32 / 50
暑さ負け猫に取られたヨガマット
しおりを挟む
あつさまけ ねこにとられた よがまっと
お猫様は家の中の色々なものを占拠なさります。布団、ソファ、デスクチェア、そして、何かをするための「場所」も然り。
私は昔自宅でヨガをしていたことがあり、今でも、やり始めたらしばらく続き、休み始めたらしばらく止まる、の繰り返しなのですが、久々にヨガをやってみるか、というときになると猫に場所を取られていてできない、ということが起こります。毎日続けてれば猫のほうも慣れてくれて他の場所でくつろいでいてくれるのですが。
そんなわけで、今回は、ヨガをやってみるかと思ったら猫が寝そべっていてできなかった、という情景を俳句にしてみました。実際にはヨガマットは使っていないのでこの辺りは想像なのですが、ヨガをやろうと思ってマットを敷いて少し目を離したらその隙に取られていた、ということは十分あり得るでしょうね……
そして今回は、「猫に取られたヨガマット」の12音がぱっと出てきました。日本語は意識せずに使っても五・七や七・五のリズムを生んでいることが多く(太宰治がそんなようなことを書いていた気がします)、俳句に使えるフレーズがポンと出てくることがあるのです。
12音ができたということは、季語含む5音を前にくっつければ俳句の形になるということ。俳句の手法の一つ「取り合わせ」の基本形です。その中でできた候補が次の2つでした。
夏バテや猫に取られたヨガマット
夏負けや猫に取られたヨガマット
「夏バテ」と「夏負け」。似ている言葉ですが若干意味が違います。
「夏バテ」は、実は私が使っている歳時記には載っていない言葉なのですが、季節感があるということから、ここでは季語として使わせて頂いています。そして、この言葉が夏の体調不良を現わすのか秋口の体調不良を現わすのかが人によって違っています。夏なのか秋なのか、そして季語として使っていいのかどうかが微妙なラインではあります。
一方、「夏負け」。こちらは歳時記にはっきりと夏の季語として載っています。夏に食欲が落ちて痩せてしまうことです。
どちらがいいのかは微妙なところ。
ちなみにこの2が出てきた理由は、季節が夏だったから、というのもありますが、夏で体がだるいときが一番適しているのでは、と思ったからです。
夏は、朝起きたときになんだか疲れが取れ切っていない、という感覚になることがあります。多分、実際取れていないのでしょう。
そして暑い時期は運動するのも億劫になってしまいます。すると、運動不足で全身の血行が悪くなり、そのせいで寝ても疲れが取れなくなって、疲れが溜まっているから余計に運動しなくなって、という悪循環に陥りかねません。
ヨガというものはそんなときに便利なものでして。
激しく動くわけではないので疲れが溜まっている中でも行うことができ、上手く行くと体中に溜まっていた淀みが溶けて行ってくれるような感覚を味わえます。狭いスペースでもできるのもポイント。
そんなわけで、夏だから体調がよろしくない、という季語が一番だったのです。
因みに、切れ字の「や」に拘らなければ、次の形もあります。
暑気中猫に取られたヨガマット
暑さ負け猫に取られたヨガマット
「暑気中」と「暑さ負け」。暑さで体調が崩れることを言います。
若干意味は違うのですが、「負け」の2文字が入っていたほうが猫に負けた感があるので、この中で選ぶならば「夏負け」か「暑さ負け」のどちらかになります。
その中で「暑さ負け」を選んだのは何故かというと、ここに七・七を加えて連歌(短連歌)、というか短歌のようなことをできないか、と思ったからでして。
本来、連歌は一人が五・七・五の「上の句」を詠み、別の一人が七・七の「下の句」を続けるものですが、これを一人二役でやってみようと思ったのです。短歌ならば、「初句」「二句」「三句」「四句」「結句」と言う呼び名になるそうですが。
ところが、そこでネックになったのが、文体の統一でした。現代仮名と旧仮名を混在させないとか、口語と文語を混在させないといったものです。
そして切れ字の「や」。これに関しては伝統的なルールに捕らわれずに使うのも考え方の一つなのですが、厳格に考えるならば、口語や現代仮名との同時使用は避けるべきことです。今回は四句と結句で現代仮名遣いの口語を予定していたので、ここはどうしても気になりました。
そこで、「暑さ負け猫に取られたヨガマット」から七・七を続けてみることに。それがこちら。
暑さ負け猫に取られたヨガマット運動不足はまだまだ続く
暑さ負け猫に取られたヨガマット今日はお天気走りに行こう
暑さ負け猫に取られたヨガマット外は走るに程良い曇り
暑さ負け猫に取られたヨガマット走れば麦茶が美味しいけれど
俳句と比べた場合の短歌の特長として、文字を多く使える分、物語性を持たせやすい、という話を聞いたことがあります。そこで、物語性という観点から推敲してみました。
まず、「運動不足は~」。これだと話は分かりやすいのですが、三句までの時点でヨガができなくなっているので運動不足は明白。物語としては変化に乏しいです。
そこで、「今日はお天気~」を考案。これなら起承転結が生まれます。が、暑さ負けの状態でお天気の中をジョギングをするのは大変危険です。
次の「外は走るに~」ではこの点を考慮して、曇り空にしました。曇っていれば多少は安全になります。ですがよくよく考えてみると、曇りをジョギングのチャンスだと思うようなアグレッシブな人が暑さ負けをしていることには微妙に違和感があります。
そしてそう考えると、頭では走ろうと思っててもなんだかんだで躊躇っている、というほうがしっくりきます。そこで「走れば麦茶が~」を考案。最後の「けれど」で結局走らない、そして運動不足はまだまだ続くことになります。
ネット小説の宿命か、最近、疲れ目と肩こりに悩まされていまして。なので運動は大事だと思うのですが……
運動不足は現代人の宿命ですね(断言)。
お猫様は家の中の色々なものを占拠なさります。布団、ソファ、デスクチェア、そして、何かをするための「場所」も然り。
私は昔自宅でヨガをしていたことがあり、今でも、やり始めたらしばらく続き、休み始めたらしばらく止まる、の繰り返しなのですが、久々にヨガをやってみるか、というときになると猫に場所を取られていてできない、ということが起こります。毎日続けてれば猫のほうも慣れてくれて他の場所でくつろいでいてくれるのですが。
そんなわけで、今回は、ヨガをやってみるかと思ったら猫が寝そべっていてできなかった、という情景を俳句にしてみました。実際にはヨガマットは使っていないのでこの辺りは想像なのですが、ヨガをやろうと思ってマットを敷いて少し目を離したらその隙に取られていた、ということは十分あり得るでしょうね……
そして今回は、「猫に取られたヨガマット」の12音がぱっと出てきました。日本語は意識せずに使っても五・七や七・五のリズムを生んでいることが多く(太宰治がそんなようなことを書いていた気がします)、俳句に使えるフレーズがポンと出てくることがあるのです。
12音ができたということは、季語含む5音を前にくっつければ俳句の形になるということ。俳句の手法の一つ「取り合わせ」の基本形です。その中でできた候補が次の2つでした。
夏バテや猫に取られたヨガマット
夏負けや猫に取られたヨガマット
「夏バテ」と「夏負け」。似ている言葉ですが若干意味が違います。
「夏バテ」は、実は私が使っている歳時記には載っていない言葉なのですが、季節感があるということから、ここでは季語として使わせて頂いています。そして、この言葉が夏の体調不良を現わすのか秋口の体調不良を現わすのかが人によって違っています。夏なのか秋なのか、そして季語として使っていいのかどうかが微妙なラインではあります。
一方、「夏負け」。こちらは歳時記にはっきりと夏の季語として載っています。夏に食欲が落ちて痩せてしまうことです。
どちらがいいのかは微妙なところ。
ちなみにこの2が出てきた理由は、季節が夏だったから、というのもありますが、夏で体がだるいときが一番適しているのでは、と思ったからです。
夏は、朝起きたときになんだか疲れが取れ切っていない、という感覚になることがあります。多分、実際取れていないのでしょう。
そして暑い時期は運動するのも億劫になってしまいます。すると、運動不足で全身の血行が悪くなり、そのせいで寝ても疲れが取れなくなって、疲れが溜まっているから余計に運動しなくなって、という悪循環に陥りかねません。
ヨガというものはそんなときに便利なものでして。
激しく動くわけではないので疲れが溜まっている中でも行うことができ、上手く行くと体中に溜まっていた淀みが溶けて行ってくれるような感覚を味わえます。狭いスペースでもできるのもポイント。
そんなわけで、夏だから体調がよろしくない、という季語が一番だったのです。
因みに、切れ字の「や」に拘らなければ、次の形もあります。
暑気中猫に取られたヨガマット
暑さ負け猫に取られたヨガマット
「暑気中」と「暑さ負け」。暑さで体調が崩れることを言います。
若干意味は違うのですが、「負け」の2文字が入っていたほうが猫に負けた感があるので、この中で選ぶならば「夏負け」か「暑さ負け」のどちらかになります。
その中で「暑さ負け」を選んだのは何故かというと、ここに七・七を加えて連歌(短連歌)、というか短歌のようなことをできないか、と思ったからでして。
本来、連歌は一人が五・七・五の「上の句」を詠み、別の一人が七・七の「下の句」を続けるものですが、これを一人二役でやってみようと思ったのです。短歌ならば、「初句」「二句」「三句」「四句」「結句」と言う呼び名になるそうですが。
ところが、そこでネックになったのが、文体の統一でした。現代仮名と旧仮名を混在させないとか、口語と文語を混在させないといったものです。
そして切れ字の「や」。これに関しては伝統的なルールに捕らわれずに使うのも考え方の一つなのですが、厳格に考えるならば、口語や現代仮名との同時使用は避けるべきことです。今回は四句と結句で現代仮名遣いの口語を予定していたので、ここはどうしても気になりました。
そこで、「暑さ負け猫に取られたヨガマット」から七・七を続けてみることに。それがこちら。
暑さ負け猫に取られたヨガマット運動不足はまだまだ続く
暑さ負け猫に取られたヨガマット今日はお天気走りに行こう
暑さ負け猫に取られたヨガマット外は走るに程良い曇り
暑さ負け猫に取られたヨガマット走れば麦茶が美味しいけれど
俳句と比べた場合の短歌の特長として、文字を多く使える分、物語性を持たせやすい、という話を聞いたことがあります。そこで、物語性という観点から推敲してみました。
まず、「運動不足は~」。これだと話は分かりやすいのですが、三句までの時点でヨガができなくなっているので運動不足は明白。物語としては変化に乏しいです。
そこで、「今日はお天気~」を考案。これなら起承転結が生まれます。が、暑さ負けの状態でお天気の中をジョギングをするのは大変危険です。
次の「外は走るに~」ではこの点を考慮して、曇り空にしました。曇っていれば多少は安全になります。ですがよくよく考えてみると、曇りをジョギングのチャンスだと思うようなアグレッシブな人が暑さ負けをしていることには微妙に違和感があります。
そしてそう考えると、頭では走ろうと思っててもなんだかんだで躊躇っている、というほうがしっくりきます。そこで「走れば麦茶が~」を考案。最後の「けれど」で結局走らない、そして運動不足はまだまだ続くことになります。
ネット小説の宿命か、最近、疲れ目と肩こりに悩まされていまして。なので運動は大事だと思うのですが……
運動不足は現代人の宿命ですね(断言)。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる