14 / 43
14話 ヨハン王子殿下の反撃 その1
しおりを挟む
「アミーナ・ファルスにはどういった罰を与えてやろうか……ただで済むと思うな? 私の大切な後継者であるリグリットを誑かしおって……!」
「そんな……私は確かに、エレナ様に対して優越感は感じていました。ですが、リグリットが言ったことなんて、一切身に覚えがありません!」
「リグリットだと? たかが伯爵令嬢ごときが、私の息子を呼び捨てにするな! この女狐が!!」
必死に弁解するアミーナ様。彼女自身、私に対しての後ろめたさがあるのか、あまりガイア様に強く出れないのも確かだろう。しかし、先ほどのリグリット様の話がまったく身に覚えはないだろう。彼女の表情を見ていればすぐに分かる。ガイア様がそれに気付かないのは、リグリット様を信じたいと思うがゆえの反動だろうか。
ある意味では親心と言えるのかもしれない……嫌な親心だけれど。
「ガイア殿、少し落ち着くのだ」
「ヨハン王子殿下。申し訳ございません。王子殿下の立場からすれば、エレナ嬢を優先したいのかもしれませんが……エレナ嬢への謝罪等はまた今度にさせていただけませんか?」
「ふむ、そういう話ではないのだがな。確かにエレナを優先したいという気持ちは大きいが」
「えっ? どういうことですか……?」
ヨハン様の何気ない言葉に真っ先に反応したのは、意外にもリグリット様だった。私もどの部分に反応したのか、分からなかったけれど、明らかにリグリット様はヨハン様の方向を見ていた。
「失礼ですがヨハン王子殿下。エレナとはどのようなご関係で……?」
よりにもよってその部分か……普段は気遣いなど全然しないくせに、こういう時の反応の早さは単純に困る。まったく……迷惑でしかない。
「エレナとは……幼馴染というだけさ」
「幼馴染……!?」
「ああ」
「知らなかったのか、リグリット? お前とのことで相談に来た時も、ヨハン王子殿下とエレナ嬢は一緒だったのだぞ」
ガイア様は話をややこしくさせる達人なのだろうか? なぜ、この場面で私とヨハン様が幼馴染であることを強調させるのだろうか? ヨハン様には何か狙いがあるようだけれど……。
「エレナ、お前……まさか、王子殿下と幼馴染という理由で会っていたのか? 私に内緒で……!」
「いえ、そんなことは……私はリグリット様と違ってやましいことなんてしてませんし」
「まるで私がやましいことをしていたみたいに言うな! 私はアミーナと会っていたが、お前だって幼馴染のヨハン王子殿下と会っていた……ははは、さぞかし楽しかったのだろうな? お前が私を責めることは、これで出来なくなったな!」
「……」
リグリット様は起きている出来事が広がり過ぎて、頭の中で処理が追い付いていない。自分の中での設定をおそらく忘れてしまっている。現状で彼が、私とヨハン様の関係性を怒る意味はないのだから。
「やれやれ……こんなバカな者達がバークス公爵家を継いでいるとなると、この家系はすぐに没落する未来しか見えないな」
「ヨハン王子殿下? それはどういう意味ですかな……?」
少しムッとしたのか、ガイア様は言葉を荒げていた。ヨハン様は頭を抱えながら溜息を吐いている。
「私の方としても何から手を付けていいのか、分からなくなってしまったが……まずは、アミーナ嬢から救うとするか。ガイア殿、先ほどのリグリット・バークスの話は完全にデタラメだ」
「デタラメ……? な、何を根拠に……!?」
「それを1つ1つ、説明しないと分からないのか? まずは本人が否定していることが挙げられるが……やれやれ、少々、時間が掛かりそうだな。まあ、それも楽しいか」
本音としてはヨハン様は説明することすら面倒なのだと思う。でも、その必要性が出てきてしまった。だからこそ敢えて、楽しんで説明しようと考えているのかもしれない。そうでもしないと、怒りが先行しそうな状況なのだろう。ヨハン様は冷静に見えているけれど、拳にはとんでもない程に力が込められていたから……。
「そんな……私は確かに、エレナ様に対して優越感は感じていました。ですが、リグリットが言ったことなんて、一切身に覚えがありません!」
「リグリットだと? たかが伯爵令嬢ごときが、私の息子を呼び捨てにするな! この女狐が!!」
必死に弁解するアミーナ様。彼女自身、私に対しての後ろめたさがあるのか、あまりガイア様に強く出れないのも確かだろう。しかし、先ほどのリグリット様の話がまったく身に覚えはないだろう。彼女の表情を見ていればすぐに分かる。ガイア様がそれに気付かないのは、リグリット様を信じたいと思うがゆえの反動だろうか。
ある意味では親心と言えるのかもしれない……嫌な親心だけれど。
「ガイア殿、少し落ち着くのだ」
「ヨハン王子殿下。申し訳ございません。王子殿下の立場からすれば、エレナ嬢を優先したいのかもしれませんが……エレナ嬢への謝罪等はまた今度にさせていただけませんか?」
「ふむ、そういう話ではないのだがな。確かにエレナを優先したいという気持ちは大きいが」
「えっ? どういうことですか……?」
ヨハン様の何気ない言葉に真っ先に反応したのは、意外にもリグリット様だった。私もどの部分に反応したのか、分からなかったけれど、明らかにリグリット様はヨハン様の方向を見ていた。
「失礼ですがヨハン王子殿下。エレナとはどのようなご関係で……?」
よりにもよってその部分か……普段は気遣いなど全然しないくせに、こういう時の反応の早さは単純に困る。まったく……迷惑でしかない。
「エレナとは……幼馴染というだけさ」
「幼馴染……!?」
「ああ」
「知らなかったのか、リグリット? お前とのことで相談に来た時も、ヨハン王子殿下とエレナ嬢は一緒だったのだぞ」
ガイア様は話をややこしくさせる達人なのだろうか? なぜ、この場面で私とヨハン様が幼馴染であることを強調させるのだろうか? ヨハン様には何か狙いがあるようだけれど……。
「エレナ、お前……まさか、王子殿下と幼馴染という理由で会っていたのか? 私に内緒で……!」
「いえ、そんなことは……私はリグリット様と違ってやましいことなんてしてませんし」
「まるで私がやましいことをしていたみたいに言うな! 私はアミーナと会っていたが、お前だって幼馴染のヨハン王子殿下と会っていた……ははは、さぞかし楽しかったのだろうな? お前が私を責めることは、これで出来なくなったな!」
「……」
リグリット様は起きている出来事が広がり過ぎて、頭の中で処理が追い付いていない。自分の中での設定をおそらく忘れてしまっている。現状で彼が、私とヨハン様の関係性を怒る意味はないのだから。
「やれやれ……こんなバカな者達がバークス公爵家を継いでいるとなると、この家系はすぐに没落する未来しか見えないな」
「ヨハン王子殿下? それはどういう意味ですかな……?」
少しムッとしたのか、ガイア様は言葉を荒げていた。ヨハン様は頭を抱えながら溜息を吐いている。
「私の方としても何から手を付けていいのか、分からなくなってしまったが……まずは、アミーナ嬢から救うとするか。ガイア殿、先ほどのリグリット・バークスの話は完全にデタラメだ」
「デタラメ……? な、何を根拠に……!?」
「それを1つ1つ、説明しないと分からないのか? まずは本人が否定していることが挙げられるが……やれやれ、少々、時間が掛かりそうだな。まあ、それも楽しいか」
本音としてはヨハン様は説明することすら面倒なのだと思う。でも、その必要性が出てきてしまった。だからこそ敢えて、楽しんで説明しようと考えているのかもしれない。そうでもしないと、怒りが先行しそうな状況なのだろう。ヨハン様は冷静に見えているけれど、拳にはとんでもない程に力が込められていたから……。
196
あなたにおすすめの小説
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
婚約破棄されたので公爵令嬢やめます〜私を見下した殿下と元婚約者が膝をつく頃、愛を囁くのは冷酷公爵でした〜
nacat
恋愛
婚約者に裏切られ、蔑まれ、全てを失った公爵令嬢リリアナ。
「あなたのような女、誰が愛すると?」そう言い放った王太子と元友人に嘲られても、彼女は涙を見せなかった。
だが、冷たく美しい隣国の公爵セドリックと出会った瞬間、運命は静かに動き出す。
冷酷と噂された男の腕のなかで、彼女は再び自分を取り戻していく。
そして――彼女を捨てた者たちは、彼女の眩い幸福の前に膝をつく。
「これは、ざまぁを通り越して愛された令嬢の物語。」
〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
幼馴染を溺愛する婚約者を懇切丁寧に説得してみた。
ましろ
恋愛
この度、婚約が決まりました。
100%政略。一度もお会いしたことはございませんが、社交界ではチラホラと噂有りの難物でございます。
曰く、幼馴染を溺愛しているとか。
それならばそのお二人で結婚したらいいのに、とは思いますが、決まったものは仕方がありません。
さて、どうしましょうか?
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。
だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。
理由は簡単だった。
「君は役に立ちすぎた」から。
すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、
“静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。
そこで待っていたのは――
期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。
前に出なくていい。
誰かのために壊れなくていい。
何もしなくても、ここにいていい。
「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」
婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、
何者にもならなくていいヒロインの再生と、
放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。
これは、
“役に立たなくなった”令嬢が、
ようやく自分として生き始める物語。
幼馴染の王女様の方が大切な婚約者は要らない。愛してる? もう興味ありません。
藍川みいな
恋愛
婚約者のカイン様は、婚約者の私よりも幼馴染みのクリスティ王女殿下ばかりを優先する。
何度も約束を破られ、彼と過ごせる時間は全くなかった。約束を破る理由はいつだって、「クリスティが……」だ。
同じ学園に通っているのに、私はまるで他人のよう。毎日毎日、二人の仲のいい姿を見せられ、苦しんでいることさえ彼は気付かない。
もうやめる。
カイン様との婚約は解消する。
でもなぜか、別れを告げたのに彼が付きまとってくる。
愛してる? 私はもう、あなたに興味はありません!
一度完結したのですが、続編を書くことにしました。読んでいただけると嬉しいです。
いつもありがとうございます。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
沢山の感想ありがとうございます。返信出来ず、申し訳ありません。
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる