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柴田隊壊滅の報は、すぐさま信長のもとに伝わった。
「勝家が……」
「柴田殿お討ち死にはまこと残念なこと……。しかし、柴田殿のおかげで、武田軍が浮足立っております。今こそ、武田軍に一矢報いる好機かと」
家康が進言するも、信長はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
「……殿?」
「……ああ、いや。少し考え事をしていた」
一度は信長に背いた勝家であったが、以降は忠誠を尽くし、よく戦ってくれた。
その勝家が。まさか武田軍によって討ち取られるとは、思いもしなかった。
「……おれバカだから難しいことわかんねぇんだけどさ~。勝家が討ち死にしたのって、おれの責任なんじゃねぇの?」
「殿……」
「おれが無理に攻撃仕掛けなければ、勝家は無駄死にせずに済んだんじゃねぇの?」
「殿!」
家康が声を荒らげる。
「柴田殿は殿のために生き、殿を生かすために死を選んだのです」
「……そうだな。悪い、忘れてくれ」
日が暮れたこともあり、両軍は川を挟んで対峙したまま夜を越すのだった。
この日、織田軍の攻撃を退けた武田軍では、密かに祝杯があげられていた。
雑兵たちには酒が振る舞われる中、義信らは首級の検分を行なっていた。
「神保軍5000と引き換えに織田軍1万を倒すとは……」
「おかげで当家の兵を温存できましたな」
釣り野伏せにおいて最も兵の消耗が激しい釣り隊を神保軍に任せたおかげで、武田軍の被害は最小限に抑えられていた。
とはいえ、未だ倍近い兵力差があるのも事実であった。
「敵は4万に対し、こちらは2万……。まだまだ油断はできませぬが、名のある者が討ち取られ、敵も浮足立っていることでしょう」
飯富虎昌の言葉に長坂昌国が頷く。
「敵はこちらの倍とはいえ、これなら……」
兵数や武装では織田軍が優位だったが、蓋を開けてみれば武田軍優勢に戦を進められた。
この調子ならば、明日の戦も負けはすまい。
皆が静かな闘志を燃やす中、集まった武将たちを見回し、曽根虎盛がポツリと呟いた。
「おや、そういえば、真田殿はどちらへ?」
「さあ?」
「そういえば、木下殿も見えぬが……」
一同が辺りを見回すと、義信が口を開いた。
「二人にはあることを頼んでおいた」
「あること、にございますか?」
秀吉の手引の元、昌幸は織田軍の野営地の様子を伺っていた。
「お館様より流言を命じられたものの、織田軍は勝手がわからぬ……頼りにしておるぞ、木下殿」
「なあに、儂はついこの間まで織田におったのです。織田軍に紛れるなど、朝飯前じゃ」
とはいえ、夜襲を警戒してか見張りも多い。
このまま無策で侵入を試みては、失敗するのが目に見えていた。
「……して、なんぞ策はあるのか?」
昌幸が尋ねると、待ってましたとばかりに秀吉がフフフと笑みを浮かべた。
「すでに儂の手の者を何人か紛れ込ませておいた。そやつらに騒ぎを起こさせるゆえ、その隙に……」
言ってるそばから織田軍から声が響いてきた。
見張りの視線がそちらへ集まると、二人は織田軍の陣地に侵入するのだった。
あとがき
明日の投稿はお休みして、次回の投稿は12/21にさせて頂きます
「勝家が……」
「柴田殿お討ち死にはまこと残念なこと……。しかし、柴田殿のおかげで、武田軍が浮足立っております。今こそ、武田軍に一矢報いる好機かと」
家康が進言するも、信長はただ呆然とその場に立ち尽くしていた。
「……殿?」
「……ああ、いや。少し考え事をしていた」
一度は信長に背いた勝家であったが、以降は忠誠を尽くし、よく戦ってくれた。
その勝家が。まさか武田軍によって討ち取られるとは、思いもしなかった。
「……おれバカだから難しいことわかんねぇんだけどさ~。勝家が討ち死にしたのって、おれの責任なんじゃねぇの?」
「殿……」
「おれが無理に攻撃仕掛けなければ、勝家は無駄死にせずに済んだんじゃねぇの?」
「殿!」
家康が声を荒らげる。
「柴田殿は殿のために生き、殿を生かすために死を選んだのです」
「……そうだな。悪い、忘れてくれ」
日が暮れたこともあり、両軍は川を挟んで対峙したまま夜を越すのだった。
この日、織田軍の攻撃を退けた武田軍では、密かに祝杯があげられていた。
雑兵たちには酒が振る舞われる中、義信らは首級の検分を行なっていた。
「神保軍5000と引き換えに織田軍1万を倒すとは……」
「おかげで当家の兵を温存できましたな」
釣り野伏せにおいて最も兵の消耗が激しい釣り隊を神保軍に任せたおかげで、武田軍の被害は最小限に抑えられていた。
とはいえ、未だ倍近い兵力差があるのも事実であった。
「敵は4万に対し、こちらは2万……。まだまだ油断はできませぬが、名のある者が討ち取られ、敵も浮足立っていることでしょう」
飯富虎昌の言葉に長坂昌国が頷く。
「敵はこちらの倍とはいえ、これなら……」
兵数や武装では織田軍が優位だったが、蓋を開けてみれば武田軍優勢に戦を進められた。
この調子ならば、明日の戦も負けはすまい。
皆が静かな闘志を燃やす中、集まった武将たちを見回し、曽根虎盛がポツリと呟いた。
「おや、そういえば、真田殿はどちらへ?」
「さあ?」
「そういえば、木下殿も見えぬが……」
一同が辺りを見回すと、義信が口を開いた。
「二人にはあることを頼んでおいた」
「あること、にございますか?」
秀吉の手引の元、昌幸は織田軍の野営地の様子を伺っていた。
「お館様より流言を命じられたものの、織田軍は勝手がわからぬ……頼りにしておるぞ、木下殿」
「なあに、儂はついこの間まで織田におったのです。織田軍に紛れるなど、朝飯前じゃ」
とはいえ、夜襲を警戒してか見張りも多い。
このまま無策で侵入を試みては、失敗するのが目に見えていた。
「……して、なんぞ策はあるのか?」
昌幸が尋ねると、待ってましたとばかりに秀吉がフフフと笑みを浮かべた。
「すでに儂の手の者を何人か紛れ込ませておいた。そやつらに騒ぎを起こさせるゆえ、その隙に……」
言ってるそばから織田軍から声が響いてきた。
見張りの視線がそちらへ集まると、二人は織田軍の陣地に侵入するのだった。
あとがき
明日の投稿はお休みして、次回の投稿は12/21にさせて頂きます
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