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第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
[第28話:Scopum videtur]
しおりを挟む「…見立てを超えてきたか…。」
エレベーターを降りながら、クリスティーナ・パンダはそう呟いた。
エレベーターが地下駐車場に辿り着くと、パンダは颯爽と愛車に向かった。
「…はじめるんすね。遂に。」
駐車場の柱の影に、1人の男が待ち構えていた。
その男は右耳に通信機をつけていた。
その耳元では、戦況を伝える連絡が絶えず入っている。
「…ああ。"七魔団"と言ったな。
樫間たちを潰す為の、"とっておき"を既に用意している。」
パンダはそう言いながら、男の横を過ぎ去った。
「…我々の力を出すまでもないといいですが。」
男はそう言うと、パンダの降りたエレベーターに乗って行った。
「…ふっ…あれはまだ使わんよ。
"七天使"の力で十分対抗できる。」
パンダはそう呟いて、車に乗り込んだ。
その車は、白い車台に黒のウイングを装備した
"マツダ RX-8"であった。
_
樫間と堀崎が、45階から落下した頃。
電気室へ侵入したチャンと江神は、そこで樫間の指示を受けた。
「…だとよ。江神。どうする?」
チャンは江神に問いかけた。
「…奴を追う。ただ、その前にここは破壊する。」
江神はそう言うと、自身の背後から黒いオーラを放ち始めた。
それは、2つの腕のように大きなオーラであった。
「…"魔兵相殺"」
江神がそう呟くと、その腕はみるみるうちに電気室の様々な機器を破壊し尽くした。
江神たちがいる周囲の電灯も全て消え、ビル全体のシステムが一斉にダウンした。
「…終わった。行こう。」
電気室では、様々な配電がショートして火花が散っており、所々には煙も上がっていた。
そんな様子を他所に、江神はビルから脱出する為に電気室を出た。
「…正直、俺でも敵わないかもな…こりゃ。」
チャンは、その姿に圧倒されてそう呟いた。
そして江神の後を追い、脱出経路を探した。
_
江神がBOX・FORCE本部の電気室を破壊した事は、各所に影響を与えた。
混乱を極める、情報通信チームは…。
「…サーバーダウン…データ処理続行不能…!?」
一瞬にして、情報通信室は真っ暗になった。
目下のコンピューターも突如電源が消え、時水はピタッと動きを止めてそう呟いた。
「…んだよこんな時にっ!予備電源、バックアップ至急起動!」
突然の出来事にも、天原は即時に指示を出した。
「…天原総司令!予備電源作動装置も起動しません…!緊急予備電源は、作動までおよそ5分かかりますっ!」
情報通信チームのうち1人が、そう叫んだ。
江神が与えた影響は、とてつもなく大きかった。
「…はぁ?ふざけんなよっ!
電気室、どうなってんだよっ!」
流石の天原も、頭を掻きむしって混乱状態を表した。
『…天原総司令…こちら…諜報特殊部隊…今駒 保都…。
電気室の…全ての機器が…破壊されました…。』
通信回線からそう連絡を伝えたのは、副務官の今駒であった。
「…全て…破壊…だと…!?」
天原は動揺してそう呟いた。
それもそのはず。電気室の広さはテニスコート5面分に相当する程広くの広大さを誇り、
本部の殆ど全ての重要な機器が所狭しと揃っていたのだ。
「…くそっ…緊急予備電源の復旧を待つ…しかねぇ…。」
天原は、総司令デスクを思い切り叩いて悔しさを露わにしながらそう言った。
_
そして、江神が影響を与えたのは
情報通信チームだけではなかった。
パンダは地下駐車場から脱出すべく、駐車場の車用エレベーターの前で停車した。
しかしその瞬間、地下駐車場の電気が全て消えた…。
「…やはりやられたか…。だから電気室なんて部屋に全ての機器を集約するのは危ないってあれ程言ったんだがな…。」
パンダは不機嫌そうにそう呟くと、車に戻るや否や車に装備された様々な機械を操作し始めた。
「…俺だ。やはり奴ら、電気室をダウンさせてきやがった。
…5分後、地下駐車場毎爆発させる。
お前たちは脱出しておけ。」
パンダは素早く機械を操作しながら、通信機にそう話した。
『…了解。』
一言だけそう言って返事をしたのは、先程駐車場でパンダが遭遇していた男のようだった。
『…5分後?勘弁してくれよ。
こっちはそれどころじゃねぇって…。』
そしてもう1人、こちらは別の男の声が入ってきた。
しかし、パンダはその返事を無視し、付けていた通信機を投げ捨てた。
そして新たに、別の通信機を取り出して話し始めた。
「…待たせたな。お前たちの出番だ。
総員、"BOX・FORCE"本部へ集合してくれ。」
パンダはそう言うと、その通信機を切った。
それと同時に車に装備された機械の操作も終えた。
パンダは、再び車を降りると非常階段へ向かった。
非常階段の扉がゆっくり閉じたと同時に、パンダの車の機械のモニターに赤い文字で
"05:00"
とタイマーが現れ、作動し始めた。
_
最上階から落下した樫間と堀崎は、"悪魔の力"を使って無事に地上へと降り立った。
「…奴はどこ行きやがった…。」
堀崎は本部ビルの入り口付近を睨みつけて、
その"千里眼"で敵の姿を探していた。
そこへ、チャンと江神が合流した。
「…電気室を破壊した。このビルは使い物にならなくなったはずだよ。」
江神は樫間にそう報告した。
「流石だ。よくやった。」
樫間の顔は無表情であったが、そう言われた江神は少し誇らしげに頬を赤らめていた。
すると、程なくしてビルの窓ガラスが割れる音がして、そこから東雲を担いだ道影が落下してきた。
もの凄い勢いで落下するや否や、ゆっくり地面に着地すると、道影は乱暴に東雲を投げ落とした。
「…し…死ぬかと思った…。」
東雲は必死に呼吸をしながら怯えていた。
目に涙を浮かべながら、その身体は震えていた。
「脱出ってどう言う事だ?敵はこん中にいるんじゃねぇのか?」
道影は不機嫌そうに樫間にそう言った。
樫間は道影に無理矢理引き連れられて怯えている東雲に、そっと自身のローブを掛けた。
「…奴は本部を出るはずだ…。
恐らく、逃走を図る。」
樫間もどこか不機嫌そうに、道影を睨みつけながらそう言った。
道影は、樫間の睨む目に少しビクッと驚いていた。
「…逃走ったって…何処から逃げるか分かんないのに、俺たちビル正面入り口に集まってていいのか?」
道影は、恐る恐る樫間にそう言った。
その瞬間…。
ドォォォォォォォォォォォォォン!!!!!
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