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第8章(4)アカリside
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しおりを挟む夏の1日は、長く感じる。
夕方、って時間になっても陽が長くて明るいから……。
ついつい、時間を忘れてしまう。
特に今日は、”このまま陽が暮れなければいいのに”と思わずにはいられない。
彼と子供達と居られるこの時間が、もっともっと続いてほしいもん。
時刻はもう16時近い。
普段なら、子供達を連れて帰る時間だけど……。
私は今日、なるべく時計を見ないようにしていた。
そして、祈ってた。
彼も、時計を見ませんようにって……。
「ーーママ~ポケでん、かして~。
ヒナ、マオさんとパシャパシャしたい!」
娘の声に、私はハッと我に返った。
ヒナタの言う”ポケでん”とは、2年程前から登場したポケットに入るサイズの電話。
通称、ポケ電。
ヴァロンが夢の配達人の時に使っていた通信機のような感じで、相手の番号が分かれば電話も出来るしメッセージも送れ合える優れもの。
見た目も通信機より薄くて可愛いし、色んな色がある。ちなみに、私はピンク。
発売当初はお仕事でお偉いさんが使う物、ってイメージで値段も高かった。
が、今年に入って外出先でも連絡が取り合えるという便利さから一般的にも使用する人が増えてきたのだ。
でも、値段はまだまだ私からしたら高い。
本体も高いし、電話代やメッセージ代だって長ければ長いほどかかる。
だから、私が持つようになったのはつい先日。
レナとレイに、「いつでも連絡が取れるようにしたい」と言われた為に買ったものだ。
あくまで緊急連絡用なのだが、ポケ電には白黒だけど写真が撮れる機能も付いていて、ヒナタはそれがお気に入り。
「パシャパシャしたい!」って、街で見かけた犬や猫、花とかを撮りたがる。
写真を撮る事自体にお金はかからないが、充電も早くなくなるし、撮った写真を画像として本体に残す枚数にも限度がある。
故に、普段はなるべく貸さないようにしているのだが……。
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