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第26章(2)アンナside
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しおりを挟む占いの結果は、良い事と悪い事がまさに半々だった。
ヴァロンと一緒に居る女性は紛れもなく、前世でも想っていた運命の相手。無事に巡り逢う事が出来たのだ、とホッとした。
けれど、この未来で二人を待ち受ける得体の知れないドス黒い闇。簡単な占いでは全てを見透す事は出来ないが、前途多難と出ていた。
「お二人はまさに運命の相手!
どんなに困難な事があっても、その度に互いが補い支え合い、乗り越えられる理想のご夫婦ですよ」
私を見つめる女性の張り詰めた瞳を和らげてあげたくて、優しく微笑んで、思わず良い事だけを口にしてしまった。すると想いが伝わったのか女性はパァッと、同性の私でもドキッとする程の可愛い笑顔を見せて「ありがとうございました!」とお礼を言ってくれる。
が、ヴァロンは占いに使ったカードをチラッと見ると、一瞬眉間にシワを寄せていた。
この子は気付いてる。
……いや。今気付いたのではなく、すでに以前から心の何処かで自分に迫っている闇を察していたのだ。
ヴァロンの中に宿っている一族の能力は私やリオ達と少し違う。
ハッキリと過去や未来を見透せる訳でもなければ、使おうとしてその能力を使っているのではない。ただ、なんとなく自分がこれから直面する出来事を察しているのだ。
それはつまり、簡単に言えば勘が物凄く良いという事。事前に察する事でいかにその出来事を上手く乗り越えるか?という術を見付け、物事を対処する為の時間を得る"有余"の能力だ。
ヴァロンが夢の配達人として優れていたのも、仕事の成功率が高かったのも、この有余の能力が自然と発動していたからだろう。
勿論、事前に察しているからと言って物事全てが上手くいく訳はない。限られた時間の中で対処や対策を考える頭の回転の速さ、またそれを実現させる為の決断力や技術、身体能力……。予測は出来てもそれを回避したり解決出来たのは、ヴァロン自身が生み出した努力の賜物だ。
有余の能力を持ったヴァロン。
一見表面上を見れば鬼に金棒、無敵にも思えるこの能力。
けど、事前に考える時間が出来るという事は良い事ばかりではない。
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