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第20章(3)ローザside
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しおりを挟む「安心して?ルックスは好みだけど、俺処女は興味ないから」
「ッ~~?!」
「そんな訳で、あのお嬢様は見た目も経験も興味なし。心配しなくても喰ったりしねぇよ」
デリカシーがなさ過ぎて、信じられなさと呆れが混ざり合い「なっ、なっ」と言葉が出ない。ワナワナと肩を震わせる私を横目に、クククッとからかうように笑う本当本当に無礼な男。
……しかし。
翌日、召使いとしてアカリ様の傍に立つその姿は昨夜私が目にしたものとはまるで違った。
髪型も服装もキッチリと整え、からかうような笑みは爽やかに、無礼な態度は愛嬌のある無邪気さに。
あっという間に別荘内に解け込んでいった。
本当に同一人物ーー?
何度何度、そう心の中で問い掛けたか分からない。
あまりのギャップの不信感から、油断してはならない、と私はついつい護りたい一心でアカリ様への教育を厳しくしてしまったわ。
きっとアカリ様にとって、私は鬼のように恐ろしい存在だったに違いないと思う程に。
私は負けたくなかったのだ。
この家の為に、アルバート様の為に1番お役に立てるのは自分で在りたいと思っていたの。
そんな、ライバルのような存在を嫌でも認めなくてはいけなくなったのは、誘拐されたアカリ様をあの男が無事救い出してくれた時。
しかも自分は怪我をしていたと言うのに黙っていて、翌日の早朝に私がお礼を言いに訪れた際気付かなかったら、きっとずっと黙っていたんだわ。
縫う程の怪我で微熱もあったのに「心配されるの苦手だから、誰にも言うなよ?」って口止めされたし。
何だか借りを作ってしまったようで悔しかったから、アカリ様から手作りクッキーを渡すように仕向けたら予想以上に嬉しそうだったっけ。
その、今までは違う男の反応に"嬉しそうな表情も出来るのね"って、ほんの少し変化を感じたのはこの時で……。
でも、そんなものは序の口で、その後に私の男への印象が大きく変わる出来事があった。
それはご自分のお父様の事を知りたいと望んだアカリ様を男が別荘から連れ出して、一週間程無断外泊をした後に戻ってきた時の事だ。
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