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ハロウィーン黒猫さんはマイペース
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はろうぃいん くろねこさんは まいぺえす
今回は、この企画にしては珍しく公開日と季語を意識的に合わせてみました。
10月末日、「ハロウィーン」。
私が使っている歳時記には季語として載っていないのですが、もう色々なところで季語として使われているようですね。ちなみに「ハロウィン」と表記することもあるので、音数調整のために4音にも5音にもできる優れものです。
ハロウィーンと言えば、仮装。
人間が魔物の格好をすることで本物の魔物が寄って来るのを防ぐ魔よけの行事、という意味合いがあるのだそうです。
が、現代ではもう仮装自体を楽しむイベントと化しているわけでして(昔からそうだったのかもしれませんが)。私は面倒くさがりなのでやりませんが、ペットを飼っている方の中にはペット用の仮装を準備される方もおられると思います。
そこで、かつて、次のような句を考えました。まだこの企画の準備のために書き溜めをしていた頃のものです。
ハロウィーンとんがり帽子は猫サイズ
とんがり帽子。魔女さんが頭にかぶるあれです。動物に服を着せるのは慣れていないと困難、しかも猫は尚更のはず、でも帽子なら現実的かな、と考え、ここに着目しました。
「猫サイズ」と表記したことで、猫のいるご家庭であること、猫の仮装まで考えるまめな人であることが連想される効果を狙ったのです。
そしてこのときの推敲がこちら。
ハロウィーン魔女のマントは猫サイズ
帽子をマントに変えたものでした。マントなら首輪に付けられ、その分振り落とされにくくなるのでこちらのほうが打倒かな、と。
そしてこの形からの展開がなかなか思いつかなかったこともあり、しばらくお蔵入りに。
この形でも仮装した猫を想像して頂いて「可愛い!」と思ってもらえれば御の字なのですが、なんとなくまだ手の入れようはあるのでは、と感じていたのです。
ですが、その後、再びハロウィーンの時期がやって来まして、お蔵入りにしていたものを見直すことに。
このとき念頭にあったのが、渋谷スクランブル交差点のハロウィーン。私はああした人が集まって楽しく騒ぐ場所は苦手なので参加したことはないのですが、あまりに有名すぎるので、ハロウィーンと言えば渋谷、くらいに思うことはあります。
そして思いました。
もし渋谷のハロウィーンに行くとしたら、そこに仮装した猫を連れて行けるか、と。
……はい。多分、私には無理ですね。籠に入れるとかリード付けるとかして絶対にはぐれないようにすれば何とかなるかもしれませんが、高い確率で雑踏に呑まれてそのまま会えなくなってしまいます。
なので、思いました。
家で大人しくしている句にしよう、と。
そう考えたら、今度は別の考えが浮かびました。
ハロウィーンは人間の行事。猫にとってはあまり興味のないイベントなのでは、と。まあ、猫に限らず動物全般がそうですが。
むしろ、お菓子貰いに知らない人が尋ねてくるので(やっている家であればですが)、怖がりな猫にとっては迷惑?
ともあれ、猫にとっては関係ないよ、という方面で作ってみることにしました。
その初期の形がこちら。
黒猫やハロウィンなんて知らんがな
黒猫や十月末もマイペース
上のほうでは「知らんがな」と思ってるのは黒猫なので、上の句の「黒猫」との間には主語と述語の関係を作らなければならず、その意味から上の句の最後「や」で詠嘆するのは若干不正確な気がしました。
これだと、黒猫を見た人が、そう言えばハロウィンの時期だけど俺は興味ないね、と言っているようにも見えてしまいます。
一方、下のほうで「ハロウィーン」や「ハロウィン」を使わずに「十月末」にしたのは、単純に音数の都合です。「十月」という単語は歳時記にも季語として載っているものなので、季語になるかどうかという点で悩まずに済むのが長所。
なのですが、「十月末」という単語からハロウィーンであることを連想してもらわなければなりません。これだと、しばらく考えて、ああそう言えば、と納得するパターンになる人が多いように思います。
ちなみに、ここで「黒猫」が出てきたのは、ハロウィーンの飾りや仮装に映えそうだったから。
要は、魔女、という概念から連想しやすかったわけです。
その「黒猫」をより強く出しつつ作ったのが、次の形でした。
ハロウィーン黒猫さんはマイペース
はい。今の採用形です。
人間はお祭り騒ぎをしているけど猫はいつも通りにほわーんとしている、という感じの情景ですね。
「ウィーン」と「ペース」で韻を踏めてる、と言えるかどうかは自身がないのですが、片仮名の単語でサンドイッチ状態になっているので綺麗に収まった感はあります。
そしてその後、試しに次のようなものも作ってみました。
ハロウィーン猫用帽子が噛むおもちゃ
黒猫さんソファで過ごすハロウィーン
黒猫は定位置のままハロウィーン
黒猫の我関せずのハロウィーン
「~噛むおもちゃ」の句は、最初の「ハロウィーンとんがり帽子は猫サイズ」からの変形。
猫は猫サイズの帽子を作っても帽子という概念を理解せずに噛んだり蹴ったりして遊ぶ玩具にしてしまうのでは、と考えました。
一方、「黒猫」から始まる下3つの形は「マイペース」の変形。
他の言葉での言い換えを試してみたのですが、やはり「ハロウィーン黒猫さんはマイペース」が一番収まりが良かったです。
というわけで、今回は「ハロウィーン黒猫さんはマイペース」に決定しました。
ハロウィーンが本格的に賑わうのは今夜のはずですが、大きなトラブルのないまま楽しい時間が過ごせるといいですね。
今回は、この企画にしては珍しく公開日と季語を意識的に合わせてみました。
10月末日、「ハロウィーン」。
私が使っている歳時記には季語として載っていないのですが、もう色々なところで季語として使われているようですね。ちなみに「ハロウィン」と表記することもあるので、音数調整のために4音にも5音にもできる優れものです。
ハロウィーンと言えば、仮装。
人間が魔物の格好をすることで本物の魔物が寄って来るのを防ぐ魔よけの行事、という意味合いがあるのだそうです。
が、現代ではもう仮装自体を楽しむイベントと化しているわけでして(昔からそうだったのかもしれませんが)。私は面倒くさがりなのでやりませんが、ペットを飼っている方の中にはペット用の仮装を準備される方もおられると思います。
そこで、かつて、次のような句を考えました。まだこの企画の準備のために書き溜めをしていた頃のものです。
ハロウィーンとんがり帽子は猫サイズ
とんがり帽子。魔女さんが頭にかぶるあれです。動物に服を着せるのは慣れていないと困難、しかも猫は尚更のはず、でも帽子なら現実的かな、と考え、ここに着目しました。
「猫サイズ」と表記したことで、猫のいるご家庭であること、猫の仮装まで考えるまめな人であることが連想される効果を狙ったのです。
そしてこのときの推敲がこちら。
ハロウィーン魔女のマントは猫サイズ
帽子をマントに変えたものでした。マントなら首輪に付けられ、その分振り落とされにくくなるのでこちらのほうが打倒かな、と。
そしてこの形からの展開がなかなか思いつかなかったこともあり、しばらくお蔵入りに。
この形でも仮装した猫を想像して頂いて「可愛い!」と思ってもらえれば御の字なのですが、なんとなくまだ手の入れようはあるのでは、と感じていたのです。
ですが、その後、再びハロウィーンの時期がやって来まして、お蔵入りにしていたものを見直すことに。
このとき念頭にあったのが、渋谷スクランブル交差点のハロウィーン。私はああした人が集まって楽しく騒ぐ場所は苦手なので参加したことはないのですが、あまりに有名すぎるので、ハロウィーンと言えば渋谷、くらいに思うことはあります。
そして思いました。
もし渋谷のハロウィーンに行くとしたら、そこに仮装した猫を連れて行けるか、と。
……はい。多分、私には無理ですね。籠に入れるとかリード付けるとかして絶対にはぐれないようにすれば何とかなるかもしれませんが、高い確率で雑踏に呑まれてそのまま会えなくなってしまいます。
なので、思いました。
家で大人しくしている句にしよう、と。
そう考えたら、今度は別の考えが浮かびました。
ハロウィーンは人間の行事。猫にとってはあまり興味のないイベントなのでは、と。まあ、猫に限らず動物全般がそうですが。
むしろ、お菓子貰いに知らない人が尋ねてくるので(やっている家であればですが)、怖がりな猫にとっては迷惑?
ともあれ、猫にとっては関係ないよ、という方面で作ってみることにしました。
その初期の形がこちら。
黒猫やハロウィンなんて知らんがな
黒猫や十月末もマイペース
上のほうでは「知らんがな」と思ってるのは黒猫なので、上の句の「黒猫」との間には主語と述語の関係を作らなければならず、その意味から上の句の最後「や」で詠嘆するのは若干不正確な気がしました。
これだと、黒猫を見た人が、そう言えばハロウィンの時期だけど俺は興味ないね、と言っているようにも見えてしまいます。
一方、下のほうで「ハロウィーン」や「ハロウィン」を使わずに「十月末」にしたのは、単純に音数の都合です。「十月」という単語は歳時記にも季語として載っているものなので、季語になるかどうかという点で悩まずに済むのが長所。
なのですが、「十月末」という単語からハロウィーンであることを連想してもらわなければなりません。これだと、しばらく考えて、ああそう言えば、と納得するパターンになる人が多いように思います。
ちなみに、ここで「黒猫」が出てきたのは、ハロウィーンの飾りや仮装に映えそうだったから。
要は、魔女、という概念から連想しやすかったわけです。
その「黒猫」をより強く出しつつ作ったのが、次の形でした。
ハロウィーン黒猫さんはマイペース
はい。今の採用形です。
人間はお祭り騒ぎをしているけど猫はいつも通りにほわーんとしている、という感じの情景ですね。
「ウィーン」と「ペース」で韻を踏めてる、と言えるかどうかは自身がないのですが、片仮名の単語でサンドイッチ状態になっているので綺麗に収まった感はあります。
そしてその後、試しに次のようなものも作ってみました。
ハロウィーン猫用帽子が噛むおもちゃ
黒猫さんソファで過ごすハロウィーン
黒猫は定位置のままハロウィーン
黒猫の我関せずのハロウィーン
「~噛むおもちゃ」の句は、最初の「ハロウィーンとんがり帽子は猫サイズ」からの変形。
猫は猫サイズの帽子を作っても帽子という概念を理解せずに噛んだり蹴ったりして遊ぶ玩具にしてしまうのでは、と考えました。
一方、「黒猫」から始まる下3つの形は「マイペース」の変形。
他の言葉での言い換えを試してみたのですが、やはり「ハロウィーン黒猫さんはマイペース」が一番収まりが良かったです。
というわけで、今回は「ハロウィーン黒猫さんはマイペース」に決定しました。
ハロウィーンが本格的に賑わうのは今夜のはずですが、大きなトラブルのないまま楽しい時間が過ごせるといいですね。
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