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第25章(1)シャルマside
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しおりを挟む私と母を不幸にする魔女を狩らなくてはーー。
だから、殺してやった。
アンナの目の前で、父を殺してやった。
希血でありながらたいした能力を持たなかった父の命を奪うのは、実に簡単だった。
悲しみに暮れる母を守りたい想いと、口惜しい日々の中で、私の中に生まれた能力ーspellbind。
その能力で本邸に住む者や、父の周りの者を強制的に従えさせて、私は逃げ場を無くした父を自らの手を直接汚す事なく事故に見せかけて討った。
そして、父の死を目の当たりにして放心状態になったアンナを娼婦の館へ売り飛ばし、欲に飢えた男達の慰み者にしてやった。
……
…………。
そして、月日は流れーー。
周りからサポートを受けながら父の後を継いだ私は、許嫁だった女性と16歳で結婚し、翌年には息子が産まれた。
母はあの後、父の後を追うようにすぐ亡くなった。母の幸せの為に事を起こしたのに、結局母が私よりも必要としていたのは父だった。という事だろう。
それを目の当たりにして、私はとても虚しくなって、早く自分の家庭が欲しかった。
私は父と母のようにはなったりしない。
妻だけを愛し、家族を大切にするのだ。
仕事を熟し、家族に尽くし、夫として父として出来る限りの事をしていた。
……けれど。
ある日私は見てしまった。たまたま出張が早く終わり帰宅した際、妻が私の仕事仲間と親しくしている所を……。
『天使の血を持つ者は、真に愛した者とは決して結ばれないーー』
どうやらその呪いは、天使の血を持つ私が努力しても変わる事はないらしい。
許嫁として決められた時から、ずっと女として私が見ていたのは妻だけ。身体の関係を持ったのも、結婚前も結婚後も妻だけなのに……。
私は、お前だけを大切にしていたのにーー!!
この瞬間、私はもう誰かの為に生きる事はやめた。
信じられるのは自分だけ。自分の為だけに生きよう。
逆らう者は、能力でねじ伏せてしまえばいい。
私の中に再び生まれたドス黒い感情。
しかし、そんな私の事をたった1人。たった1人でいいから、理解し、側にいて欲しいと思った人物が居た。
それは、血を分けた実の息子のリオン。
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