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2話 幼馴染 その1
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「う~む、なるほど……そう言う理由で向こうの屋敷を出て来たというわか……」
「許されないことだとは理解しています、お父様。本当に申し訳ありません」
「いや、シルファ。お前が悪いことは何もないと思うぞ?」
お父様は私を責めることはしなかった。それはとても嬉しいことなのだけれど、それと同時に罪悪感も生まれてしまう。私はウォークライ伯爵家に迷惑を掛けたことは明白なのだから。おそらくは今までの歴史の中でこのような婚約破棄はなかっただろうとさえ思えるし。
「シルファよ。お前は一度、リーガス・ドルアット侯爵令息のことは忘れた方が良いであろうな」
「それはそうかもしれませんが……私の方から申し出た婚約破棄とはいえ、罪悪感が生まれておりまして……」
「むむ、それはいかんな! 元々はリーガス殿の浮気が原因なのだし、お前が気にすることは間違っているぞ」
「それは確かにそうかもしれませんが……」
気持ち的には分かっていることなのだけれど、婚約破棄という決断は大きなことだ。それに対する罪悪感はどうしても生まれてしまうのだった……。
「シルファよ、お前が罪悪感を持つというのは完全に間違っている」
「は、はい……気持ちとしては分かっているのですが……」
「お前がどうしても罪悪感を持ってしまうのであれば、さらなる衝撃で上塗りをするしかないな!」
「さらなる衝撃ですか……?」
リーガス様との婚約破棄以上の衝撃で上塗りをするというのが、お父様の考えだろうか? 確かにそれは良い考えなのかもしれないけれど……私が考えた段階では、婚約破棄以上の衝撃は考え付かなかった。
「申し訳ございません、お父様。お言葉ではございますが、リーガス様との婚約破棄以上の衝撃思いつかないのですが……?」
「まあ、通常はそうだろうな。ふふふふふふっ」
「……?」
お父様は不敵な笑みを浮かべていた。自信満々といった表情にもなっている。期待しても良いのだろうか?
「お父様、お聞かせいただいても宜しいでしょうか?」
「うむ、勿論だ。もう5年にはなるのか……お前の初恋の相手だろう? クインス・アルシンド伯爵令息がこの国に戻って来ているようなのだ」
「えっ……クインスが……?」
「ああ、確かな情報源だからな。間違いないと思うよ」
クインス・アルシンドは伯爵令息……私とは幼馴染の関係になる。お父様の言う通り、昔の初恋の相手ではあるけれど……色々と事情があって、会えない日々が続いていた。そんなクインスが戻って来ている? 私の心は自然と高鳴っていた。
「許されないことだとは理解しています、お父様。本当に申し訳ありません」
「いや、シルファ。お前が悪いことは何もないと思うぞ?」
お父様は私を責めることはしなかった。それはとても嬉しいことなのだけれど、それと同時に罪悪感も生まれてしまう。私はウォークライ伯爵家に迷惑を掛けたことは明白なのだから。おそらくは今までの歴史の中でこのような婚約破棄はなかっただろうとさえ思えるし。
「シルファよ。お前は一度、リーガス・ドルアット侯爵令息のことは忘れた方が良いであろうな」
「それはそうかもしれませんが……私の方から申し出た婚約破棄とはいえ、罪悪感が生まれておりまして……」
「むむ、それはいかんな! 元々はリーガス殿の浮気が原因なのだし、お前が気にすることは間違っているぞ」
「それは確かにそうかもしれませんが……」
気持ち的には分かっていることなのだけれど、婚約破棄という決断は大きなことだ。それに対する罪悪感はどうしても生まれてしまうのだった……。
「シルファよ、お前が罪悪感を持つというのは完全に間違っている」
「は、はい……気持ちとしては分かっているのですが……」
「お前がどうしても罪悪感を持ってしまうのであれば、さらなる衝撃で上塗りをするしかないな!」
「さらなる衝撃ですか……?」
リーガス様との婚約破棄以上の衝撃で上塗りをするというのが、お父様の考えだろうか? 確かにそれは良い考えなのかもしれないけれど……私が考えた段階では、婚約破棄以上の衝撃は考え付かなかった。
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「……?」
お父様は不敵な笑みを浮かべていた。自信満々といった表情にもなっている。期待しても良いのだろうか?
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「うむ、勿論だ。もう5年にはなるのか……お前の初恋の相手だろう? クインス・アルシンド伯爵令息がこの国に戻って来ているようなのだ」
「えっ……クインスが……?」
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