違う、感情だった。
「ママ今からマオさんにもう一回、絵本読むお約束したの。
だから、二人で遊んでて?」
「え~!やだやだ~!
ママもマオさんもいっしょがいい~!」
一緒に遊びたいと強請るヒナタちゃん。
控えめに、一緒に遊びたいと目で訴えるヒカル君。
そして、それに困りながらも微笑むアカリさん。
目の前のその光景に心から込み上がった、暖かい感情ーー。
それは、”愛おしい”という感情に違いなかった。
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