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20話 自分の幸せ その2
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ブンド殿を嵌めたパーティーから数週間が経過していた。嵌めたって言うと聞こえが悪いけれど、事実なのでそう言うしかない。まあ、フィルア姉さまが嵌めたことになるんだけど……。
私は第二王女殿下としてとある舞踏会に出席していた。隣にはルーザ嬢の姿がある。
「フェリス様、本日もお美しかと存じます」
「止めてくださいよ、ルーザ嬢。自分の外見に関しては自分が一番分かっていますし」
「いえいえ、本当に美しいと思いますわ」
お世辞なのかどうなのか、少し微妙なところだ。個人的にはそこまで悪くない外見をしているとは思うけれど。他人から見て美しいとまではならないと思っている。まあ、悪い気分ではないので素直に受け取っておくけれど。
「ありがとうございます。それで……あれから、どうですか?」
あれから、というのは勿論、以前のパーティーから何かあったのか? と言う意味だ。ある程度は分かっているけれど、ルーザ嬢の口から聞いておきたかった。
「はい。おかげ様でブンド様とは婚約解消をすることが出来ました」
「良くできましたね。何よりです」
「ブンド様はそれどころではありませんから……まあ、すんなり進むのは必然かと思いますわ」
「それは確かに……そうですね」
ブンド様は王家に盾突いたとしてその地位を脅かされている。近々、侯爵ではなくなることが濃厚となっていた。
ルーザ嬢は別れることになったし、その不名誉は彼女は被らないで済みそうね。思ったよりも重い罰になりそうだけれど、ブンド様をそのままにしておくのは貴族社会にとって悪影響でしかないし、仕方ないのかもしれない。
王家としても生贄という意味合いが強いのだろう。
「フェリス……ここに居たのね」
「フェリス、しばらく振りだな」
「フィルア姉さま……フォルテ兄さまも」
そんな時、フィルア姉さまとフォルテ兄さまが現れた。フォルテ兄さまは私に対して今までと変わらずに接してくれている。それはとても安心材料だった。いつでもシネスタ家に戻れるのだという気持ちにさせてくれるから。
「ブンド殿のことなんてどうでも良いでしょう? あの男は一般人まで格下げになるのだから、気にしたってしょうがないわ」
「あ、やっぱりそうなんですね……ブンド様……」
一般人にまで格下げ……流石のマルカール家も庇いきれないということかしらね。マルカール家を存続させる為にブンド様を切るということだろう。ご愁傷さま……まったく同情は出来ないけれど。
「それよりも、フェリス? 前にも言ったと思うけど、あなたは自分の幸せを掴むことに集中しなさい」
「わかっています、姉さま」
早めに婚約者を見つける……それは私の新たな課題になりつつあった。私は現在は第二王女という立場だ、それなりの責任というのが生まれている。大丈夫、その第一歩が幸せを見つけるということなら自信はある。
「それでは行って来ますね」
「しっかりな、フェリス」
「頑張ってくださいね」
「その意気よ」
フォルテ兄さま、ルーザ嬢、フィルア姉さまが見守ってくれている中、私は周囲の男性の集まりに歩いて行った。向こうも私の存在に気付いているようだ。
「失礼いたします、第二王女のフェリスと申しますわ」
「こ、これはご丁寧に……! フェリス王女殿下!」
私の幸せの物語はここから始まる。
おわり
私は第二王女殿下としてとある舞踏会に出席していた。隣にはルーザ嬢の姿がある。
「フェリス様、本日もお美しかと存じます」
「止めてくださいよ、ルーザ嬢。自分の外見に関しては自分が一番分かっていますし」
「いえいえ、本当に美しいと思いますわ」
お世辞なのかどうなのか、少し微妙なところだ。個人的にはそこまで悪くない外見をしているとは思うけれど。他人から見て美しいとまではならないと思っている。まあ、悪い気分ではないので素直に受け取っておくけれど。
「ありがとうございます。それで……あれから、どうですか?」
あれから、というのは勿論、以前のパーティーから何かあったのか? と言う意味だ。ある程度は分かっているけれど、ルーザ嬢の口から聞いておきたかった。
「はい。おかげ様でブンド様とは婚約解消をすることが出来ました」
「良くできましたね。何よりです」
「ブンド様はそれどころではありませんから……まあ、すんなり進むのは必然かと思いますわ」
「それは確かに……そうですね」
ブンド様は王家に盾突いたとしてその地位を脅かされている。近々、侯爵ではなくなることが濃厚となっていた。
ルーザ嬢は別れることになったし、その不名誉は彼女は被らないで済みそうね。思ったよりも重い罰になりそうだけれど、ブンド様をそのままにしておくのは貴族社会にとって悪影響でしかないし、仕方ないのかもしれない。
王家としても生贄という意味合いが強いのだろう。
「フェリス……ここに居たのね」
「フェリス、しばらく振りだな」
「フィルア姉さま……フォルテ兄さまも」
そんな時、フィルア姉さまとフォルテ兄さまが現れた。フォルテ兄さまは私に対して今までと変わらずに接してくれている。それはとても安心材料だった。いつでもシネスタ家に戻れるのだという気持ちにさせてくれるから。
「ブンド殿のことなんてどうでも良いでしょう? あの男は一般人まで格下げになるのだから、気にしたってしょうがないわ」
「あ、やっぱりそうなんですね……ブンド様……」
一般人にまで格下げ……流石のマルカール家も庇いきれないということかしらね。マルカール家を存続させる為にブンド様を切るということだろう。ご愁傷さま……まったく同情は出来ないけれど。
「それよりも、フェリス? 前にも言ったと思うけど、あなたは自分の幸せを掴むことに集中しなさい」
「わかっています、姉さま」
早めに婚約者を見つける……それは私の新たな課題になりつつあった。私は現在は第二王女という立場だ、それなりの責任というのが生まれている。大丈夫、その第一歩が幸せを見つけるということなら自信はある。
「それでは行って来ますね」
「しっかりな、フェリス」
「頑張ってくださいね」
「その意気よ」
フォルテ兄さま、ルーザ嬢、フィルア姉さまが見守ってくれている中、私は周囲の男性の集まりに歩いて行った。向こうも私の存在に気付いているようだ。
「失礼いたします、第二王女のフェリスと申しますわ」
「こ、これはご丁寧に……! フェリス王女殿下!」
私の幸せの物語はここから始まる。
おわり
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