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1話 理不尽 その1
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私の名前はシャーリー・ベルン。年齢は17歳で伯爵令嬢の立場にある。
アクウィル・ミゼルバ侯爵と婚約をしていたのだけれど……1年も経過したある日のことだった。
「シャーリー、お前との婚約はなかったことにしてもらおうか」
「アクウィル様? ど、どういうことでしょうか……?」
「そのままの意味だよ、私は幼馴染のエリザと結婚することにしたんだ。真実の愛の前では、政略結婚なんて無意味なものだろう」
「そ、それは……!」
エリザ・カッサール侯爵令嬢……私より上の達場の人でアクウィル様の幼馴染だ。確かに私とアクウィル様の婚約は政略的なものが強かったけれど、いきなり別れてくれだなんて勝手過ぎる。これは俗にいう婚約破棄と言うものだから……。
「ごめんなさいね、シャーリー嬢。あなたの出る幕はないのよ。大人しくアクウィルとの婚約破棄を受け入れなさい」
「え、エリザ様……」
エリザ様も同じ部屋に現れた。そしてアクウィル様と仲良さそうに添い遂げている。私に敗北感を味わわせようとしているのだろうか……。
「アクウィル様、エリザ様……これは決して許されることではありません」
「そうだな、社会通念上は許されることではない。だからどうしたと言うのだ?」
「……」
まったく反省している様子がないアクウィル様……これは何を言っても無駄な気がしてしまった。私は一瞬、涙が出て来そうになったけれど、ぐっと堪える。
「もう何を言っても無駄なようですね……わかりました。どうぞお幸せに……」
「ふはははは、ありがとうシャーリー。あ、ちなみに仕方がないので慰謝料は払ってやるさ。ありがたく思えよ!」
「……」
婚約破棄になるのだから、慰謝料を支払うのは当たり前のことだ。私は何も嬉しくなんてなかった。
とにかくこのことをお父様に伝えなければならない……きっと私のことを分かってくれるはずだ。
-----------------------
私は屋敷に戻るとお父様に事の顛末を全て話した。味方になってくれると期待していたのだけれど……そうは行かなかった。
「婚約破棄をされただと……? お前はベルン家の歴史に泥を塗ったということだな?」
「も、申し訳ありません……でも、アクウィル様は慰謝料を支払うとは言っていましたが……」
「そういうことを言っているのではないわ! この穀潰しがーーーー!」
「お、お父様……!?」
お父様は今にも襲い掛からんばかりに怒鳴っていた。これは予想外のことだ……そんなに私は間違ったことをしてしまったのだろうか。
アクウィル・ミゼルバ侯爵と婚約をしていたのだけれど……1年も経過したある日のことだった。
「シャーリー、お前との婚約はなかったことにしてもらおうか」
「アクウィル様? ど、どういうことでしょうか……?」
「そのままの意味だよ、私は幼馴染のエリザと結婚することにしたんだ。真実の愛の前では、政略結婚なんて無意味なものだろう」
「そ、それは……!」
エリザ・カッサール侯爵令嬢……私より上の達場の人でアクウィル様の幼馴染だ。確かに私とアクウィル様の婚約は政略的なものが強かったけれど、いきなり別れてくれだなんて勝手過ぎる。これは俗にいう婚約破棄と言うものだから……。
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「え、エリザ様……」
エリザ様も同じ部屋に現れた。そしてアクウィル様と仲良さそうに添い遂げている。私に敗北感を味わわせようとしているのだろうか……。
「アクウィル様、エリザ様……これは決して許されることではありません」
「そうだな、社会通念上は許されることではない。だからどうしたと言うのだ?」
「……」
まったく反省している様子がないアクウィル様……これは何を言っても無駄な気がしてしまった。私は一瞬、涙が出て来そうになったけれど、ぐっと堪える。
「もう何を言っても無駄なようですね……わかりました。どうぞお幸せに……」
「ふはははは、ありがとうシャーリー。あ、ちなみに仕方がないので慰謝料は払ってやるさ。ありがたく思えよ!」
「……」
婚約破棄になるのだから、慰謝料を支払うのは当たり前のことだ。私は何も嬉しくなんてなかった。
とにかくこのことをお父様に伝えなければならない……きっと私のことを分かってくれるはずだ。
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「婚約破棄をされただと……? お前はベルン家の歴史に泥を塗ったということだな?」
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