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汪楓白、官兵に誤認逮捕されるの巻
其の参
しおりを挟む――ザザザッ!
「「「百鬼討伐隊『諡火の第三小隊』だ!! その場を動くな!!」」」
突如、僕らを取り囲むように、周辺の闇から姿を現した面々……僕は正直、魂消て腰を抜かした!
だって、背に〝事難方見丈夫心〟の隊訓を綴った、赤い戦袍の軍団だよ!?
全部で、六十人以上はいるよ!?
みんな、武器をかまえて殺意満々だよ!?
「ひっ……百鬼討伐隊!?」
それは、住劫楽土に数ある護国団の中でも、抜きん出た武功と特権を持す鬼退治専門の全十二小隊。左右衛士府から選抜され、【三体伎師・父(九式武術を三つ、達人級まで修めた者)】以上の功力を体得した猛者しか、入隊できないという超人荒武者集団!
始めは白い隊服を、邪鬼(討伐相手の総称)の返り血で、競い合うように赤く染めていく、恐ろしい狩人たちなのだ!
彼らに一度、鬼憑きとして目をつけられたが最期……捕縛・拷問・処刑と、流れるような地獄逝きの作業で、この世から追い出されるのが、関の山なのだ!
ど、どど、どうしよう! 凄く、怖い!
身に覚えがなくとも、怖い!
いや……身に覚えが、あった!
狙いはきっと、こいつだ!
こいつの妖怪使役が露見して、今までの悪事も露見して、僕まで連座で罰せられる!?
くわぁ――――っ! ……もうダメだ……。
「おやまぁ、護国団筆頭の官兵さまがたが、またぞろなんの御用ですかい?」
神々廻道士ってば、どこまで豪胆なんだか……平素、笑顔で鷹揚に応対しているよ。
「圦宿では、我らが同朋『屍伽の第十一小隊』が、随分と世話になったらしいな」
一歩前に進み出ては、低い声音で、そう問いかけた男……腰帯に差した指揮鞭、全身から漂い出る風格・威厳のちがい……彼が『諡火の第三小隊』の隊長さんらしい。
まだ若いのに、凄いなぁ……よほど、文武に秀でてるんだろうなぁ。
それに、体つきこそ武術家らしく、精悍で強靭だけど、顔立ちは端整で、カッコイイ。
同じ男として、憧れちゃうかも。
多分、劫貴族だな。
年齢は、神々廻道士と変わらないくらいだよな。
結婚は、して……、
「ってことは、あんたら、同朋のメンツ潰した俺さまを、寛大な心で許してくださるんだ」
うわぉ! 僕が物思いにふけってる内に、こいつってば、また状況を悪化させてるぞ!
そんな嫌味云って、どうすんのさ!
討伐隊の機嫌を損ねたら、まずいでしょうが!
「黙れ! 小癪な口を利くな! 道士の立場を利用し、悪逆な手段を使い、これまでに貴様が犯して来た罪業の数々は、すでに我らの調査にて、白日の下に晒されているのだぞ!」
ほらぁ! 副長さんらしき長身の男が、ムチャクチャ怒ってるじゃないの!
こっちは相当、短気な人らしいから、発言には注意してくださいよね!
いや、しろよな! 神!
「大分、ご立腹のようですな……喂、莫迦シロ!」
「は、はい」
今度は、なに?
僕はもう、無関係を通して、帰りたいよ! あの日にさ!
「代わりに謝っとけ」
「はぁ!? なんで、僕が!?」
いきなり、責任転嫁ですか!
どんだけ、あつかましいんだ!
「「「巫山戯るな!! 貴様が謝れ!!」」」
そりゃあ、そうだろ! 討伐隊のみなさんが、絶対に正しい!
「無論、謝ったところで、許せる罪咎ではないがなぁ……趙劉晏」
敵意に満ちた眼差しで、神々廻道士の本名を呼ぶ隊長(らしき男)……逆に、周囲の隊員たちが、隊長(らしき男)に寄せる熱い憧憬の眼差しは、期待に満ちている。
彼が隊員たちに愛され、心から尊崇されていることを、如実に表している。
こっちとは大ちがいだ。
「ん? なんで、俺さまの名を……ん? んんん!?」
「思い出したか、趙劉晏」
隊長に再度、問われ、神々廻道士は、目を見開いた。
「てめっ……燕彪麼じゃねぇか! 赤いべべ来て、なにを子猿どもと戯れてんだ!」
「師父、お知り合いで……はぐっ!」
余計な口を利いたお陰で、僕は神々廻道士から、痛烈な肘鉄を喰らい、うずくまった。
「今は《鬼焼べの彪麼》という通り名で呼ぶがいい。邪鬼の返り血で深紅に染まった隊服こそ、俺の輝かしい戦績。有能な部下たちとともに、築き上げた百鬼討伐隊としての誇り」
うっく、苦しい……啊、でも、この人……やっぱ、カッコイイな。
もしかしたら、この人こそ、僕を悪逆道士の呪縛から助け出してくれる、救世主となり得るかもしれないぞ!
と、彪麼隊長に、期待をいだけたのは、ここまでで――、
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