28 / 43
28話 陛下との会話 その1
しおりを挟む
「なるほど、そういうことか……大体、話は分かった。というよりも、ある程度伝わって来ていたがな」
「左様でございまいたか、父上」
「……」
私とヨハン様は現在、彼の父上……つまり、国王陛下とお会いしていた。場所は国王陛下であるオランゼ様の私室だ。私は緊張感で潰されそうになっていた。ヨハン様とは幼馴染の関係にあるので、オランゼ様とお会いしたことは何度もあるのだけれど……流石に今現在お会いすると、自分が成長している分、言葉が上手く出て来るのか不安だった。
「それで、エレナ嬢は土地を慰謝料代わりにしてほしいと言ったのだな。なるほど、相当な機転だったな」
「いえ、陛下……そのようなことは……」
やはり、あまり言葉が出てこない。まともに話せないわ。
「父上、エレナ嬢は国王陛下の御前ですので緊張していると思われます」
「そうだったのか? エレナ嬢?」
「も、申し訳ありません……国王陛下」
「いや、謝る必要はないがな。そんなに緊張する必要はないが……まあ、緊張するなというのも酷な話か」
良かった、オランゼ様は理解を示してくれたようだ。彼は私との会話を一時、中断し、ヨハン様と話し始めた。
「それで、ヨハン。お前はどうするつもりなのだ? あのエメラダ夫人が土地の引き渡しを今さら拒むとは考えられんが……」
「そうですね……私も父上と同じ意見です。エメラダ夫人が土地の引き渡し自体を拒むとは考えていません」
「それならば、特に大きな問題はないのではないか?」
「……父上?」
一瞬、ヨハン様は首を傾げた。オランゼ様の言葉の意味の理解に時間が掛かったからだ。
「父上、申し訳ありませんが……どういう意味でしょうか? エメラダ夫人のことで、土地さえ貰えば問題ないと、父上はおっしゃるのですか?」
「違うのか? エレナ嬢の慰謝料が支払われればそれ以上、バークス公爵家を糾弾しても意味がないだろう。バークス公爵家の息子であるリグリットはおそらくもう、公爵の座に就くことは出来ぬ。それだけでも、十分な罰を与えていると思うがな」
「それは……」
「もしかとは思うが、ヨハンよ。バークス公爵家に、必要以上に介入することを考えているのではあるまいな?」
「……」
オランゼ国王陛下からの厳しい一言だった。ヨハン様は俯いてしまっている。私も何も言えなくなっていた。この場でヨハン様をフォローできるのは私しか居ないのに……。不思議なほどに言葉が出てこない。それは緊張感から出ない状況とは明らかに異なっていた。
一体、どうすればいいんだろうか?
「ヨハン、お前がバークス公爵家に責める理由はなんだ? そちらに居るエレナ嬢の為ではないのか?」
「その通りです……だからこそ、ガイア・バークス公爵やエメラダ夫人を……」
「お前の気持ちはわからんでもない。しかし、エレナ嬢の為にという感情が先行し過ぎて、本質を見失っていないか?」
「本質を……見失う?」
私もヨハン様もついつい、オランゼ国王陛下の話に聞き入ってしまっている。
「そうだヨハン。お前はバークス公爵家の者達をどこまで罰せば良いのか、見失っているだろう? 今回の件はかなり大きな事件と言える。身内が絡んでいるからこそ、客観的な視点を忘れてはならないぞ」
客観的な視点か……確かに私達は直接、ガイア様やエメラダ夫人に会いに行っていた。そういうところが、反省するべき点だったということ? オランゼ国王陛下が言いたいことの全貌はまだ見えない。ただ、国王陛下はこれ以上は積極的にバークス公爵家を裁く気はないようだった。
「左様でございまいたか、父上」
「……」
私とヨハン様は現在、彼の父上……つまり、国王陛下とお会いしていた。場所は国王陛下であるオランゼ様の私室だ。私は緊張感で潰されそうになっていた。ヨハン様とは幼馴染の関係にあるので、オランゼ様とお会いしたことは何度もあるのだけれど……流石に今現在お会いすると、自分が成長している分、言葉が上手く出て来るのか不安だった。
「それで、エレナ嬢は土地を慰謝料代わりにしてほしいと言ったのだな。なるほど、相当な機転だったな」
「いえ、陛下……そのようなことは……」
やはり、あまり言葉が出てこない。まともに話せないわ。
「父上、エレナ嬢は国王陛下の御前ですので緊張していると思われます」
「そうだったのか? エレナ嬢?」
「も、申し訳ありません……国王陛下」
「いや、謝る必要はないがな。そんなに緊張する必要はないが……まあ、緊張するなというのも酷な話か」
良かった、オランゼ様は理解を示してくれたようだ。彼は私との会話を一時、中断し、ヨハン様と話し始めた。
「それで、ヨハン。お前はどうするつもりなのだ? あのエメラダ夫人が土地の引き渡しを今さら拒むとは考えられんが……」
「そうですね……私も父上と同じ意見です。エメラダ夫人が土地の引き渡し自体を拒むとは考えていません」
「それならば、特に大きな問題はないのではないか?」
「……父上?」
一瞬、ヨハン様は首を傾げた。オランゼ様の言葉の意味の理解に時間が掛かったからだ。
「父上、申し訳ありませんが……どういう意味でしょうか? エメラダ夫人のことで、土地さえ貰えば問題ないと、父上はおっしゃるのですか?」
「違うのか? エレナ嬢の慰謝料が支払われればそれ以上、バークス公爵家を糾弾しても意味がないだろう。バークス公爵家の息子であるリグリットはおそらくもう、公爵の座に就くことは出来ぬ。それだけでも、十分な罰を与えていると思うがな」
「それは……」
「もしかとは思うが、ヨハンよ。バークス公爵家に、必要以上に介入することを考えているのではあるまいな?」
「……」
オランゼ国王陛下からの厳しい一言だった。ヨハン様は俯いてしまっている。私も何も言えなくなっていた。この場でヨハン様をフォローできるのは私しか居ないのに……。不思議なほどに言葉が出てこない。それは緊張感から出ない状況とは明らかに異なっていた。
一体、どうすればいいんだろうか?
「ヨハン、お前がバークス公爵家に責める理由はなんだ? そちらに居るエレナ嬢の為ではないのか?」
「その通りです……だからこそ、ガイア・バークス公爵やエメラダ夫人を……」
「お前の気持ちはわからんでもない。しかし、エレナ嬢の為にという感情が先行し過ぎて、本質を見失っていないか?」
「本質を……見失う?」
私もヨハン様もついつい、オランゼ国王陛下の話に聞き入ってしまっている。
「そうだヨハン。お前はバークス公爵家の者達をどこまで罰せば良いのか、見失っているだろう? 今回の件はかなり大きな事件と言える。身内が絡んでいるからこそ、客観的な視点を忘れてはならないぞ」
客観的な視点か……確かに私達は直接、ガイア様やエメラダ夫人に会いに行っていた。そういうところが、反省するべき点だったということ? オランゼ国王陛下が言いたいことの全貌はまだ見えない。ただ、国王陛下はこれ以上は積極的にバークス公爵家を裁く気はないようだった。
116
あなたにおすすめの小説
殿下、幼馴染の令嬢を大事にしたい貴方の恋愛ごっこにはもう愛想が尽きました。
和泉鷹央
恋愛
雪国の祖国を冬の猛威から守るために、聖女カトリーナは病床にふせっていた。
女神様の結界を張り、国を温暖な気候にするためには何か犠牲がいる。
聖女の健康が、その犠牲となっていた。
そんな生活をして十年近く。
カトリーナの許嫁にして幼馴染の王太子ルディは婚約破棄をしたいと言い出した。
その理由はカトリーナを救うためだという。
だが本当はもう一人の幼馴染、フレンヌを王妃に迎えるために、彼らが仕組んだ計略だった――。
他の投稿サイトでも投稿しています。
婚約破棄されたので公爵令嬢やめます〜私を見下した殿下と元婚約者が膝をつく頃、愛を囁くのは冷酷公爵でした〜
nacat
恋愛
婚約者に裏切られ、蔑まれ、全てを失った公爵令嬢リリアナ。
「あなたのような女、誰が愛すると?」そう言い放った王太子と元友人に嘲られても、彼女は涙を見せなかった。
だが、冷たく美しい隣国の公爵セドリックと出会った瞬間、運命は静かに動き出す。
冷酷と噂された男の腕のなかで、彼女は再び自分を取り戻していく。
そして――彼女を捨てた者たちは、彼女の眩い幸福の前に膝をつく。
「これは、ざまぁを通り越して愛された令嬢の物語。」
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
〖完結〗旦那様が愛していたのは、私ではありませんでした……
藍川みいな
恋愛
「アナベル、俺と結婚して欲しい。」
大好きだったエルビン様に結婚を申し込まれ、私達は結婚しました。優しくて大好きなエルビン様と、幸せな日々を過ごしていたのですが……
ある日、お姉様とエルビン様が密会しているのを見てしまいました。
「アナベルと結婚したら、こうして君に会うことが出来ると思ったんだ。俺達は家族だから、怪しまれる心配なくこの邸に出入り出来るだろ?」
エルビン様はお姉様にそう言った後、愛してると囁いた。私は1度も、エルビン様に愛してると言われたことがありませんでした。
エルビン様は私ではなくお姉様を愛していたと知っても、私はエルビン様のことを愛していたのですが、ある事件がきっかけで、私の心はエルビン様から離れていく。
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
かなり気分が悪い展開のお話が2話あるのですが、読まなくても本編の内容に影響ありません。(36話37話)
全44話で完結になります。
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
人の顔色ばかり気にしていた私はもういません
風見ゆうみ
恋愛
伯爵家の次女であるリネ・ティファスには眉目秀麗な婚約者がいる。
私の婚約者である侯爵令息のデイリ・シンス様は、未亡人になって実家に帰ってきた私の姉をいつだって優先する。
彼の姉でなく、私の姉なのにだ。
両親も姉を溺愛して、姉を優先させる。
そんなある日、デイリ様は彼の友人が主催する個人的なパーティーで私に婚約破棄を申し出てきた。
寄り添うデイリ様とお姉様。
幸せそうな二人を見た私は、涙をこらえて笑顔で婚約破棄を受け入れた。
その日から、学園では馬鹿にされ悪口を言われるようになる。
そんな私を助けてくれたのは、ティファス家やシンス家の商売上の得意先でもあるニーソン公爵家の嫡男、エディ様だった。
※マイナス思考のヒロインが周りの優しさに触れて少しずつ強くなっていくお話です。
※相変わらず設定ゆるゆるのご都合主義です。
※誤字脱字、気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません!
婚約解消したはずなのに、元婚約者が嫉妬心剥き出しで怖いのですが……
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のフローラと侯爵令息のカルロス。二人は恋愛感情から婚約をしたのだったが……。
カルロスは隣国の侯爵令嬢と婚約をするとのことで、フローラに別れて欲しいと告げる。
国益を考えれば確かに頷ける行為だ。フローラはカルロスとの婚約解消を受け入れることにした。
さて、悲しみのフローラは幼馴染のグラン伯爵令息と婚約を考える仲になっていくのだが……。
なぜかカルロスの妨害が入るのだった……えっ、どういうこと?
フローラとグランは全く意味が分からず対処する羽目になってしまう。
「お願いだから、邪魔しないでもらえませんか?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる