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4話 入れ替わり その3
しおりを挟む「ミシェル、ディアスから連絡があったでしょう?」
「シリア姉さま……?」
しばらく姿を消していたシリア姉さまだけれど、急に私の部屋を訪れた。その真意は全く分からないけれど。
「ディアス様からの連絡ですか? そういえば手紙が来ていましたね……まだ、開いてませんけど」
婚約破棄をされたばかりだし、いきなり読むのは気が引けていた。だからまだ読んでいない。
「まだ読んでなくても問題ないわ。開いてみてくれるかしら?」
「は、はい……分かりました」
私は気は進まなかったけれど、ディアス様からの手紙を開けた。中に書かれていたことは……。
「ええと、貴族街の時計台に来るように書かれていますね。わざわざ時間指定までして……」
「あら、パーティーの誘いかと思ったけれど、違ったわね。まあ、いいわ……」
貴族街の時計台と言えば非常に有名な場所でもある。カップルがデートの待ち合わせ場所としても使っている程だ。
「そんなところに私を呼び出して、何を考えているんでしょうか?」
「さあ……よくわからないけれど、向かわないと争いの火種になるかもしれないわね」
「そんな……」
シリア姉さまは脅しているのかしら? 私は絶対にそんなところに行きたくないけれど……でも、確かに行かないと後で何を言われるか分かったものじゃないわね。
「勿論、ミシェルが行く必要なんてないわよ。私が入れ替わって行くから。あなたは気にしないで大丈夫よ」
「待ってください、姉さま……私も向かわないと駄目だと思うんです。姉さまだけに迷惑は掛けられないですし」
私の身代わりに何かをして貰うのは非常に悪い……せめて、一緒に行ってどういうことが起こるのかは見届けないと。いくら姉さまがウィンド王子殿下と婚約をしているからと言って、心配になってしまうし……。
「ミシェルも来ると言うの?」
「はい! 今回は一緒に行かせてください!」
「まあ、仕方ないわね……わかったわ。ただし、あなたは変装して付き人の一人として付いて来なさい。私はミシェルに成りすまして、ディアスの前に立つから」
「畏まりました、それでいきましょうか」
「ええ、決まりね」
私に成りすますのは、あくまでもシリア姉さまということね……普通なら気付かれるはずだけれど、果たしてディアス様を騙せるのだろうか? もしも騙せた場合、ディアス様は何を語るのだろうか……。
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