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32話 ブリスド宮殿 その2
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「し、失礼いたします……」
「うむ、そちらに掛けてくれたまへ」
「は、はい……」
私は宮殿での食事に呼ばれた。王族の方々と一緒の食卓だ。隣にはメイドのドルチェが先に別室で食事を済ませ立っていた。そこまで急ぐ必要はないけれど、王族の方々の前だしね。王子殿下達が来られることは予想していたし、リュート王女も私の右隣に座っていた。
「シャルナ、そんなに緊張する必要はないと思うぞ? 父上もそれは望んでおられない」
「はい、それは存じておりますが……」
そう、この食卓の場にはレイブン王国の国王陛下である、ドラコ・レイブン様がいらっしゃったのだから。さらに、マルガリータ王妃様もいらっしゃる。側室の方がいらっしゃらないようだけれど。つまりはベノム様のお母様が居ないということね。
それからケビン第一王子様の姿も見られないわね。むしろドラコ国王陛下よりもいらっしゃる可能性が高いと思っていたけど。まあ、仕事で一緒の食卓を囲めないなんて日常茶飯事だろうし。
「シャルナ嬢……噂には聞いているよ。なんでも、我が息子たちの心を鷲掴みにしているそうだな」
食事が始まった瞬間、国王陛下から予期せぬ発言が飛んできた。私は思わず口に入れた食べ物を吐き出しそうになってしまう。なんとか留めることに成功したけれど……本当に危なかったわ。
「鷲掴みだなんて……恐れ多いことでございます、陛下」
「そうなのか? わはははは、しかしシャルナ嬢であれば鷲掴みにされても仕方あるまい」
「そうですわね……シャルナ嬢はパーティー会場で何度もお見受けしたけれど、評判が良いですからね」
「あっ……」
王妃様にも見られていたのね……周囲への貴族に対する振る舞いを評価されている。これがメープルだったら、今頃は叱責の嵐だったかもしれない。今までのパーティーは楽しいと思えたものの方が少なかったけれど、決して無駄ではなかったのね。
「婚約者候補として宮殿に住むことも聞いている。自分の屋敷だと思って自由に使って構わないぞ? ユアンやベノムで物足りなければ、第一王子のケビンを差し向けよう」
「いえ、そのようなことは……! 物足りないだなんて……!!」
どういう意味で物足りないというのだろうか? まさか……いえ、深く考えるのはよそう。教育に良くない。
「父上……お戯れはその辺りでお願いいたします。シャルナが非常に戸惑っていますので」
「ははは、そうか。シャルナ嬢は処女であったか」
「うう……それは……」
「お父様、不潔です……」
「むむっ? 待ってくれリュート! 私は決して下心なんてないのだぞ……!?」
「あなた、下心がなんですって?」
「うお、マルガリータ!」
噂には聞いているけれど、プライベートの国王陛下がこんなに型破りだなんて思わなかったわ。楽しい一家団欒が続いていた。私はその一員として選ばれた……想像以上に嬉しい。自然と食事を進めるペースが早くなっていた。
でも、ユアン様やベノム様以外にも、第一王子殿下も候補として選べるの? ケビン様は相手がいらっしゃるはずだけど……もしかして略奪愛!? なんて変なことを考えながら。
「うむ、そちらに掛けてくれたまへ」
「は、はい……」
私は宮殿での食事に呼ばれた。王族の方々と一緒の食卓だ。隣にはメイドのドルチェが先に別室で食事を済ませ立っていた。そこまで急ぐ必要はないけれど、王族の方々の前だしね。王子殿下達が来られることは予想していたし、リュート王女も私の右隣に座っていた。
「シャルナ、そんなに緊張する必要はないと思うぞ? 父上もそれは望んでおられない」
「はい、それは存じておりますが……」
そう、この食卓の場にはレイブン王国の国王陛下である、ドラコ・レイブン様がいらっしゃったのだから。さらに、マルガリータ王妃様もいらっしゃる。側室の方がいらっしゃらないようだけれど。つまりはベノム様のお母様が居ないということね。
それからケビン第一王子様の姿も見られないわね。むしろドラコ国王陛下よりもいらっしゃる可能性が高いと思っていたけど。まあ、仕事で一緒の食卓を囲めないなんて日常茶飯事だろうし。
「シャルナ嬢……噂には聞いているよ。なんでも、我が息子たちの心を鷲掴みにしているそうだな」
食事が始まった瞬間、国王陛下から予期せぬ発言が飛んできた。私は思わず口に入れた食べ物を吐き出しそうになってしまう。なんとか留めることに成功したけれど……本当に危なかったわ。
「鷲掴みだなんて……恐れ多いことでございます、陛下」
「そうなのか? わはははは、しかしシャルナ嬢であれば鷲掴みにされても仕方あるまい」
「そうですわね……シャルナ嬢はパーティー会場で何度もお見受けしたけれど、評判が良いですからね」
「あっ……」
王妃様にも見られていたのね……周囲への貴族に対する振る舞いを評価されている。これがメープルだったら、今頃は叱責の嵐だったかもしれない。今までのパーティーは楽しいと思えたものの方が少なかったけれど、決して無駄ではなかったのね。
「婚約者候補として宮殿に住むことも聞いている。自分の屋敷だと思って自由に使って構わないぞ? ユアンやベノムで物足りなければ、第一王子のケビンを差し向けよう」
「いえ、そのようなことは……! 物足りないだなんて……!!」
どういう意味で物足りないというのだろうか? まさか……いえ、深く考えるのはよそう。教育に良くない。
「父上……お戯れはその辺りでお願いいたします。シャルナが非常に戸惑っていますので」
「ははは、そうか。シャルナ嬢は処女であったか」
「うう……それは……」
「お父様、不潔です……」
「むむっ? 待ってくれリュート! 私は決して下心なんてないのだぞ……!?」
「あなた、下心がなんですって?」
「うお、マルガリータ!」
噂には聞いているけれど、プライベートの国王陛下がこんなに型破りだなんて思わなかったわ。楽しい一家団欒が続いていた。私はその一員として選ばれた……想像以上に嬉しい。自然と食事を進めるペースが早くなっていた。
でも、ユアン様やベノム様以外にも、第一王子殿下も候補として選べるの? ケビン様は相手がいらっしゃるはずだけど……もしかして略奪愛!? なんて変なことを考えながら。
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