婚約者の愛人がまさかの前世の恋人なんです!?

あかさ

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1章

依存

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一人で静かな廊下を歩く、その度にヒソヒソと話し声が聞こえる
どこか冷たい視線がささる

ワイワイ

扉の向こう側からは明るい声が聞こえる
今日こそはと扉を開ける

ガラガラ

シーン

さっきまでの明るい声が嘘かのように静まり返る教室

私は少し惨めに思ってしまい、早く席につこうと早歩きになる
自分の足音が響き渡り、何故か私自身も緊張してしまった。

ギィィィ

椅子をひくと大きな音が鳴ってしまい
ビグッと体を揺らしてしまった
すぐさま席に座り本を読む

コソコソ

コソコソ

私に視線を向けては静かな声で人から人へと話す
怖い

こんなにも冷たい空気を私は毎朝感じなくてはいけないのか、
昔はもっと人と話すのは気軽だったのにな

歳をとるにつれて私の周りはどんどん変わってしまった
私は好奇な目で見られる
それが嫌で嫌でたまらなかった

私の理解者はたった1人、
私の婚約者のカイルだけ

私はいつの間にかカイルに依存していた
いつも一緒にいたのはカイル
私を助けてくれるのはカイル

でも、カイルは人気者だ

「ハナー飯一緒に食おーぜー」

「うん、」

「あら!カイル様」

「ほんとだ!カイル様だ」

みんなカイルの姿を見て声をかける
私の存在は無視していたのに
カイルが来ると私たちに寄ってくる

時に思う、私は本当にカイルの婚約者でいいのか、
やっぱり、私とカイルは合わないのだ
カイルは私をどう思ってるのか
私はカイルが好きだけど、
そんなの皆も一緒だ
本当に私が、
私だけがカイルを独占していいのか

「おーい、ハナ?」

カイルが私の顔を覗き込んで顔色を伺う
だめだめ、カイルの前では笑顔でいなきゃ

カイルは私の笑顔が好きなんだから


「どうしたのカイル?」


ニコッと眩しい笑顔をカイルに向けた
カイルもニコッと笑い私の腕を掴んで屋上へとかけ登る

私は転けそうになりながらもカイルに必死に追いつき屋上まで登る

ガタンッ

少し錆び付いた扉をこじ開けてやっとカイルは止まった。

眩い光が差し込んでさっきまで暗かった視界が少し明るくなった気がした

「ほーら、早く飯食おーぜ」

「分かったから落ち着いてカイル」

私は興奮しているカイルを鎮めてお弁当箱を開ける
その中には豪華な具材が入っておりとても美味しそうだった

「いつも思うけどハナの美味そうだな、
一口くれ」

「また!、いいけど、あんまり食べないでね」

「分かってるって」

パクリ

「うっま、さすがハナ!」

「……」


カイルは眩しい、
私は幸せ者だ、
なんたってあのカイルの婚約者なのだ
ほかの女にカイルはあげない、
あげたくない

カイルは、私の婚約者なの


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