71 / 85
第2章 七魔編-七魔団vsBOX・FORCE-
[第27話:Invisibilia atramento]
しおりを挟む遂に本部襲撃を始めた樫間達"七魔団"。
"七魔箱"の能力によって、本部40階に到達した道影と東雲の前に現れた特殊部隊員たち約20名程が、一斉にマシンガンの引き金を引いて2人を狙った。
「地獄に落ちろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
無数の弾丸が2人目掛けて飛んでくる。
…が、しかし…
その全ての弾丸は空中で動きを止めた。
そして、その全てが方向転換して特殊部隊員たちを襲撃した。
「「「うわぁぁぁぁぁっっっ!!!」」」
特殊部隊員たちは防弾チョッキに身を包んでいたが、何名かはそれをすり抜け被弾していた。
「怯むなぁぁぁぁぁ!!!撃てぇぇぇ!!!」
特殊部隊員たちは、再びマシンガンの引き金を引いた。
「…学習能力のねぇ奴らだなぁ?」
すると今度は、道影が"悪魔の大槌"を大きく一振りしてその弾丸全てを弾き飛ばした。
「…つまらねぇ。潰すぞ。」
道影はそう言うと、黒いオーラを全身から放出させた。
「…"黒浮弾滅"っ!」
道影のその呟きと共に、衝撃波が特殊部隊員たちを襲った。
すると、特殊部隊員たちの身体がふわふわと浮遊し始めたかと思えば、そこから仲間同士で激しくぶつかり合った。
衝突の衝撃で、特殊部隊員たちは次々に気絶していく。
「…俺の能力の対象者は皆、ゴムボールのように浮かび跳ね上がって、縦横無尽に飛び回っちまうのさ。」
道道影がそう言うと、最後に残った2人の特殊部隊員が激しく空中で激突した。
その2人も気絶したのを確認すると、道影は東雲に怪しい笑顔を見せた。
「…"浮遊"と"物体操作"、相性最強じゃねぇか…。」
道影はそう呟いた。
道影のあまりにも怪しい微笑みに、東雲は背筋を震わせた。
_
一方、チャンは"肉体強化"によって驚異的な速さで特殊部隊員たちを倒して行った。
「…特殊部隊…ねぇ。」
チャンは地面に転がる特殊部隊員たちの姿を見下ろして、そう呟いた。
「…チャンさん。」
チャンは突然、名前を呼ばれた事に驚き背後を確認した。
そこには江神がいた。
「…そこの角、"電気室"がある。
ダウンさせてもいい?その方が早い気がするんだけど…。」
江神はそう言うと、チャンの立つ通路の奥を指差した。
「なるほど、いい案だな。」
チャンはそう答えた。
「…"クリスティーナ・パンダ"って人、どんな人なの?」
ふと、江神はチャンにそう問いかけた。
チャンは少し黙って、それから何かを思い出したかのように答えた。
「…俺の知るのは、"偽り"の奴だけだ。
但し、これまでの間その"偽り"を守り抜いてきた奴だ…。只者ではないのは確かだ。」
チャンがそう答えると、江神はそれを聞きながらスッと電気室に向かった。
「…仲間とは、やはりそうやって"偽り"によって生まれて、そして最後全てを裏切っていくのね…。
紘さんは、私や私たちの事を裏切ったりしないよね?チャンさん。」
江神は静かにそう言った。
その言葉には、計り知れない大きくて黒いものがあるとチャンは感じていた。
「…その問いに対する答えは1つ。
"樫間 紘紀"はそんな次元の人間じゃない、って事だけだ。」
チャンは江神の後に続いて電気室に向かいながら、そう言った。
チャンの答えに、江神は何かを思いとどまって立ち止まった。
すると、立ち止まる江神のすぐ横をもの凄い勢いで風が流れて行った。
どぉぉぉぉぉぉぉぉん!!!!!!!!
そして、大きな衝撃音と共に電気室の頑丈な扉が吹き飛んだ。
チャンが殴り飛ばしたのだ。
「…安心しろ。俺はお前を信じている。
"悪魔の巨兵"の実力、見せてみろ。」
_
一方、樫間と堀崎は本部に侵入せずに正面入り口前に残留していた。
「…何故本部に侵入しなかった?堀崎。」
樫間は怒っている様子はなく、ただ単純にその疑問を堀崎にぶつけた。
「1番賢い方法があるからさ。」
堀崎は自慢げにそう言って、45階建ての本部ビルを見上げた。
「樫間、このビルの最上階に何があるか知ってるか?」
堀崎は不意に、樫間にそう問いかけた。
「…さぁ。」
樫間は不思議そうに堀崎を見てそう答えた。
樫間には、堀崎の考えがまだ読めていなかった。
「…ありゃおそらく…敵の大将首だぜ。樫間。」
堀崎は笑みを浮かべてそう言った。
その目は"千里眼"を発動していた。
「…なるほど。やっとお前の考えが読めた。」
樫間はそう言うと、"悪魔の双剣"の白刀を抜刀した。
抜刀のモーションのまま、その刃先は堀崎を掠めた。
「…つっ…、流石樫間。」
樫間に突然斬りつけられたにも関わらず、堀崎はそれを見越していた様であった。
「…行くぞ堀崎。ここからは、甘くないぞ。」
樫間がそう言うと、2人の姿は一瞬にして消え去った。
堀崎が"千里眼"で敵の位置を特定したと察知した樫間は、"白刀"で堀崎を斬りつける事によって、堀崎に"速さ"を与えた。
2人の思考が合致した時、2人は既にその動きに入っていた。
ビル内部に侵入はせず、2人は外壁スレスレを高速飛行して最上階へ向かった。
本部最上45階は、一面展望ガラスで囲まれていた。
そのガラスが勢いよくぶち破られる。
「「…っ!?」」
2人は突入と同時に、驚いた表情を見せた。
堀崎は確かに敵の姿をその目で捉えていた筈であったが、そこには誰もいなかった。
「…俺の"千里眼"が狙いを外すわけねぇ…。」
堀崎は慌てて、再び"千里眼"を発動させ、索敵した。
「…っ!樫間!エレベーターだっ!」
堀崎が何かを見つけてそう叫んだ。
その時、樫間がエレベーターに目をやると、その階数表示は確かに下へ降っていた。
…かなり高速に…。
樫間は咄嗟に、通信機に手を当てた。
「…総員、本部離脱っ!本丸が外に逃げやがるっ!」
そう言い終わると、樫間は割れた展望ガラスに向かって走り出した。
「…何してる堀崎っ!降りるぞっ!」
樫間はそう言うと、窓から飛び降りた。
「…まじかよ…。」
嫌々そう呟きつつも、堀崎も樫間に続いて落下した。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
アラフォーリサの冒険 バズったSNSで退職からリスタート
MisakiNonagase
恋愛
堅実な会社員として働いてきた39歳のリサ。まだまだ現役の母親と二人暮らしで高望みしなければ生活に困ることはなく、それなりに好きなことを楽しんでいた。
周りが結婚したり子育てに追われる様子に焦りがあった時期もあるなか、交際中の彼氏と結婚の話しに発展した際は「この先、母を一人にできない」と心の中引っ掛かり、踏み込めないことが続いてきた。
ある日、うっかりモザイクをかけ忘れインスタグラムに写真を上げたとき、男性から反応が増え、下心と思える内容にも不快はなく、むしろ承認欲求が勝り、気に入った男性とは会い、複数の男性と同時に付き合うことも増え、今を楽しむことにした。
その行動がやがて、ネット界隈で噂となり、会社の同僚達にも伝わり…
リサは退職後、塞ぎ込んでいたが、同じような悩みを抱えていたカナリア(仮名)と話すようになり立ち上がった。ハローワーク経由で職業訓練を受講したり、就活したり、その間知り合ったり仲間と励まし合ったり、生きる活力を取り戻していく…
そして新たな就業先で、メール室に従事する生涯枠採用の翔太という男性と知り合い、リサの人生は変わる…
全20話を予定してます
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
女神の白刃
玉椿 沢
ファンタジー
どこかの世界の、いつかの時代。
その世界の戦争は、ある遺跡群から出現した剣により、大きく姿を変えた。
女の身体を鞘とする剣は、魔力を収束、発振する兵器。
剣は瞬く間に戦を大戦へ進歩させた。数々の大戦を経た世界は、権威を西の皇帝が、権力を東の大帝が握る世になり、終息した。
大戦より数年後、まだ治まったとはいえない世界で、未だ剣士は剣を求め、奪い合っていた。
魔物が出ようと、町も村も知った事かと剣を求める愚かな世界で、赤茶けた大地を畑や町に、煤けた顔を笑顔に変えたいという脳天気な一団が現れる。
*表紙絵は五月七日ヤマネコさん(@yamanekolynx_2)の作品です*
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる