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第24章(2)マオside
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しおりを挟むアカリがメッセージを読む少し前ーー。
今日は、アランとアカリさんの結婚式。
集合時間までにはまだだいぶあるけど、早く目が覚めてしまった僕は自宅で式に出席する為の身支度を整えていた。
……いや。正確に言うと、"早く目覚めてしまった"ではなく、"眠れなくなってしまった"という方が正しいかも知れない。
ワインを試飲して会議室で倒れたあの日から、僕は飲食をするのも、睡眠するのも……。何をするにも、常に恐怖が付き纏うようになってしまった。
これを口にしたら、また同じ事になるかも知れない。
眠ってたら、そのままもう目が覚める事はないかも知れない。
誰かと一緒に居るのも怖いけど、夜ベッドで独りシンッとした部屋の中に居るのも怖くて……。冷えて縮こまった心が、ガタガタ震えて眠れなかった。
「……酷い表情。
行くの、やめようかな……」
部屋にある鏡で自分の顔を見ると、やつれてるし、クマも酷い、とても結婚式のようなお祝いの席に出席が許される顔ではない。
けれど、親族として、アランの兄として、参加しない訳にはいかない事は分かっている。
それに、会いたかった。
例えどんな場でも、弟の花嫁でも……。アカリさんに、会いたかった。
彼女の笑顔を、もう一度見たいと思ったんだ。
皮肉にも、倒れたあの瞬間に、僕は自分がどれ程アカリさんを想っていたのか実感した。
胸が痛くて、呼吸が出来なくて、死を感じて、怖い反面……。でも、こんな事を考えてる自分がいた。
ああ、このまま死ねたら……自由になれるのかな?
そしたら迷わず、この魂は鳥みたいに、彼女の所に飛んで行けるのかな?
それなら、悪くないな。
……って。
自分の命が終わる瞬間、僕が思い出すのはアカリさん。
最期に見たいのは、彼女の笑顔。
僕の魂を優しく永遠に眠らせてくれるのは、彼女が良いと……。気付いてしまったんだ。
……でも。
今更、そんな運命には変えられない。
だからせめて……。せめて、アカリさんにもう一度会って、その姿をこの瞳に焼き付けておきたかった。
僕が残りの人生を、挫けずに全う出来るように……。
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