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第25章(1)シャルマside
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しおりを挟むだが。私は初めてその少女に会った瞬間から胸がザワつき、常に嫌な得体の知れないものに付き纏われているような感覚に陥っていた。
それは、予兆。
そして、その悪い予感は的中していく。
一緒に暮らして僅かひと月程で、愛人はあっけなく逝った。
その際の、父の落胆ぶりといったら、すごかった。
"ああ、きっと私や母が亡くなっても、父親はこんなに悲しむ事はない"。
その悲痛溢れる姿を見て、そう感じずには居られなかった。
私や母がどれだけ声を掛けても、どんなに優しく接しても、父の心には届かず……。そんな父を慰めたのは、愛人の娘ーアンナーだった。
『お父様、私がおります』
たった、一言。
遺体から離れようとしなかった父をアンナはその言葉だけで動かし、優しく抱き締められていた。
父の本当の家族は私と母なのに。それなのに、その光景はまるで逆で……。
とても哀しくて、すごく惨めだった。
それから……。
本邸内や、私達の周りは変わっていく一方だった。
父は今まで以上にアンナに愛情を注ぎ、また本邸内の使用人や父の仕事の関係者達もアンナを可愛がり始める。
アンナには、見る者を惹きつける不思議な能力があった。とても10歳とは思えない母譲りの美しい容姿はもちろん、何よりも際立つのは声。
我が一族は歌の才能に恵まれない中、唯一アンナは歌声に優れており、その歌声を聴いたある者は長期に渡って挫折していたが社会復帰を果たし、難しい病を患っていた者は奇跡と呼べる完治を遂げた。
"天使の歌声"。アンナは一躍、そう騒がれた。
そして……。次々と周りの者達を魅了していったアンナは、ついに『次の後継はアンナ様で宜しいのでは?』と本妻の息子であり、長男である私を差し置いて支持されるようになった。
ーー赦せなかった。
突然現れて、私と母から全てを奪っていくアンナが。
長子として、跡取りとして、日々努力してきた私ではなく、優しく頭を撫でアンナを可愛がる父が。
何が"天使の歌声"だ。
私からしたら、周りの人間に毒牙をかける悪い魔女の子供にしか映らなかった。
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