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第8章(4)アカリside
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しおりを挟む「マオさんとパシャパシャしよ~よ!
みんなでパシャパシャしよ~!」
娘の”マオさんと”と言うフレーズに心が揺れて、私はカバンからポケ電を出した。
「……もう、仕方ないわね。
す、少しだけだよ?撮りすぎちゃダメだからね」
と、注意しながらヒナタに渡しつつ、本音は「マオさんの写真が欲しい!」と必死だった。
ヒナ、上手くマオさんをたくさん撮ってくれないかな~?
そんな気持ちで内心ウキウキしていると、ヒナタの持つポケ電を見てマオさんが言った。
「あ、そのポケ電……。
僕のやつと、色違いだ」
「!……え?」
「……ほら。ね?」
そう言ってマオさんがズボンのポケットから出したのは、私と同じデザインの、白色のポケ電。
「!……本当だ。一緒、ですね!」
「はいっ」
お揃いのポケ電。
そんな些細な事が、こんなにも嬉しい。
この世界を探せば、同じポケ電の人なんて珍しい事ではないだろう。
でも、”大好きな彼とお揃い”。
それだけで、胸が弾んで飛び上りたくなる。
そして、その直後にハッと思った。
ーー番号、交換したい!!
番号を交換する事が出来れば、マオさんといつでも連絡を取り合う事が出来る。
通話はもちろん、メッセージも!
会えなくても寂しい日も、彼とやり取りが出来るのだ。
しかし、いきなり「番号教えて下さい」なんて言えない。
変に馴れ馴れしくしたら怪しまれてしまうし、図々しい、変な女と思われてしまうかも知れない。
今日せっかく一緒に楽しく過ごせて、やっと彼が微笑ってくれるようになったのに……。
この雰囲気を、壊したくなかった。
今は、我慢しよう。
そう心に決めた。
謙虚にするって決めたんだもんって、言い聞かせて……。
けど、そう思ったからかな?
神様が、私にご褒美をくれるの。
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