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第3話
背徳のプレリュード
【紬(つむぎ)視点:月明かりの断罪】
「今夜はパーティーがある。君も同行しろ」
一ノ瀬社長から渡されたのは、背中が腰の近くまで大きく開いた、夜の海のように深い紺色のシルクドレスだった。
「こんな、裸に近いような格好……」
「不満か? だが、下着は私が昨日選んだ『あれ』を着用していればいい」
彼の言葉に、顔がカッと熱くなる。あの、布地がほとんどない、紐のようなクロッチレス(股割れ)のランジェリー。それをこの薄いドレスの下にまとって、華やかな社交界へ出ろと言うのか。
会場のホテルに着くと、一ノ瀬社長はあえて私を一人にする時間を作った。彼が政財界の重鎮と挨拶を交わしている間、私は壁際でシャンパングラスを握りしめる。
案の定、社長の傍を離れた途端、何人もの男たちが声をかけてきた。
「一ノ瀬さんの新しい秘書? 随分と色っぽいね。少し、風に当たりに行かないか?」
一人の男が、わざとらしく私の腰に手を回し、開いた背中の肌をなぞろうとした。その瞬間、背後から氷のような冷気が突き刺さる。
「……私の秘書に、何か用か?」
一ノ瀬社長だった。彼は私の肩を抱き寄せると、見せつけるように私の耳元へ顔を寄せた。
「十五分だ。十五分も、他の男に鼻の下を長くしていたのか、紬」
「ちが、私は……っ」
一ノ瀬社長は私の弁明を聞かず、強引に私を連れ出した。向かったのは、会場の喧騒から離れた、夜風の吹き抜ける暗いバルコニー。
「社長、誰かに見られたら……!」
「見られればいい。君が、誰の所有物であるかをな」
一ノ瀬社長は私のドレスの背中のファスナーを一気に下ろした。冷たい夜風が肌を撫で、同時に彼の熱い掌が、ドレスの下の『秘密』に触れる。
「あ……っ、やだ……!」
彼は躊躇なく、自身の熱を私の中へと叩き込んだ。
「ひ……っ、あ……ぁ!」
眼下には、パーティー会場へ向かう人々が行き交っていた。少し身を乗り出せば、こちらが丸見えになるような極限の状態。
喉の奥からせり上がる悲鳴を、私は自分のドレスの布を噛んで必死に殺した。
【一ノ瀬(れん)視点:美しき獲物へのマーキング】
わざと彼女を一人にした。地味な殻を脱ぎ、私が磨き上げた今の彼女が、どれほど男たちの目を惹きつけるかを確認したかった。
予想通りだ。男たちは群がり、彼女の露出した背中を、不潔な視線で舐め回す。
胸の奥で、どす黒い怒りが煮えくり返る。
紬。その肌に触れていいのは、私だけだ。
彼女を連れ出したバルコニーは、月明かりの下で絶好の処刑場となった。
「……っ、ふ……うぅ……っ!」
手すりに押し付けられ、必死に声を押し殺しながら、私の衝撃に耐える紬。
ドレスをめくり上げ、夜風にさらされた彼女の身体は、恐怖と快感で白く輝いているように見えた。
下では誰かの笑い声が聞こえる。すぐそこにある「社交」と、今ここで繰り広げられている「蹂躙」。そのあまりの乖離に、彼女の瞳がトロンと濁っていくのが分かった。
「怖いか? なら、もっと私にしがみつけ」
彼女の髪を掴み、無理やり後ろを向かせると、涙で濡れた瞳に深くキスをした。
「あ……蓮、さま……っ」
初めて、彼女が自ら私の名を呼んだ。
その瞬間、私の独占欲は心地よい絶頂を迎える。
彼女はもう、私がいなければ呼吸もできない。他の男との会話など、二度と思い出せないほど、私の存在を全身に刻み込んでやる。
何度も、壊すような強さで突き上げると、彼女はバルコニーの手すりを掴む指を白くさせ、私の腕の中で力なく果てた。
「いい子だ、紬。……君のすべては、私の監獄の中にある」
乱れたドレスを整え、何事もなかったかのように冷徹な社長の顔に戻る。
私にエスコートされ、光の渦へと戻る彼女の歩き方は、もはや以前のようなおどおどしたものではなかった。
鏡に映った彼女は、一人の男の狂おしい溺愛によって、残酷なまでに美しく磨き上げられた「魔性の女」の顔をしていた。
「今夜はパーティーがある。君も同行しろ」
一ノ瀬社長から渡されたのは、背中が腰の近くまで大きく開いた、夜の海のように深い紺色のシルクドレスだった。
「こんな、裸に近いような格好……」
「不満か? だが、下着は私が昨日選んだ『あれ』を着用していればいい」
彼の言葉に、顔がカッと熱くなる。あの、布地がほとんどない、紐のようなクロッチレス(股割れ)のランジェリー。それをこの薄いドレスの下にまとって、華やかな社交界へ出ろと言うのか。
会場のホテルに着くと、一ノ瀬社長はあえて私を一人にする時間を作った。彼が政財界の重鎮と挨拶を交わしている間、私は壁際でシャンパングラスを握りしめる。
案の定、社長の傍を離れた途端、何人もの男たちが声をかけてきた。
「一ノ瀬さんの新しい秘書? 随分と色っぽいね。少し、風に当たりに行かないか?」
一人の男が、わざとらしく私の腰に手を回し、開いた背中の肌をなぞろうとした。その瞬間、背後から氷のような冷気が突き刺さる。
「……私の秘書に、何か用か?」
一ノ瀬社長だった。彼は私の肩を抱き寄せると、見せつけるように私の耳元へ顔を寄せた。
「十五分だ。十五分も、他の男に鼻の下を長くしていたのか、紬」
「ちが、私は……っ」
一ノ瀬社長は私の弁明を聞かず、強引に私を連れ出した。向かったのは、会場の喧騒から離れた、夜風の吹き抜ける暗いバルコニー。
「社長、誰かに見られたら……!」
「見られればいい。君が、誰の所有物であるかをな」
一ノ瀬社長は私のドレスの背中のファスナーを一気に下ろした。冷たい夜風が肌を撫で、同時に彼の熱い掌が、ドレスの下の『秘密』に触れる。
「あ……っ、やだ……!」
彼は躊躇なく、自身の熱を私の中へと叩き込んだ。
「ひ……っ、あ……ぁ!」
眼下には、パーティー会場へ向かう人々が行き交っていた。少し身を乗り出せば、こちらが丸見えになるような極限の状態。
喉の奥からせり上がる悲鳴を、私は自分のドレスの布を噛んで必死に殺した。
【一ノ瀬(れん)視点:美しき獲物へのマーキング】
わざと彼女を一人にした。地味な殻を脱ぎ、私が磨き上げた今の彼女が、どれほど男たちの目を惹きつけるかを確認したかった。
予想通りだ。男たちは群がり、彼女の露出した背中を、不潔な視線で舐め回す。
胸の奥で、どす黒い怒りが煮えくり返る。
紬。その肌に触れていいのは、私だけだ。
彼女を連れ出したバルコニーは、月明かりの下で絶好の処刑場となった。
「……っ、ふ……うぅ……っ!」
手すりに押し付けられ、必死に声を押し殺しながら、私の衝撃に耐える紬。
ドレスをめくり上げ、夜風にさらされた彼女の身体は、恐怖と快感で白く輝いているように見えた。
下では誰かの笑い声が聞こえる。すぐそこにある「社交」と、今ここで繰り広げられている「蹂躙」。そのあまりの乖離に、彼女の瞳がトロンと濁っていくのが分かった。
「怖いか? なら、もっと私にしがみつけ」
彼女の髪を掴み、無理やり後ろを向かせると、涙で濡れた瞳に深くキスをした。
「あ……蓮、さま……っ」
初めて、彼女が自ら私の名を呼んだ。
その瞬間、私の独占欲は心地よい絶頂を迎える。
彼女はもう、私がいなければ呼吸もできない。他の男との会話など、二度と思い出せないほど、私の存在を全身に刻み込んでやる。
何度も、壊すような強さで突き上げると、彼女はバルコニーの手すりを掴む指を白くさせ、私の腕の中で力なく果てた。
「いい子だ、紬。……君のすべては、私の監獄の中にある」
乱れたドレスを整え、何事もなかったかのように冷徹な社長の顔に戻る。
私にエスコートされ、光の渦へと戻る彼女の歩き方は、もはや以前のようなおどおどしたものではなかった。
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