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第20章(4)マオside
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しおりを挟むミネアさんには僕以外に好きな人がいて、赤ちゃんはその人との子供で……。きっと幸せになれる。
僕なんか、いなくてもいいんじゃないか?……って。
今なら彼女と、何も気にせず別れる事が出来るんじゃ……ないか、って。
ーーでも、違った。
ミネアさんは僕の気を引きたくて、こうなった。
『抱いてほしい』
そう言われて、でも……上手く出来なくて。
それ以来、そういう雰囲気になると困っている僕を見て、彼女は強く要求出来なかったんだ。
『子供がほしい』
同年代の周りの女性が母親になっていく姿を羨ましいとは言えず、耐えて耐えて……。
『愛してほしい』
彼女にとって、僕から伝わってくる愛が足りなさすぎて、不安で、寂しくて……。
身体だけでも、ひと時でも……男性から貰える愛が、欲しかったんだ。
幼い頃から抱え続けてきた孤独も、限界で……。
たった1人でいいから、世界中の誰よりも自分を愛してくれる人が……ほしかったんだ。
全ての引き金は、僕。
僕がミネアさんをここまで追い込んでしまったんだ。
孤独の辛さも怖さも、知っていた筈だった。
記憶を失くして独りぼっちだった僕を支えてくれたのはミネアさんだったのに……。
僕は、そんなミネアさんを……、……。
『好きな人の傍にいるのに、何か理由が必要かしら?』
『おかしな質問をなさるのね。
わたくしは楽しいですわ!だって、大好きな人と一緒にいるんですもの。
マオ様といられたら、それだけで嬉しいです!』
今でも鮮明に思い出せる、僕があの時"生きよう"と思えた想い出。
あの時ミネアさんがそう言ってくれなかったら、命を絶っていたのは自分の方だったかも知れない。
何も出来ない僕の傍に、ずっと居てくれた。
そんな、無償の愛をくれた彼女を……捨てる事なんて出来ない。
「っ……放してよッ!!」
抱き締める腕に力を込めると、ミネアさんは振り解こうと暴れた。
でも、僕は放さない。
「放してッ……、放して!!」
「っ……!」
更に強く抱き締めて、彼女に何を言うべきか考えた。
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