BOX・FORCE

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第1章 NAMELESS編-序編-

[第6話:Thirteen Roses]

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「" 氷暴双牙龍アイスバーストフルヴルム"っ!」

「" 永猿棒モンキーマジック 斉天大聖形態せいてんたいせいモード"っ!」


樫間と獅蘭は、目の前のNAMELESS残党目掛けて飛び出した。
NAMELESSは、怯む事なく2人目掛けて攻撃を繰り出す。
2人の攻撃は、確かにNAMELESSに当たっているものの、NAMELESSが弱っている様子はない。

すると、樫間側にいるNAMELESSの1体が、4個の腕を組み合わせ、マシンガンのような無数の弾丸を2人に打ち込んできた。

2人はそれを受けながらも、倒れる事なく立ち続ける。

再び、背中合わせになった2人は、1度呼吸を整えて話した。

「…よし、紘紀。これじゃキリがねぇ。一気にやるぞ。」

獅蘭は樫間に言った。

「…一気にったって、どうするよ継斗。」

樫間は口に溜まった血を吐き出し、そう答えた。

「…知ってるか?俺のは割と数少ない"天属性"だ。天属性の特徴はな、全ての属性と相性が良い事だ。但し、逆を言えば全ての属性を飲み込む事ができるし、全ての属性に飲み込まれる事もできる。
この特徴があって良かったぜ。要するに、俺の力は俺はお前の力を倍増させられる。お前の龍に翼を与えて、もっと凶暴にするんだ。」

獅蘭は、ニヤリと笑みを浮かべ言った。

「…なるほど。互いが同じ力を出さないと飲み込まれる。本気で行くぞ。」

樫間は納得したように、獅蘭に言った。

「当たり前だ。本気どころの話じゃねぇ。残り全部出し切って、一撃で決めるぞ。」

獅蘭は言った。

「背水の陣。って事ね。任せろ、置いてかれんなよ。」

樫間はそう言うと、"青龍銃"をNAMELESSに構えた。

「置いてかれんな?そりゃこっちのセリフだぜ。」

獅蘭も、"永猿棒"を構え言った。

NAMELESSが、再び攻撃態勢に入った。

「今だ紘紀っ!やれっ!!」

獅蘭は叫んだ。

「暴れろ!"氷龍豪雨スノードラゴン"っ!」

樫間の二丁の銃から放たれた弾丸は、大きな氷の龍となり、樫間の相手する1体のNAMELESSに向かった。

氷の龍が、そのNAMELESSに直撃する。
そこに、獅蘭が永猿棒を向けた。

「伸びろ"永猿棒"っ!"四締門していもん"っ!」

"永猿棒"は、氷の龍が襲い掛かったNAMELESS目掛けて伸びた。
すると、棒の先端からオレンジ色の炎のようなオーラの紐が現れ、龍の首に結びついた。

「やれっ!継斗っ!」

樫間が叫んだ。

獅蘭は、"永猿棒"で捕まえた龍を、蝶を捕まえる虫網のように、残りのNAMELESS目掛けて大きく振った。

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」

次々に龍の餌食になるNAMELESS。
最後の1体を捕らえると、氷の龍と永猿棒は消え、樫間と獅蘭は仰向けに倒れた。

4体のNAMELESSの核は、全て氷の龍に貫かれ、静かに消滅した。

「…はぁ、はぁ、やったか?樫間っ…。」

獅蘭は、空を見上げて言った。

「…生体反応は感じられない…やったんじゃないか?」

樫間も、空を見上げて答えた。

すると、満天の青空から突如雪が降り始めた。

「…へっ、青空から雪、ねぇ…まるで俺たちじゃねぇか。」

獅蘭は、照れながら言った。

「…あぁ…そうだな…。」

樫間も、笑みを浮かべながら答えた。

「…"薔薇"ってのは、本数によって花言葉が違うらしいな。」

獅蘭は思い出したように言った。

「…そうなのか?…花には詳しくないな…。」

樫間が答えた。

「…詳しそうには見えないな…。…そうだな…俺たちは…"13本の薔薇"ってところかな…。」

獅蘭は言う。

「…"13本の薔薇"…?…どう言う意味だ…。」

樫間は言う。

「…自分で調べろ…。」

獅蘭はそう言うと、力尽きて気を失った。
樫間も合わせて、気を失った。

2人は、満天の青空から降る雪に囲まれて、静かに眠りについた…。



4日後ー

BOX・FORCE本部のとある会議室。
第1部隊と第3部隊はそこに集められた。

すると扉が開き、クリスティーナ・パンダ(以下パンダ)が現れた。

「こりゃまあ、ひどく無理したみたいだね。樫間も獅蘭も。」

椅子に乗っていた樫間と獅蘭は、全身の至る所に手当ての跡が残っていた。
全員が慌てて立とうとすると、パンダは言った。

「ああ、ああ、大丈夫、大丈夫。無理して立たないで。手短に済ませるから。」

そう言うと、全員を見渡し話し続けた。

「今回の自由が丘と板橋の同時発生は、過去に例を見ない一件だった。正直、こちらも第2と第4を出動させるか迷ったが…まあとにかくよくやってくれた。ご苦労様。」

すると、パンダは1枚のファイルを取り出した。

「これは、過去のデータの1つだ。みんなも知っていると思うが、先代が壊滅的状況になった大戦…『第一次NL戦』とその直前に発生した『4エリア同時多発戦』のデータだ。
なんでこんなもんを持ってきたかと言うと…今回のパターンが、この『4エリア同時多発戦』通称『4多戦』の状況と似ているんだ。
『4多戦』では、舞浜、十条、川崎、立川にそれぞれ10体のNAMELESSが現れた。
我々は、それぞれに1部隊ずつ送り込む作戦で対応したが…それが終わった直後に皇居上空に数30体のNAMELESS出現。流石に対応が遅れたよ。
今回、幸いにも直後のNAMELESS出現は確認されていないが、近いうちに攻め込まれるかも分からない。それも、数も見当がつかない。
今、各隊長がかなり負傷している状況だ。とりあえず、各隊長は早期回復に努めてもらう。残りの隊員に関しては、最悪隊長抜きでの戦闘も想定して、待機をしていてくれ。必要であれば、また混合部隊で出てもらう可能性もある。」

パンダが話し終えると、各隊長は反省の顔を見せた。

「…隊長抜きでの戦闘…。」

蓮田は、菊野と顔を見合わせて、困り顔を見せた。

「まあ、そう心配しなくても大丈夫だ。近々、君らに紹介したい人たちもいる。いざとなれば、彼らが力になってくれるはずだ。」

パンダが言うと、樫間が質問した。

「それは、新たな部隊と人員が増えると言う事ですか?」

パンダは答えた。

「簡単に言えばそう言う事だが…彼らを積極的に最前線で戦わせる事は、現状しない予定だ。
あくまでも、君らがメイン。決して気を抜かないで置いてくれ。
まあ、何はともあれ今回はお疲れ様。これにて"リコリス"と"ローズ"の合同期間は終了だ。」

樫間は立ち上がり、獅蘭に手を差し伸べた。

「継斗、そして蓮田さんと菊野も、今回はありがとうございました。」

獅蘭も立ち上がり、2人は硬い握手を交わした。

「こちらこそだ。白峰、うまくやれよ。」

獅蘭に急に名前を出され、白峰は驚いたように見た。

「え!?うまくって…何を…。」

白峰は戸惑いを隠せずにいた。

「それは自分で考えろ。」

そう言うと、獅蘭はパンダに一礼し、会議室を後にした。

「私たちも行きましょう。パンダ室長、お先に失礼します。」

迅雷寺はそう言うと、樫間と白峰と共に会議室を後にした。

「なぁ、さっきの獅蘭の、どう言う事だ?」

パンダが蓮田に問いかけると、菊野は顔を真っ赤にして俯いた。

「…つまり…そう言うことっすね。ハハハ~。」

蓮田は、菊野に視線を向けながら、苦笑いをして言った。



数日後ー


新宿にある廃墟ビルの屋上に、5人の人影らしきものが現れた。
1人目は背が高く、体格は普通な者。
2人目は背が低く、裾から鋭い刃物のような物が見えている者。
3人目は背は普通くらいの、体格の良さそうな者。
4人目は背は普通くらいの、少し内股に立っている者。
5人目は背は低く、何やら本のような物を持っている者。
5人は、それぞれ黒いローブに覆われて、顔は見えない。

すると、1人目が4人に向けて話し始める。

「…何やら、奴らは新しく人員を補填し、再び部隊を編成して我々と戦っているらしい…。」

すると、2人目が言った。

「ふん、知るか。そいつら全員めった斬りにすりゃいいんだろ?」

横にいる3人目が、2人目を見て言った。

「口を慎め弱小が。てめぇがあいつらにめった斬りにされんだよ。」

2人目は怒って言い返した。

「うるせぇぞ!殴るしか脳がないくせに!」

すると、3人目の隣にいる4人目が言った。

「2人ともうるさいわよ。んで、アタシらが出てきてるって事は、その新人ちゃん達は前の奴らより強いって読んでるのね?」

4人目は2人を説教し、1人目に向けて問いかけた。

「我々が出るほどの相手かどうかは置いておくとして、先日、板橋に派遣したレベル5の8体を、奴らの隊長格が2人で倒したそうだ。そいつらは、前回いなかった若い衆らしい。これは経過観察が必要だ。」

1人目は言った。

「なるほど。そうね。そうしたらアタシらもそろそろ動ける準備しときましょうかね。ねぇ、アンタ。」

4人目が、足元に座る5人目を見ながら言った。
5人目は黙ったまま俯いていた。

「今後の結果次第では、前回以上の戦力で挑む事になるかもしれないな。…ふっ、覚悟しておけ。」

突如、木枯らしが吹いた。

すると、先ほどまで廃墟ビルの屋上で話をしていた、5人の人影は消えていた…。



ー第3部隊との共同期間を終えた第1部隊は、都心から少し離れた場所にある、大きな屋敷に来ていた。

「パンダ室長からの連絡によると、第4部隊が指定した合流ポイントは…どうやらここらしい…。」

その屋敷の門の前に3人が辿り着くと、門の前で1人の老人男性が手を振っていた。

「お待ちしておりました。第1部隊の皆様。"ガーベラ"の皆様は中でお待ちです。さぁ、こちらへ。」

そう言うと門が開き、中に一台の高級車が用意されていた。

3人が中に乗ると、老人男性は慌てて挨拶をした。

「申し遅れました。私、彩科院さいかいん家に勤めております、執事の日向 葵(ひなた あおい)と申します。以後、お見知り置きを。」

そう言うと、車は屋敷の入り口を目指して走り出した。

(なんなんだここは…)

樫間は驚きを隠せぬ様子で、辺りを見回した…。



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