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(3)アランside
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しおりを挟む女との関係が始まって、もうすぐ二ヶ月が経とうとしていた。
それなりに仕事は忙しかったが、夜に息抜きが出来ているからか何事も調子良く、上手く行っていた。
女は身体を重ねる度に成長し、オレ好みの女へと徐々に変わっていく。オレ好みの下着を身につけ、オレが触れれば教えた通りに反応する敏感な身体。
これまで色んな女と身体を重ねてきたが、これ程までに自分色に染めていく事が快感だとは知らなかった。
帰宅したら今夜は思う存分可愛がってやろうーー。
3日前から出張で自宅へは帰れていない。
あの女もきっと身体を疼かせて待っている事だろう。
心の中ではそんな事を考えているなんてつゆ知らず、取り引き先でもあるこの宝石店の店主は店内を歩いていたオレに声を掛けてくる。
「アラン様、如何でしょうか?何かお気に召す物はございますか?」
「ん?……ああ、そうだな」
仕事の話が終わり、せっかく訪れたから、と何か一つ土産を買って帰ろうと見ていたのだが、出張中夜の息抜きをしていなかったからか、すっかり今夜の事を考えてしまっていた。
腕時計でも、と考えていたが、いつの間にかオレが来ていたのは指輪のショーケース前。すると、店主が声を弾ませて言った。
「もしや……。アラン様も、そろそろご結婚を考えておいででは?」
「!……は?」
「それなら、こちらとか如何でしょうか?」
「お、おいっ……!」
止める間もなく目の前にダイヤモンドが装飾された指輪がいくつか並べられ、店主はウキウキと指輪について説明してくる。
ーー全く、こんな物必要ないんだがな。
しかし、自分も今年で34歳になる。色んな会社の社長や会長から自分の娘や孫と見合いをする気はないか?と、いくつもの縁談話が来ているのは事実。
それに、兄上がアルバート様の会社を継ぎ、兄上の息子ヒカルがそのまま跡継ぎになる以上、自分がいつか結婚し自分の会社の跡継ぎを設けなくてはならない事も分かっていた。
だが、オレは正直怖い。
オレは希血ではないが、代々当主に受け継がれてきた呪い。
真に愛する者とは結ばれないーー。
だから昔、相手は誰でもいいと思っていた。
愛さなくて良い。愛されなくて良い。
むしろ結婚などせず、子だけを産んでくれてそれ以外互いに干渉し合わない関係をオレは望んでいた。
しかも。そもそも、自分は子供を愛する事なんて出来るのだろうかーー?
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