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9話 フィオナ その2
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「……私はどうすればいいのでしょうか?」
「さっきも言ったが、アンネリー殿に謝罪をしてほしいのだ。そうでなければ、私はここを去るわけにはいかない」
「……」
王太子殿下の言葉に無言で返すフィオナ。とりあえず一言、心を込めて謝ってくれれば、色々と襲撃について協力できたりとかスムーズに運びそうなんだけど。フィオナはプライドが邪魔をしているのか、私に対して謝る様子を見せていなかった。
同じ室内に居る何人かは部屋を出たくて必死みたい。先ほどから、相当に怖がっている。
「……それは出来ません。私が侯爵の娘に対して謝るなど……」
「フィオナ・フューリ……それは失言かもしれないぞ?」
キニスン王太子殿下はめずらしく? 怒気を露わにしていた。フィオナも彼の表情には驚いている様子だ。私自身も少し怖くなってしまった。
「フューリ家は王家とも親類関係になる名家……その名家の令嬢である私が謝罪など。いくら、王太子殿下のお言葉でも拒否させていただきます」
「……それがフューリ家としての考えでいいのだな?」
「……はい、殿下。ただし、浮気をした張本人はシャルナック第七王子であることをお忘れなきよう」
形式的な謝罪はともかく、心からの謝罪は決して出来ない……。フィオナはそのように宣言したも同然だった。確かに、婚約破棄の原因になったのはシャルナックだけれど。まさか、王太子殿下にここまで言われて、キッパリと断って来る度量があるなんて思わなかった。
しかも、元々の原因は王家ゆかりの者ですよ、と言っている。私は敵ながら、その神経の図太さには感心せざるを得なかった。
「シャルナックが原因か……そんな言い訳が通用するとも思ってはいまい」
「私は襲撃の犯人を捜すことで手一杯なのです。そろそろ、お引き取り願えますか?」
「……そちらの考えは十分に理解できた。今後の方針については、追って連絡するとしよう」
私も同じだけれど、キニスン王太子殿下はそれ以上に怒りの感情を露わにしていたように思える。それも私の為だと思うと嬉しいけれど……まさか、フィオナとの話し合いがこんな風になるなんて思わなかった。
「アンネリー殿、行くとしようか。フューリ家に対する罰も検討しなければならないからな」
「は、はい……王太子殿下……」
「殿下、シャルナック王子が悪いのですよ? そのことについては、本当に忘れないでくださいね?」
憎たらしさを感じるフィオナからの言葉……先ほどの謝罪は本当に形式的な物だったみたいね。こちらが本性といったところかしら? 私と王太子殿下はやり切れない思いを持ちながら、フューリ家を去ることにした。
「さっきも言ったが、アンネリー殿に謝罪をしてほしいのだ。そうでなければ、私はここを去るわけにはいかない」
「……」
王太子殿下の言葉に無言で返すフィオナ。とりあえず一言、心を込めて謝ってくれれば、色々と襲撃について協力できたりとかスムーズに運びそうなんだけど。フィオナはプライドが邪魔をしているのか、私に対して謝る様子を見せていなかった。
同じ室内に居る何人かは部屋を出たくて必死みたい。先ほどから、相当に怖がっている。
「……それは出来ません。私が侯爵の娘に対して謝るなど……」
「フィオナ・フューリ……それは失言かもしれないぞ?」
キニスン王太子殿下はめずらしく? 怒気を露わにしていた。フィオナも彼の表情には驚いている様子だ。私自身も少し怖くなってしまった。
「フューリ家は王家とも親類関係になる名家……その名家の令嬢である私が謝罪など。いくら、王太子殿下のお言葉でも拒否させていただきます」
「……それがフューリ家としての考えでいいのだな?」
「……はい、殿下。ただし、浮気をした張本人はシャルナック第七王子であることをお忘れなきよう」
形式的な謝罪はともかく、心からの謝罪は決して出来ない……。フィオナはそのように宣言したも同然だった。確かに、婚約破棄の原因になったのはシャルナックだけれど。まさか、王太子殿下にここまで言われて、キッパリと断って来る度量があるなんて思わなかった。
しかも、元々の原因は王家ゆかりの者ですよ、と言っている。私は敵ながら、その神経の図太さには感心せざるを得なかった。
「シャルナックが原因か……そんな言い訳が通用するとも思ってはいまい」
「私は襲撃の犯人を捜すことで手一杯なのです。そろそろ、お引き取り願えますか?」
「……そちらの考えは十分に理解できた。今後の方針については、追って連絡するとしよう」
私も同じだけれど、キニスン王太子殿下はそれ以上に怒りの感情を露わにしていたように思える。それも私の為だと思うと嬉しいけれど……まさか、フィオナとの話し合いがこんな風になるなんて思わなかった。
「アンネリー殿、行くとしようか。フューリ家に対する罰も検討しなければならないからな」
「は、はい……王太子殿下……」
「殿下、シャルナック王子が悪いのですよ? そのことについては、本当に忘れないでくださいね?」
憎たらしさを感じるフィオナからの言葉……先ほどの謝罪は本当に形式的な物だったみたいね。こちらが本性といったところかしら? 私と王太子殿下はやり切れない思いを持ちながら、フューリ家を去ることにした。
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