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第4章(1)ヴァロンside
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しおりを挟む「荷物は、俺が全部持つからさ。
アカリはお土産とか、ゆっくり見てもいいからな」
今日はなるべく離れて歩こうと決めた。
自分の鞄と彼女の荷物を両手に持って歩き始めると……。
「っ……待って。ヴァロン、待って!」
アカリは声を上げて、自分の荷物を持っている俺の手をグッと握る。
「貸して?」
「え?……」
「自分の荷物くらい、自分で持てるよ」
彼女はそう言うと、俺の手から荷物を取って自分で持つと……。もう一方の空いている手で、俺の空いた手をぎゅっと繋いだ。
そして……。
呆然としている俺に、照れたような可愛い笑顔で見上げて言う。
「えへへ。
これなら、手……繋いで歩けるよね?」
「……え?っ、けど……」
どう見ても大人しそうな服装のアカリとこの姿の俺がカップルなんて、違和感があると思った。
アカリの問い掛けに手を握り返せず、俺が戸惑っていると、彼女は「あ!そっか!」とワザとらしいくらいの大きな声を上げて……。
一度手を放すと、鞄からクシと髪ゴムを取り出して、降ろしていた自分の髪をポニーテールにまとめ上げた。
「今のままじゃ、私がヴァロンに似合わないよね?
……どう?これなら少しは、元気な女の子に見えるかな?」
その行動をじっと見ていた俺にアカリは微笑って、自分のスカートを手で持ってヒラヒラさせる。
「あ~スカートがちょっと、長いかな~?
膝上くらいにしたら、ちょっとは変わる?」
俺に尋ねながら、スカートをたくし上げて膝上に調節すると、ベルトで固定して丈を短くした。
何も答えられずただ黙っている俺の前で、クルッと一回まわって、「どうかな?」って歯を見せて笑う元気な笑顔に……。
胸が、トクンッと暖かくなる。
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