学園祭で侯爵令息にいきなり婚約破棄されました!

ルイス

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3話

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「どうして私の机がこんなところに?」

「ちょっとアルド! あなたがやったの!?」


「何言ってんだよ、シャリー。やったのは俺じゃないぜ? 俺が来た時には既に外に出されていたからな」


「……」


 嘘を吐いているようには見えない。まあ、この状況で嘘を吐いていたとしても何もならないし、当然だと思うけど。でも、出された机をこれみよがしに利用しているのは明白だった。アルドの狙いは……私。

「ほら、エスメラルダ。シャリーだけが味方でも大変さは変わらないだろう? そいつは男爵令嬢でしかないんだからな。俺が味方になってやるから、頭を下げろよ」

「あんたって人は……!」


 アルドは伯爵令息であるけれど、それを利用して苛めを行っているわけだ。シャリーはいじめを受けているも同然かもしれない。爵位の違いによる見下し……はっきり言って最低の行為だ。


「アルド、いい加減にしてよ」

「うるせーよ、シャリー。お前なんざ元から眼中にないんだ。俺に話しかけるな。低い身分が映ったらどうするんだ?」

「あはははははっ!」


 周囲のアルドに賛同している者達から笑い声が上がっていた。これはマズい状況だ、私が何かをいっても逆効果になってしまうだろうし……シャリー自身に被害が及んでしまうかもしれない。

「ほらほら、エスメラルダ。早く頭を下げてくれよ。その机の上で愛し合おうぜ」

「……!」


 机を慰めの道具にするというのはこういうことだったのか……ベッドに見立てているということね。最低を通り越して下衆にしか見えなかった。

「アルド、しかしここでやったら、見えるんじゃねーのか? 他の連中にさ」

「それがいいんだよ。ほら、エスメラルダに憧れてる奴はけっこういるだろ? そいつらを悔しがらせることができるからな」

「ああ、なるほどね。お前も悪い奴だな~~!」

「いやいや、伯爵になるんなら、こんくらいのことは当たり前にできないと駄目だぜ? 町娘を呼んで楽しくやるつもりなんだからよ~~!」

「お前やりたい放題だって! あははははははっ!」


 廊下はいつの間にかアルドの独占状態になってしまっていた。最低な会話が繰り広げられている。私の机はすでにベッド以外の機能を果たしていないようだ。悔しい……私だけじゃなくて、シャリーまで虐げられてるのになにも言えないなんて……言葉の暴力がこんなにまで無慈悲だとは思わなかったわ。

「何の話をしているんだ?」


 と、そんな時だった。澄んだ声が響いてきたのは……声質だけでもアルドの賛同者ではないことが伺える。


「あ……王子殿下」


 そこに現れたのは、チェスター王子殿下だった。学園内の生徒でもあるけれど……これは凄まじいタイミングだわ。
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