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3話 幼馴染 その2
しおりを挟むクインス・アルシンド伯爵令息……私の幼馴染であり、初恋の相手。実に5年振りの再会ということになる。向こうは私のことを覚えてくれているのだろうか?
本日、私の家に来てくれることになったけど。私は私室で待機しているけれど、とても緊張してしまっていた。
「シルファ様、クインス・アルシンド伯爵令息がお越しになっております。お通ししても宜しいでしょうか?」
「ええ、お願いするわ・お通しして」
「畏まりました」
「失礼致します」
5年振りのクインスとの対面だった。かなり背が伸びた気がするけれど、当然か。私達も17歳になったわけだしね。
「クインスその……久しぶりね」
「ああ、久しぶりだね。シルファ、本日は呼んでいただいて光栄だよ」
「いえ、そんなことは……」
5年振りの幼馴染との会話。緊張しているのは確かだけれど、それ以上に初恋の相手に出会えた嬉しさがあった。クインスも笑顔になっているから、私に会えたことを喜んでくれているのだと思うわ。
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「クインス、5年振りだけどあんまり変わっていないの?」
「シルファと前に会っていたのは12歳の時だからな。流石に私も当時に比べたら成長しているよ。背丈も伸びたし、精神的にも変わったはずだ」
「そっか」
「君も変わったな、シルファ。可愛くなった」
「な、何を言っているのよ……!」
やはりクインスは変わったようだ。昔はこんな恥ずかしいセリフは言っていなかったから……。思わず私は彼から顔を逸らしてしまう。
「はは、冗談だよシルファ。いくら幼馴染の関係でも、いきなりこんなことを言うのは失礼だったかな」
「いえ、失礼だとは思わないけれど……ちょっとビックリしてしまっただけで」
「怒っているわけじゃないのか?」
「怒ってないんていないわよ」
むしろ、先ほどの一言で5年間の距離が一気に近づいた気がしなくもない。
「おかえりなさい、クインス」
「ああ。ただいま、シルファ」
お互いに改めて再会を確認した。
「ところで、シルファ。聞きたいことがあるんだけど」
「どうかしたの?」
「ここに来る前にシルファが婚約していたことは聞いているんだ。ただ、その相手方……リーガス・ドルアット侯爵令息だったかな? リーガス様と別れた、と聞いたんだが」
「クインス、知っていたのね……」
「ああ、済まない。君の情報だったんで知っておきたかったんだ」
別にクインスが謝る必要はなけれど、婚約破棄の件を知られてしまったか。まあ、いずれは知られることだろうけれど、恥ずかしいことだった。ただまあ、ここまで知られている以上は最後まで話した方が良いかもしれないわね。リーガス様が浮気を続けていて、私がそれに我慢できなかったことを。
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