夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

☆リサーナ☆

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第25章(1)シャルマside

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『天使の血を持つ者は、まことに愛した者とは決して結ばれないーー』

何故、我々の一族で希血まれちを受け継ぐ者がそんな運命になったのか。
それが"天使の血"と呼ばれるのか。なんぞ、今や誰も真実は知らない。

私とて、子供の時はそんな運命も、血も、ただのお伽話だと信じてはいなかった。


私の母は父をとても愛していたし、父は真面目で仕事に励み、休みの日は家族で出掛けたり、私に勉強を教えてくれたり。政略結婚とは聞いていたが、私達の家族は上手くいっているように見えたから……。

ーーだが。
それは本当に"上手くいっているように見えていた"だけだった。

私が11歳の時、父に愛人と隠し子が居た事が発覚する。しかも、その隠し子は私と年が二つしか変わらず、もう随分と前から父は母と私の目を欺き、裏切っていたのだ。
更に許し難かった事は、父がその愛人と隠し子の娘を| 本邸私達の家へ招き入れようと考えていた事。


『嫌よ!何故、愛人達そんな女達と一緒に暮らさなければいけないの?!』

『頼む!分かってくれ!!』

浮気が発覚したその日から、あんなに仲が良く見えていた両親は毎日のように言い争うようになった。
聞けば、愛人は元々身体があまり丈夫ではないらしく、医師から余命が僅かだと宣告を受けたらしい。
そこで父は最期は一緒に暮らしたいと。そして、間も無く母を亡くしてしまう娘を、正式に自分の家族として迎え入れたいと考えていたのだ。

母は、泣いて"絶対に嫌だ"と訴え続けた。
けれど父は、母の願いよりも……愛人とその娘を選んだ。


愛人は、艶やかな漆黒の髪とまるで黒水晶のように透き通った瞳を持つ麗しい女性。
そして娘は、母親の容姿をそのままそっくり受け継いだ"希血の少女"だった。

ーーー希血天使の血を持つ者は、漆黒の容姿を受け継がない。
その法則が破られた時、その者は更なる能力ちからを発揮するであろうーーー

お伽話だと、思ってはいた。
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