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39話、ナチラス聖国とドアイル帝国の戦い
しおりを挟むいよいよ、ドアイル帝国とナチラス聖国の戦いが始まろうとしており。
ドアイル帝国とナチラス聖国の軍が国境の草原で対峙している。
帝国の第3将軍が慎重に進んで来た。
罠と思われるものは無く。奴隷兵を聖国軍に襲い掛からせると、聖国軍は魔法で火の玉を放ち奴隷兵を焼き殺して反撃して来た。
聖国軍の軍が少ないのは、魔法に頼っているからだと思い本陣の皇帝に伝えたのだ。
第3将軍からの報告を聞いた皇帝は、第3将軍と第2将軍に進軍を命じ。
魔法部隊が進み出て聖国軍の倍の火の玉を浴びせると聖国軍は退却を始めたのだ。
それを見た皇帝は、好機と見て全軍に進撃を命じると、帝国軍の前方と左右の両側に大きな黒い霧が湧き出した。
黒い霧の中に暗闇の洞窟が現れ、その洞窟の中から見た事も無い青い肌の角を持った鬼や、豚顔の角と牙を生やした鬼などが、暗闇の洞窟から湧き出すように続々と現れたのだ。
不気味な黒い霧の中から現れた初めて見る鬼に。帝国軍の兵士は恐怖を覚えて進軍を止めて立ち尽くしてしまい。
恐怖に震える帝国軍の兵士たちに、暗闇から湧き出た鬼の群れが襲い掛かり始めて恐怖に慄く兵士たちを殺して、貪り食べ始めたのだ。
その殺した人肉を食べる鬼の姿の光景を見た帝国軍は、未知の鬼を恐れて動けないでいたのでした。
皇帝は、その様子に驚き呆然とした。我に返り、此の儘では全滅すると思い、慌てて被害の少ない今のうちに全軍に退却を命じた。
退却して行く帝国軍を見ながら、聖国の最高指揮官の聖騎士団長で人間の姿をした魔人のゲドウは不気味に笑い。
「バカ者どもめ、見た事か。まだ奴隷兵が少し死んだだけなのに慌ておって、後はあの子に任せれば帝国は我らの思いのままに成るだろう。グッフフ・・・・・・」
帝国軍が退却し始めて少しすると、不思議な事に黒い霧と暗闇の洞窟が消えて湧いて出た鬼の群れもいなくなり、草原には静寂が訪れたのだ。
帝国軍は、軍律も無視して我先に退却して最初に築いた陣地に逃げ帰った。
皇帝も近衛兵に守られて陣地に戻ったが余りの出来事に呆然としていると、直ぐ後に陣地に戻った皇帝が一番信頼する第1将軍が近づき。
「陛下、ご無事で何よりです。あの暗闇から湧き出た鬼は何者で何処から来たのでしょうか」
「余にも分からん。初めて見るがあれは鬼か、それとも魔物か・・・・・・」
「陛下、とにかくテントの中の部屋で休憩しては如何ですか。対策は落ち着いてから考えましょう」
「フゥー! そうするとしよう」
第1将軍が真面目な顔で周りの者たちに。
「皇帝がテントの部屋で休憩するから。わしが呼ぶまでは誰も近づけるな」
テントの中にいた警護の近衛兵にも同じ事を言い。追い出すと第1将軍は皇帝に見られないように先程の真面目顔と違い薄気味悪い黒い顔でニヤリと笑い。
皇帝に、今まで使えないはずの闇魔法で暗示魔法を掛けたのだ。
暗示魔法を掛けられた皇帝は、第1将軍に操られて持っていた短刀を取り出した所で第1将軍が大声で。
「警護の者たちー! 急いでテントの中に入れ~~」
テントの中に入った近衛兵が見た光景は、
皇帝が短刀を自分の首に当てた姿で、その皇帝が。
「皆の者、余はこの度の戦いで夢破れ、疲れた。皇帝の座は、第1将軍のギャランに譲る事にした。皆の者、此れからは第1将軍のギャランに従え。さらばじゃ」
そう言うと、デルタシァ・ドアイル皇帝は、自分の首に当てていた短刀を首に突き刺し、自害して果てたのでした。
その場にいた警護の騎士たちと兵は、いつも冷静で氷の様に冷たい皇帝が自害などするはずが無いと思い。信じられずにいたのだ。
第1将軍は憔悴した様子で唇を噛み。
「無念じゃ。まさか皇帝様が自害するとは・・・・・・皆の者、聞いての通りだ。皇帝様の遺言の通り、わしがデルタシァ皇帝の後継者として今後の帝国を率いて行くことにする。皇帝の遺骸を帝都まで丁寧に運ぶ準備をして準備が出来次第、あの鬼の魔物が現れる前に帝都に全軍が引き上げる様に兵たちに命令を下しなさい。くれぐれも皇帝が亡くなった事は、まだ伏せておくように」
皇帝が亡くなった事を知らない兵士たちは、あの殺した兵士に齧り付く鬼の姿に怯えながら帝都に引き上げたのであった。
帝城に戻ると、第1将軍はデルタシァ皇帝が第1将軍を指名して自害した現場にいた近衛兵を連れて皇帝の後継者だったレオン皇太子と帝妃に会い。
デルタシァ皇帝の死を伝え、デルタシァ皇帝の遺言で自分が次の皇帝に指名された事を伝えたのだ。
その場にいた近衛兵も皇帝の最後の言葉を聞いていたので間違いないと言い、他の大勢の兵士たちも聞いているので間違いないと証言したのだ。
此れにより、一週間後に第1将軍のギャランが、ギャラン・ドアイルと名乗り新皇帝に就任した。
就任後に皇太子と帝妃を呼び、皇帝に仕えていた誠実な顔で。
「本来、皇帝は皇太子レオン様が継ぐべきですが。レオン様は12歳と若すぎて帝国を率いて行くのは無理なので、デルタシァ皇帝の遺言に従い。わしが新皇帝に就きました。わしの次の皇帝にはレオン皇太子を指名致します。次期皇帝として皇帝学を学んで下さい」
ギャランの此の言葉で、皇太子を支持していた帝妃と重臣たちを味方につけたギャラン新皇帝は、殆ど無傷の帝国軍を自在に動かせるようになったのでした。
その晩の深夜に黒い肌に二本の角を生やし先が槍のような尾を持った。
魔人の姿の第1将軍だったギャラン新皇帝がマントの間から黒い羽根を羽ばたかせてナチラス聖国に向かって飛び立ったのを知っている者はいなかった。
ギャラン新皇帝は聖国の大聖堂の、ある部屋に入るとゲドウ聖騎士団長がギャラン新皇帝と同じ魔人の姿で。
「息子よ、久ぶりだな。王国では2女の天使長が失敗したがこの度は、お前の策謀が上手くいき大成功だ」
「私の策謀では無く、父上の案を実行したに過ぎません」
「どちらにしても上手くいき、無傷で帝国を手に入れたのは大成功で。戦力も上がりオスガン王国とバンダイ公国を潰して大陸全土を手に入れて憎い天界をも手に入れる力が備わるだろう」
「はい、父上の言う通りです。今回は、私たちの秘密も知られずに帝国を乗っ取る事が出来て最高の結果でしたが。此れから帝国をどのようにすれば良いでしょうか」
「今のままで良い。いずれ、あの魔物たちが自分たちの味方だと分かれば、グッフフ・・・・・・・・」
魔人親子の密談が終わると、魔人の姿のギャラン新皇帝は帝城に戻ったのでした。
魔人親子が、密談をしていた部屋の天井にカブト虫の様な昆虫が止まっていて、親子が部屋から出る時に一緒に外に出た事には、気が付かなかった魔人親子だった。
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