13 / 49
2章:少女は女神に出会う
Ⅲ
しおりを挟む
私が首を傾げながら本を眺めていたら、ふふん!という声が聞こえ顔を上げると、得意げな顔をして腕を組んだ美女さんがいた。
「ふっふっふっ。じ・つ・は~、あなたが転生するのは地球ではなくてぇ~・・・異世界なのよ!!そしてそして、その世界はなんと!少女漫画の世界なの~!しかも、『愛を込めて花束を君に』って言う人気作なのよ~!すごくない!?すごいでしょ~?そして、これが内容と登場人物を書き記した本!」
本を指し示しながらドヤ顔でふんぞり返った美女さん。
そんな美女さんを横目で見ながら、本をパラパラと捲る。
「へぇ~・・・すごいですね~!」
おお~!これが美女さんが言ってた少女漫画!!
なんか、キラキラしてる・・・。
おおお~キスシーンがあるよ!
それにしても、すっごい西洋って感じ!写真集で見た景色と似てる!
レンガ造りの街並みに、お城!
いやードレスで日常過ごしてるって凄すぎだよ!
はじめて見る少女漫画をドキドキしながら捲る手を、私はある1ページを開いた瞬間ピタリと止めた。
ドーンと1ページに載っている人物。
・・・・・・この黒い髪の人、主人公を睨んでる描写だからかすごい目つき悪いな。
俗に言うツリ目ってやつかな~?
でも、それでも、すっごく美しい容姿をしてる。
本物のお人形さんみたい。
「え??ちょ、ちょっと~??反応薄くないかしら??人気作なのよ~??なんでなの~!?」
悲しげな声を上げながら、ちょっと涙目の美女さんは私に顔をグイッと近づけた。
うっ、顔が良すぎて目がチカチカする・・・。
そして、心が痛い。
私は、申し訳なさと気まずさで目を逸らしながら説明した。
「その・・・私、少女漫画とかほとんど見た事がなくて・・・分からないんです。」
私の言葉に、美女さんは目をこれでもかってくらいに見開き驚いた。
「え!?少女漫画見たことないの~!?・・・あ、そんなに気にすることじゃないわよ~!思い返すために用意した物だけど~、全く知らないんじゃ仕方ないわ~。ぜひ!転生するところに持って行って!」
キラッキラした瞳で、私の手を握りしめる美女さん。
その勢いにちょっと引き気味になりつつ、悲しませなくて良かったっていう思いと、責めることなくそんなふうに言って貰えたことに、ほっと小さく安堵の息をこぼす。
そして、ふと頭によぎった疑問があった。
「あの、そもそも、私は誰を助けるんですか?この世界に行くってことはこの世界の住人なんだと分かるんですが、そこがよく分からなくて・・・。やっぱり主人公とかですか?」
私が聞くと、突如真剣な眼差しになった美女さん。
「・・・いいえ。違うわ~。あなたに助けてもらいたいのは主人公でもヒーローでもないの~。あなたには・・・・・・この子。この悪役令嬢を助けて欲しいの。」
美女さんが指さしたのは、私が見ていたページだった。
そこに描かれてるのは、お人形さんのように美しく鋭い目つきをした黒い髪の女の人。
この人が・・・悪役令嬢。
たしかに、見た目はまさに悪女って感じだ。
美女さんはこの人を助けて欲しいって言ってるんだよね・・・悪い人なのに助ける??
私はそんな疑問を抱きながら美女さんを見た。
視線を向けたさきの美女さんは、とても悲しんだ顔をしていた。
「ふっふっふっ。じ・つ・は~、あなたが転生するのは地球ではなくてぇ~・・・異世界なのよ!!そしてそして、その世界はなんと!少女漫画の世界なの~!しかも、『愛を込めて花束を君に』って言う人気作なのよ~!すごくない!?すごいでしょ~?そして、これが内容と登場人物を書き記した本!」
本を指し示しながらドヤ顔でふんぞり返った美女さん。
そんな美女さんを横目で見ながら、本をパラパラと捲る。
「へぇ~・・・すごいですね~!」
おお~!これが美女さんが言ってた少女漫画!!
なんか、キラキラしてる・・・。
おおお~キスシーンがあるよ!
それにしても、すっごい西洋って感じ!写真集で見た景色と似てる!
レンガ造りの街並みに、お城!
いやードレスで日常過ごしてるって凄すぎだよ!
はじめて見る少女漫画をドキドキしながら捲る手を、私はある1ページを開いた瞬間ピタリと止めた。
ドーンと1ページに載っている人物。
・・・・・・この黒い髪の人、主人公を睨んでる描写だからかすごい目つき悪いな。
俗に言うツリ目ってやつかな~?
でも、それでも、すっごく美しい容姿をしてる。
本物のお人形さんみたい。
「え??ちょ、ちょっと~??反応薄くないかしら??人気作なのよ~??なんでなの~!?」
悲しげな声を上げながら、ちょっと涙目の美女さんは私に顔をグイッと近づけた。
うっ、顔が良すぎて目がチカチカする・・・。
そして、心が痛い。
私は、申し訳なさと気まずさで目を逸らしながら説明した。
「その・・・私、少女漫画とかほとんど見た事がなくて・・・分からないんです。」
私の言葉に、美女さんは目をこれでもかってくらいに見開き驚いた。
「え!?少女漫画見たことないの~!?・・・あ、そんなに気にすることじゃないわよ~!思い返すために用意した物だけど~、全く知らないんじゃ仕方ないわ~。ぜひ!転生するところに持って行って!」
キラッキラした瞳で、私の手を握りしめる美女さん。
その勢いにちょっと引き気味になりつつ、悲しませなくて良かったっていう思いと、責めることなくそんなふうに言って貰えたことに、ほっと小さく安堵の息をこぼす。
そして、ふと頭によぎった疑問があった。
「あの、そもそも、私は誰を助けるんですか?この世界に行くってことはこの世界の住人なんだと分かるんですが、そこがよく分からなくて・・・。やっぱり主人公とかですか?」
私が聞くと、突如真剣な眼差しになった美女さん。
「・・・いいえ。違うわ~。あなたに助けてもらいたいのは主人公でもヒーローでもないの~。あなたには・・・・・・この子。この悪役令嬢を助けて欲しいの。」
美女さんが指さしたのは、私が見ていたページだった。
そこに描かれてるのは、お人形さんのように美しく鋭い目つきをした黒い髪の女の人。
この人が・・・悪役令嬢。
たしかに、見た目はまさに悪女って感じだ。
美女さんはこの人を助けて欲しいって言ってるんだよね・・・悪い人なのに助ける??
私はそんな疑問を抱きながら美女さんを見た。
視線を向けたさきの美女さんは、とても悲しんだ顔をしていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる