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第1章NAMELESS編-池袋戦
[第22話:Columbine]
しおりを挟む池袋。第4部隊改によるヴァリアル戦。
彩科院、桂、迅雷寺、菊野の4人の刀を、ヴァリアルは同時に全て受け止めた。
ヴァリアルは、両腕にそれぞれと、背中から生えた、2本の腕のような黒いオーラにそれぞれ形も長さも違う刀を4本持っていた。
「…1度散れっ!」
彩科院の合図と共に、4人はヴァリアルから離れた。
「桂と迅雷寺、俺と菊野で交互に攻撃を仕掛ける。攻撃を止めるな。奴に手出しをさせず、隙を見て決定打を決める。」
彩科院がそう指示すると、桂と迅雷寺は刀を構えた。
「いくぞ、椎菜。」
桂は、鋭い視線でヴァリアルを睨みそう言った。
「了解っ!」
迅雷寺も、ヴァリアルを睨み返事をした。
「"桂流十三の舞、疾風破神"っ!」
「行くよ"雷虎徹"っ!"十の舞、乱覇滅空"っ!」
桂は、自身から放たれる薄緑色のオーラを、竜巻のように"陽羊刀"に纏いながら、ヴァリアルに向かって飛んだ。
迅雷寺も、激しい雷のような黄色のオーラを"雷虎徹"に纏い、ヴァリアルに向かった。
「…バァカかテメェらは。んなもん俺に効くわけねぇだろっ!」
ヴァリアルは、背中の2本の腕のような黒いオーラを、真ん中で1つに合わせると、向かい来る2人の剣士目掛けて振り下ろした。
激しく刃はぶつかり合うと、火花を散らした。
「引けっ!桂ぁ!迅雷寺ぃ!」
彩科院がそう叫ぶと、桂と迅雷寺はヴァリアルから離れた。
入れ替えに、彩科院と菊野がヴァリアル目掛けて突っ込んだ。
「"フレイムホース"っ!!」
「"菊野流陸の咲、菊空陣"っ!」
彩科院は、"裁馬刀"に炎の様な真っ赤なオーラを纏い、ヴァリアルに切り掛かった。
菊野は、"犬刺郎"にエメラルド色のオーラを纏いながら、複数回ヴァリアルに刃を振るった。
「小賢しいっ!!」
ヴァリアルはまたも、背中の2本の黒いオーラの持つ刀で、それを受け止めた。
「何度やっても同じなんだよっ!!諦めろっ!!」
ヴァリアルを纏う、黒いオーラは更に覇気を増した。
「引くぞっ!菊野っ!」
彩科院がそう言うと、菊野は攻撃を止め、ヴァリアルから引いた。
「"七の舞、粒星獅子"っ!」
「"十一の舞、威鬼妖踊"っ!」
「"オーバーフレアホース"っっ!!」
「"参の咲、菊〆斬"っ!!」
4人は、何度もヴァリアルに攻撃を繰り返した。それは、止むことなくひたすらにヴァリアルに襲い掛かる。
「しつこいぞ…"魔装:パーシヴァル"っ!」
ヴァリアルがそう叫ぶと、彼の身体をドス黒いオーラが包んだ。
顔の部分だけそのオーラが晴れると、ヴァリアルの目には鉢巻の様な帯状の、灰色のオーラが纏われていた。
頭からは、ツノの様な黄色いものが2つ生えている。
「…全力で来いよぉ。一撃でぶっ殺してやるよぉぉぉ!」
ヴァリアルはそう言うと、一本の長くて細い刀を手にした。
「…"箱装備"だ!やり方はこの前の戦闘時に言ったはずだ。全員やれっ!!」
彩科院がそう叫ぶと、迅雷寺と菊野はそれぞれの力のオーラを放った。
「…こうかな…"雷虎装"っ!!」
迅雷寺のオーラは、黄色い雷の虎の姿になり、その身体に装備された。
「…やってやるっ!"翠犬装"っ!!」
菊野のオーラは、緑色の犬の姿になり、その身体に装備された。
彩科院も、自身の"焔馬装"を装備した。
ふと、彩科院が横を見ると、桂は微動だにせず立っていた。
「…おい、桂っ!何してるっ!早く装備しろっ!」
すると、桂はニヤリとヴァリアルを睨んで言った。
「…私は、どうやらこの力を使ったらいけないようですね。身体が持たない。このまま攻めることにします。」
「何っ!?」
桂の言葉に、彩科院は驚いた。
「ごちゃごちゃウルセェよ!変な装備した所で、死ぬのは一緒だ!!」
ヴァリアルは、そう叫びながら4人に向かった。
「私が先行します。私が彼の隙を作った後は、皆に託します。」
桂はそう言うと、スッと刀に手をかけた。
「…おい、桂っ!そうはさせ…。」
彩科院が止めようとするも、桂は飛び出した。
「"桂流極の舞、極級ノ剣"…」
桂はそう言うと、刀を抜いた。
すると、桂の姿が一瞬にして消え去った。
「…揚々と、闇を切り裂く剣の舞。」
次の瞬間、桂はヴァリアルの背後に姿を現した。
ヴァリアルは無数の剣戟を喰らい、体制を崩した。
「"桂流十五の舞、真桂翠刺"」
桂は振り返り、真っ直ぐ刀をヴァリアルに向けた。
「…ちょこちょこと、ウザってぇんだよっ!死ねよぉ!!」
ヴァリアルは、桂の方向に振り返るとドス黒いオーラを桂に放った。
瞬く間に、桂の全身を黒いオーラが包んだ。
しかしその中に、翠色に光る微かな光が存在した。
「…翠光煌く、光の塵と化せ。」
鋭い一本の光が、黒いオーラを真っ二つに切り裂き、ヴァリアルの体を貫いた。
「…甘ぇんだよ。俺の間合いに入ったら、てめぇは終わりだよぉぉぉ!!」
ヴァリアルがそう叫ぶと、ヴァリアルの体から無数の刃が、ヴァリアルの前方方向にいる桂に向かって飛び出した。
「桂ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
桂の身体は、蜂の巣の様に無数に刃が突き刺さっていた。
彩科院は考える間もなく、ヴァリアル目掛けて刀を構え、飛び出した。
「師匠っ!彩科院隊長ぉ!」
迅雷寺の叫び声も届かず、彩科院はヴァリアルの背後から刀を振るった。
「…学習能力のねぇ奴らだなぁ!!」
彩科院の刀がヴァリアルに触れる寸前で、ヴァリアルの背後から、またも無数の刃が現れた。
彩科院は急所は免れるも、その身体に無数の刃を受けた。
ヴァリアルは、黒いオーラで自身を包み込むと、一気に爆発した。
爆発の勢いで、桂と彩科院は地面に吹き飛ばされる。
「師匠っ!!!」
「彩科院隊長っ!!!」
迅雷寺と菊野は、それぞれの方向に走り出した。
上空では、少し疲弊した様子のヴァリアルが元の状態に戻っていた。
「…椎…菜…。」
迅雷寺が桂の身体を抱え込むと、桂は微かな声でそう言った。
「師匠っ!!早く手当てをっ!!」
迅雷寺は泣きじゃくりながら叫んだ。
「…椎菜…私の事は…もういい…。…奴を…ヴァリアルを…倒してくれ…ぐはっ…。」
桂はそう言いかけ、吐血した。
「…師匠…師匠まで、私の前からいなくならないでくださいっ!」
迅雷寺は必死に桂に叫びかけた。
「…影虎…君の父上が…寂しがってる…かもしれないな…。唯一の…兄弟子だから…。約束する…。影虎に…君の勇姿を…必ず報告する…。」
そう言うと、桂は"陽羊刀"を迅雷寺に渡した。
「本来…"箱装"を…違うエネルギーを…2つ同時に使う事は…できない…。しかし…君は"虎"だ…。かつて…影虎がやって見せた…。私の刀を…使って見せた…。君も…それができるはずだ…。1つの…"桂流"では…敵わないかもしれない…しかし…2つ同時に…"桂流"を使えば…可能性はある…。最期の教えだ…"桂双流"…。君は…私の唯一の…最高の弟子だ…」
そう言うと、桂は力尽きた。
「師匠ぉぉぉ!!師匠ぉぉぉ!!」
迅雷寺は、何度もそう叫びながら桂の身体を抱きしめた。
「彩科院隊長っ!しっかりしてください!!」
菊野は彩科院を呼ぶも、反応がない。
「微かだけど息はある…そうだっ!」
そう言うと、菊野は通信機を取り出した。
「…"第4部隊改、菊野"。…今どこにいる?芙美華。」
菊野がそう言うと、通信に反応が来る。
『…久しぶりね、里海。今大塚よ。諜報員通信を使ってくるくらいだから、急用よね?』
通信から、女性の声がする。
彼女の名は、古織 芙美華。
BOX・FORCEが各地に分散させている、情報調達部員。
「…昔のよしみで頼み。彩科院隊長が重傷なの。救護お願い。」
菊野は簡潔に状況を説明した。
『…彩科院隊長が…了解。同期の頼みなら聞くしかないね。命令じゃないけど。』
古織はそう答えた。
「それと…恐らく桂さんが戦死…。報告を…。」
菊野の報告に、古織は言葉を詰まらせた。
『…桂さん…。わかった、すぐ行く。』
通信の向こう側で、バイクのエンジン音が響いていた。
「…頼んだよ。芙美華。」
菊野は通信を切ると、彩科院に応急処置を施し、ヴァリアルを睨みながら立ち上がった。
「…舐めんじゃないよ。うちの女剣士は、伊達じゃないんだよ。」
そう言うと、菊野は迅雷寺の元に移動した。
「…気持ちは痛いほど分かる…。だから、やるよ。立ちな。」
菊野は迅雷寺にそう言った。
すると、迅雷寺の身体から黄色い雷の様なオーラが溢れ出た。
「…絶対に、あいつを倒す。師匠の仇…。」
そう言って、迅雷寺は立ち上がった。
2人の女剣士は、真っ直ぐヴァリアルを睨みつけた。
「はっはっはぁぁ!!雑魚はあと2匹か?」
ヴァリアルは高笑いをしながら、2人を見下ろした。
嵐の様な激しい風が辺りを吹き荒れる…。
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