夢の言葉と約束の翼（下）【夢の言葉続編⑦】

第２１章（１）シュウside

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あ、君に1番言わなきゃいけない事を忘れていました！
どうやらユイちゃんがレイと、恋人としてお付き合いをしているようですよ？
その変化に最初に気付いたのはホノカさんで、仕事終わりに食事に行ったり、休みの日には色々出掛けたりしているみたいです。
とても仲睦まじく、お似合いのカップルですよ。

……でもね。
そんな二人が最近は少しよそよそしいんです。
原因は、レイのプロポーズをユイちゃんが断ったからみたいで……。

「父さんとアカリさんが離れ離れになってしまったのに、私だけ幸せになれないよ」

そう言われて、レイもそれ以上強く求める事は出来なかったみたいです。


……ヴァロン、何やってるんですか？
ユイちゃんには幸せになって欲しいって、嫁に行く時は盛大に送り出してやるんだ、って言ってたじゃないですか。

なのに、君のせいで……。
君が今、ここに居ないから、ユイちゃんは幸せになれないんですよ？分かってるんですか？


ユイちゃんだけじゃない。
アカリさんも、私も、レイ達も……。君の事が大好きな人達は、君が幸せになってくれないと悲しいんです。
だから、…………。


そこまで書いて、私の手は止まった。

違うのだ。
本当はこんな事を言いたい訳ではない。
私はもどかしくて、悔しいのだ。何も出来ない自分が……。

今も、自らの運命に立ち向かおうとしている親友ヴァロンに、アドバイスも、側に行ってやる事も出来ない。

1番の相談役ーー。
ヴァロンにとって、自分はずっとそんな存在でありたかったのに何も出来ない。

「リディア、許して下さい……」

こんな不甲斐ない自分を、きっとリディアは怒っているだろう。

今私に出来るのは、こうして日記に記しながらヴァロンに語り掛け、彼を忘れないで居る事。
そして、夜が明けたら最高責任者マスターとして、彼と共にあった証である夢の配達人を守る事だけだった。