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新学期編

星野時斗は助けたい

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「なにを言いだすんだね?君は」

「聞こえませんでした?成瀬さんを譲って貰うと

言っているんです。彼女はあなたの商売道具じゃ

ない」

「時斗くん、、、」

「ふっ、彼女にはいずれ大企業の社長の愛人とし

て役立って貰うんだ。渡すわけにはいかないな」

生徒の前でなんてことを。

「じゃあどうすればいいんだ?」

「そんなに欲しければ、勝負をしようか」

「勝負?」

「君の家の全財産と、私の家の全財産で、どちら

が多いか、だよ」

は?普通に考えると無理ゲーだけど、、、。

もしかして、俺がスター会社社長、星野忠邦の息

子だって知らないのか?

「わかった。どうやって調べるんだ?」

「勝負は簡単だ、私が年収を見せれば君の親が逃

げていくさ」

「はぁ、先行俺でもいいですか?」

「いいですよ?どうぞ。日和、車に乗りなさい」

「は、はい」

人の話聞けっての。

「俺の親の年収は、、、、、」

それから十五分後。

「よかったのでしょうか?」

「いいんだよ。これで日和は先生から生徒に移動

だな」

「もう一度生徒が出来るなんて!本当に、ありが

とうございます!」

今俺たちは帰り道である。もうそろそろ家だ。

俺たちの。

勝負は一瞬。俺の親がスター会社という事で決着

がついた。俺の親がサラリーマンだと思っていた

学園長は顔を青ざめ、

「そんなものいらんわ!持っていけ!そのかわ

り、もう責任はみんからな!家もででいけ!」

といい、車で帰っていった。

見届けた俺は、彩に連絡し、日和の家のものを全

て俺の家に持ってくるように、と、言った。

というところである。

家に帰ると、予想通り咲が玄関で病んでいた。

「時斗様、そこのちびっ子、刺していいですか?」

「日和だから!先生くらい覚えとけっての!」

結局日和はしばらくの間、うちにいる事になっ

た。

「本当にありがとうございました。明日から一緒の

クラスですね!」

お風呂上がりのいい匂いをさせた日和が、その綺

麗な赤髪を結びながら今日何度も聞いたありがと

うを言ってきた。

「いや、俺の力じゃないから、、、」

本当にそうである。咲の時も、日和の時も、結局

決め手は親の金である。

「そんなことありませんよ?、、時斗くんがここ

まで優しい方だとは思っていませんでした。学園

長のあんな姿を見てまで、私を助けてくれました

から」

そう言って手を握られる。

やばい!理性が飛びそうだ。

日和の目はトロトロで、唇はいい感じに湿っ

て、、、、。

「時斗様ぁ?何を、、して、いたのですかぁ?」

きたぁぁぁあ!

「い、いや!理性がやばかったとか!そんなんじ

ゃないからな!」

日和の顔が赤面する。

もう勘弁してくれよぉぉ!
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