夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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第23章(1)マオside

1-3

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「……マオ様?っ……大丈夫ですか?」

「っ、大丈夫です。ちょっと、夢を見たんですっ」

心配そうな表情を浮かべるミネアさんに、僕は素直にそう答えて微笑った。

不思議だ。
泣いていたのに、悲しいのではなく何故か心が暖かい。
さっき見たあの夢は、僕がこれから作りたいと願っている家族の形なんだろうか?
そう思ったら、自然とミネアさんの膨らんだお腹に視線がいった。

「お腹、触ってもいいですか?」

「えっ?……は、はい」

冷たくないよう自分の首元で手を温めて、僕はそっと彼女のお腹に触れた。
するとその瞬間、くにゅっと穏やかに波打つような感触を手から感じて、「えっ?」と僕が驚いて見つめると、ミネアさんがクスクスと微笑った。

「動きましたわね。いつもは静かなのに……。
この子はきっと、マオ様の事が大好きなんですわ」

「っ……そ、そうなん、ですかね?」

ぱぱの事が大好きなのねーー。
夢の中と同じような事を言われて、嬉しいような恥ずかしいような、そんな気持ちになった。


そしたら同時に、やはり"何故?"という気持ちが強く浮かんだ。
ハンク様は血の繋がりがありながら、何故"女はダメだ"とか平気で言えてしまうんだろう?
シャルマ様も、何故僕の事をあんなに嫌うのだろう?
僕の父さんと母さんも、シャルマ様が言う通り、僕がどちらにも似ていなかったから捨てたのだろうか?


血の繋がりがなくとも、自分は目の前にある命を失いたくないと、尊いと感じる。
生きていてくれればいい。
失ってもいいものなんて、なければいいものなんて何一つない。誰かの代わりなんて、いないんだ。
そう、思うのに……。


「っ……マオ、様?」

ミネアさんの手がそっと僕の頬に触れて、優しく撫でられる。
そして、僕はまた自分の瞳から涙が流れている事に気付いた。

「っ……ごめんなさい。今日は、なんだか……気が緩んでしまって」

こんな姿を見せてはいけない。
僕は笑顔を作ると立ち上がり、ベッドに座り直してミネアさんを包むように抱き締めた。

「……護ります。
僕が絶対に、護りますから」

それが決して真の愛でなくても、僕にはもう、自分からこの人生みちを捨てる事は出来なかった。


頑張った未来さきにある幸せを、ただただ信じて生きていた。
たいした事が出来るとは思っていなかったけど、ミネアさんと子供を護って、少しでも二人が幸せだと感じてくれたら何かが変わる気がしたんだ。

例えこの身に全ての厄災を受けても、耐えようと……思ってたんだ。

……
…………。
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