秘密の会員制エステ『リバース』

なまみ

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第三話

「再訪、抗えぬ肉の記憶」

前回の「施術」から三日が過ぎても、太ももの内側に残った淡い熱は引かなかった。
仕事中、ふとした瞬間に鼻腔をくすぐるオリエンタルな香りと、佐藤の太い指が肌を抉った感触。それは甘い毒のように全身を回り、日常の景色を退屈な色に染め変えていた。
(一度だけ、確認しに行くだけ……)
自分に言い聞かせ、再び店がある地下へと続く階段を降りる。
重厚な扉が開くと、そこには前回と同じ、淀みのない静寂と、どこか淫らな予感を孕んだ空気が流れていた。

「お待ちしておりました、神崎様。本日は、前回よりもさらに深層のリンパを刺激するコースをご用意しております」

受付の女性の微笑みは、前回よりも少しだけ距離が縮まったように感じられた。それは「客」としてではなく、快楽の「被験者」として迎え入れられた証拠のようでもあった。
案内されたのは、前回とは異なる、壁一面が鏡張りになった部屋。

「本日の担当は、加藤と申します」

現れたのは、佐藤の野性味とは対照的な、細身で理知的な印象の男だった。眼鏡の奥の瞳は冷たく、それでいて獲物を見定めるような鋭利さを秘めている。

「佐藤から聞いておりますよ。……随分と、反応が良いお体だと」

加藤の声は低く、淡々としている。だが、彼の手がガウンの上から腰のラインをなぞった瞬間、体がビクリと跳ねた。佐藤の時に付けられた「道筋」を、彼もまた正確に把握しているのだ。

「まずは、お体の緊張を解くための導入から始めましょう。本日は、最新の『低周波誘発剤』を配合したローションを使用します」

彼がボトルから取り出したのは、乳白色の、粘り気が極めて強い液体だった。
肌に落とされた瞬間、ヒヤリとした冷たさが走る。だが、彼の手がその液体を広げ始めると、まるで細かな針で突かれるような、チリチリとした奇妙な熱が皮膚の表面を走り出した。

「っ……なに、これ……」

「電気的な刺激を皮膚から直接神経に届けるものです。……ほら、触れていない場所まで、勝手に脈打っているのが分かりますか?」

加藤の指先が、首筋から背骨に沿って、羽毛で撫でるような軽いタッチで降りていく。
それだけなのに、脳の奥が痺れるような快感が押し寄せ、喉が勝手に鳴った。媚薬成分と低周波が、理性の防波堤をじわじわと削り取っていく。

「あ……んっ……」

「声を出していいんですよ。この部屋は完全防音、そして……あちら側からは、あなたの全てが最高の画角で見えていますから」

加藤が指差した鏡の向こう。そこには、AV会社のプロデューサーたちが、最新の機材をテストするために陣取っているのだという事実を、彼は平然と告げた。
恥辱。だが、見られているという意識が、かえって秘部の渇きを加速させる。

「さて、本番の前に……この『新型』を試しましょう」

彼が取り出したのは、マッサージ器とは呼べないほどに無機質な、金属製のデバイスだった。
それは吸盤のような形状をしており、加藤の手によって、はち切れんばかりに勃起した乳首へと装着された。

「ひ……っ、あぁあああ!」

スイッチが入った瞬間、全身が跳ね上がった。
ただの振動ではない。吸い付き、震え、そして時折走る微弱な電流。
乳頭から脳へ、そして一直線に股間へと、快楽のラインが強制的に繋げられた。

「まだ始まったばかりですよ。今日は、佐藤のような力任せな真似はしません。じっくりと、あなたが『壊れる音』を、あちらの録音マイクに届けていただきます」

加藤は冷徹な笑みを浮かべると、震える脚を左右に大きく割り、自身もまた、その「洗練された獲物」へと手を伸ばした。
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