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6話 彼と一緒に
しおりを挟むあれから少し時間が経過した。私はその後も頻繁にリオンと会っている。彼と一緒に居ると心が晴れ渡るようだったからだ。単純に一緒に居て楽しいということだけれど……。
「ふふ、リオン!」
「ははは、シャーリー。そんな引っ付くものじゃないよ……照れ臭いじゃないか」
「嫌なの?」
「ううん、全然嫌じゃないよ。ただ、私との仲を誤解されないかと思ってさ」
あのパーティーの時も私達は仲良く話していた。今現在も腕を組んで歩いている。完全にカップルだと思われていることだろう。貴族の間では既に噂が立っているかもしれないわね。でも、私はそれでも良いと思えた。
隠していても仕方がないし、私の気持ちは彼に届いていると思うし。まあ、腕を組んでいる時点でバレていると思うけれど。今まではその辺りには踏み込まないようにしていたけれど、そろそろ話しても良いかもしれない。
「リオンはその……私と一緒に居て楽しい?」
私は彼に否定されたら嫌だなと、内心では思っていた。彼は私に合わせてくれているだけの可能性もあったから。
「楽しいよ、当然じゃないか」
でも、リオンから返って来た言葉は力強く、一点の曇りすらないものだった。
「で、でも……ほら、私達の関係ってさ」
「ああ、どうしたんだ?」
「その……一応はあの時のパーティーからで、同情……とかも入っているのかな、て考えたこともあったから」
「同情? 何に対しての?」
リオンは本当に分かっていなかったのか、キョトンとした表情をしている。あれ、私の考えすぎだったかな……?
「ほら……私がアクウィル様と婚約破棄してたら、今の関係性になったでしょ? カップルみたいな……」
「まあ、そうだね。君が婚約破棄に遭わなければ、こういう未来はなかったわけだし、私としては嬉しいまであるよ」
「なっ……リオン……!」
なんだか、話がおかしな方向に行っているような気がする。ドキドキしながら彼の次の言葉を待っていると……。
「ん? シャーリーか?」
「あら、彼女がシャーリーって言うの? こんなところで奇遇だこと」
「えっ……?」
なんだか聞き覚えのある声が聞こえたような……そちらの方向にリオンと一緒に振り返った。
そこにはなんと、アクウィル様が立っていたのだ。隣に居るのは彼の幼馴染のエリザ様だ。ここは貴族街の大通りではあるけれど、まさかこんなところで出会うなんて思わなかった。しかも、リオンから核心の言葉を聞けると思った直前になんて。
神様は全てにおいて味方をしてくれるわけではなさそうだ……。
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