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57話 妹との和解 その4
しおりを挟む「メープル……」
「なんですか? シャルナ姉さま?」
「まさかあなたに、そんなことを指摘されるとは思いもしなかったわ」
「いや~~~、褒めないでくださいよ。照れちゃうじゃないですか!」
決して褒めてるわけじゃないんだけどな……でも、ある意味で感心してるのは事実だ。あの、幼い頃から甘やかされて育ってきた妹のメープルが……。私はそんな彼女を反面教師にして、他の貴族との関係性を良好なものにしたりとパーティーの席で楽しめた経験なんてほとんどなかったのに。
あのユアン様やベノム様と過ごしたパーティーを除いては……。
「念のため言っておくけど、褒めてはいないからね?」
「分かってますよ、姉さま。今まで色んな迷惑を姉さまに掛けてきたんですから。こんなことくらいで褒められるなんて微塵も思っていません」
「……」
メープルはどこまで本気話しているのか、それが読めなかった。彼女は昔から甘やかされて育ってはきたけど、男性経験や恋愛経験という意味では私なんて比べ物にならない。だから……そっち方面での指摘というのは、無下にするわけにもいかないのよね。癪ではあるけれど……。
でも、今回は私もやらかしてしまったわけだし、お互い様かもしれない。メープルもやらかしたし、私もやらかしてしまった……ただ、それだけのこと。それによってユアン様を傷付ける結果になってしまったけれど、おそらくメープルがフォローをしてくれたのだと思う。
「ねえ、メープル……その、言っておきたいことがあるんだけれど」
「……? なんですか?」
「その……ありがとう。フォローしてくれたみたいだし。主にユアン様の件について」
「シャルナ姉さまから、ありがとうっていう言葉が出るとは思いませんでしたよ」
「私だって言いたいわけじゃないわよ……」
「分かってますよ」
メープルには本当に今まで迷惑を掛けられてきた。今回のことくらいではとても帳消しになんて出来ないくらいに。でも彼女はリシド様の再々教育で確実に変わりつつはあると思う。その点に関してはしっかりと認めようと思っている。
「でも、メープル。私達は血の通った姉妹だわ」
「ええ、そうですね」
「これから少しでも、歩み寄っていければ良いと考えているのだけれど……どうかしら?」
これは妹への本心の問いかけでもある。こんな気持ちが浮かんでくるなんて、少し前の私からは想像できなかった。私も少し成長した……というよりも、色んな人に出会えて物事の見方が変わったのかもしれない。さて、メープルの答えはどうなるかしら?
「もちろんです姉さま。姉さまは今後、私にとっても利益になる人なので……仲良くしたいとは思ってますし」
「あなたは本当に……」
「あははははっ」
「ふふふっ、まったくもう……」
打算なのか本心なのか分からない微妙な答えが返って来た。まあ、それでこそメープルと言えるのかもしれないわね。私達の関係性が少しでも良くなるように……私は努力していきたいと思う。今はそんな感情に支配されていた。
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