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13話 さらに豹変 その2
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私はデルタ様が何を考えているのか、まったく分からなかった。最初の豹変ぶりにも驚いたけれど、あの時はまだ、私への軽薄な態度があったので分からなくはなかったのだけれど。今回は完全に敬語での話し口調になっているし、人格が変わったとしか思えなかった。
もしかしたら、別の人物が憑依しているのではないか……そんなことさえ、思ってしまう始末だ。
「どうかしましたか? フラウ嬢? 何かご不明な点があれば、何なりとお申し付けくださいませ」
「は、はあ……」
この段階でもう、不明点が多すぎるんだけれど……とりあえす、私は目先のことを聞いてみた。聞かないわけにはいかなかったから。何を聞けばいいのか正直、迷っていたけれど……私はとにかく口に出すことにした。
「デルタ様……その豹変ぶりは何なのですか? この前、レストランで会った時までは、ストーカー行為に等しいことをされていましたよね?」
「それは……」
私はなるべく詰め気味に話した。デルタ様の行って来たことは決して許されることではないと思えたからだ。連続したストーカー行為についても、議会に訴えれば、真剣に議論される内容だったと思う。バレット侯爵は国家の中でも名門貴族の1つに該当する。
その当主ともあろう者が、ストーカー行為なんてしていたら、他国に示しが付かないと思えたから。
私が詰めた内容について……デルタ様がどのように答えるのかは、非常に興味があった。以前までのストーカー行為をしていた彼であれば、適当にごまかす発言をしていたであろうから。若しくは、自分に非がないことを説明していただろうか。
私やお父様は、デルタ様の次の発言に注目していた。
「それに関しましては……本当に申し訳ないとしか言いようがありません。もちろん、それが失礼なことは重々、承知なのですが……」
「デルタ様……?」
「本当に申し訳ありませんでした、フラウ嬢。ストーカー行為についても、改めてお詫び申し上げます……申し訳ございませんでした!」
デルタ様は少し口調が強くなり、頭を深々と下げていた。
黙られてはいけない……私はそのように自分に言い聞かせているけれど、彼の態度が演技に見えないのも事実だった。私はデルタ様の行為を許すべきなの……? 彼のあまりの豹変ぶりに善悪の区別が付かなくなりつつあった……。
私はこの後、どうすれば良いのだろうか?
もしかしたら、別の人物が憑依しているのではないか……そんなことさえ、思ってしまう始末だ。
「どうかしましたか? フラウ嬢? 何かご不明な点があれば、何なりとお申し付けくださいませ」
「は、はあ……」
この段階でもう、不明点が多すぎるんだけれど……とりあえす、私は目先のことを聞いてみた。聞かないわけにはいかなかったから。何を聞けばいいのか正直、迷っていたけれど……私はとにかく口に出すことにした。
「デルタ様……その豹変ぶりは何なのですか? この前、レストランで会った時までは、ストーカー行為に等しいことをされていましたよね?」
「それは……」
私はなるべく詰め気味に話した。デルタ様の行って来たことは決して許されることではないと思えたからだ。連続したストーカー行為についても、議会に訴えれば、真剣に議論される内容だったと思う。バレット侯爵は国家の中でも名門貴族の1つに該当する。
その当主ともあろう者が、ストーカー行為なんてしていたら、他国に示しが付かないと思えたから。
私が詰めた内容について……デルタ様がどのように答えるのかは、非常に興味があった。以前までのストーカー行為をしていた彼であれば、適当にごまかす発言をしていたであろうから。若しくは、自分に非がないことを説明していただろうか。
私やお父様は、デルタ様の次の発言に注目していた。
「それに関しましては……本当に申し訳ないとしか言いようがありません。もちろん、それが失礼なことは重々、承知なのですが……」
「デルタ様……?」
「本当に申し訳ありませんでした、フラウ嬢。ストーカー行為についても、改めてお詫び申し上げます……申し訳ございませんでした!」
デルタ様は少し口調が強くなり、頭を深々と下げていた。
黙られてはいけない……私はそのように自分に言い聞かせているけれど、彼の態度が演技に見えないのも事実だった。私はデルタ様の行為を許すべきなの……? 彼のあまりの豹変ぶりに善悪の区別が付かなくなりつつあった……。
私はこの後、どうすれば良いのだろうか?
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