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7話 幼馴染 その1
しおりを挟む「シャーリーか、奇遇だな」
「本当に奇遇ね……」
私達の前に現れたのは、アクウィル様とその幼馴染のエリザ様だった。まさかこんなタイミングで出会うなんて……。
「アクウィル様……ご無沙汰しております」
「ああ、久しぶりだな」
そんな久しぶりの出会いでもないけれど、社交辞令的にそのような流れになった。アクウィル様は私をマジマジと見ている。元気そうな私がめずらしいのかもしれないわね。
「随分と元気そうじゃないか。これは意外だったよ」
「意外でしたか……ですがこの通り、私は元気にやっていますので。ご心配には及びません」
少しだけ皮肉を混ぜて言ってみた。アクウィル様のことは忘れたいけれど、全然反省していない彼を見て、あの時の恨みが再燃してしまったから。
「なんだか皮肉が混ざっていない? アクウィル、この子あなたのことを馬鹿にしているわよ」
「おやおや、これは心外なことだ。リオン殿のおかげで元気になれたのかと思っていたが、恨みは残っているようだな」
「まさか……」
私は出来るだけ顔に出さないように平静を装った。でも二人には通じなかったみたい。
「あははは! シャーリー嬢、誤魔化しては駄目よ! ビックリするくらい怒っているでしょう?」
「ふははははは! しっかりと顔に出ているぞ!」
「……」
二人は好き勝手に私の印象を述べ、好き勝手に笑っている。
この二人は本当に人間の血が流れているのかしら? 婚約破棄の時でも散々な目に遭わされたし、酷過ぎるわ。
「怒ってなんていませんよ……もう、どうでも良いことです」
「無理をするなよ、シャーリー。お前は私への想いを捨てきれてないんだろう?」
「まさかそんなことは……」
「嘘を吐いても私にはすぐに分かるぞ? 婚約破棄の時、私に泣きついていたじゃないか。婚約破棄はしないでくださいって。何でもしますからって」
何を言っているのだろう? この男は……私は割とすぐに退避したと思うけれど。少なくとも泣きついたりはしていない。あの時は悔しさや憎しみでいっぱいだったから、そんなことをするはずがないし。
「そういうことだか、リオン殿。付き合う相手は選んだ方が良いと思いますよ?」
「……!」
そう言いながら、アクウィル様はリオンに話しかけていた。そうか……彼は私とリオンの関係を壊そうとしているのか。信じられない……出会ったのは偶然なはずなのに、いきなりそこまで考える? 本当に人間の血が流れていないんじゃないだろうか……。
「心配には及ばない、アクウィル殿。私とシャーリーの関係は幼馴染だ。それも貴方達のように薄い関係ではない」
「リオン……」
しかし、リオンは非常に冷静だった。顔色一つ変えずにアクウィル様に返答したのだ。
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